小説 『デンジャラス』 (文豪のハーレムの話) | ピア 人工関節と難病と猫と

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最近なかなか読書に集中できず、

なんだか老いをひしひしと感じていたが(老いのせいにするな?)
 

これは、夜中まで一気に読んでしまった

 

桐野夏生著
文豪谷崎潤一郎をめぐるおんなの物語

小説「細雪」の三女雪子のモデルの、重子の視点で書かれている




私自慢じゃないが、文学史に残るような文豪と言われる小説家、

とっつきにくくてほとんど読んでいない
軽~く読める夏目漱石ぐらいかな



だから「細雪」も、正直読んでいないのだけれど、
 

船場の豪商の4姉妹のあれこれでしょ?

ぐらいは知っている(知らないも同然か?)


谷崎潤一郎って、

かなりエロい小説家(妖しいというべきか)だったのよね?

私がいちばん読書していたころは、

こういうものに興味がわかなかった

オクテだったのか? 今もそうだけど




この桐野夏生の小説は、もちろんエロい描写はない

谷崎はほとんど実生活を小説に書いていたから
ストーリーは事実に基づいて構成されたもので、

主人公(重子)の生々しい心の中を描いていている




谷崎は、最初の妻と子を、詩人佐藤春夫に譲り、
次の次に、元人妻の松子と結婚する

妹の重子と、松子の前夫との子2人がピッタリとついてくる



つまいもうと娘花嫁われを囲む

潺湲亭(せんかんてい)の夜のまどゐ哉


つま…松子
いもうと…重子
娘…松子の連れ子
花嫁…松子の連れ子(息子)の嫁・千萬子



豪奢な文豪の邸宅で繰り広げられる、帝王とそのハーレムの様相

 

登場人物の、性格や外見、心の動きの表現がすばらしい
船場育ちのお嬢さんなので、上流社会の関西弁がまた優雅



妻と妹は、作家にインスピレーションを与え続けてきたが
それが新時代の若い嫁(これが生意気)にとってかわられる


男女の関係、嫁姑の関係のなかで、

嫉妬や焦り、葛藤、憎しみ、おんなの心の動きが

手に取るようにわかる

何がデンジャラス?と思ったが
帯に 「日本文学史上最も貪欲で危険な文豪」 とあった

谷崎潤一郎は、男としても強烈な魅力があったのだと思う




没後、妻松子や嫁千萬子が、

それぞれの回想も出版しているようだから、それも興味深い


映画 「細雪」では、松子を佐久間良子
重子の役を吉永小百合がやっている

 



私とは無縁な上流社会の、古い話だと思っていたが、

機会があればぜひ見てみたい

 

とりあえず、

瀬戸内寂聴さんの、「つれなかりせばなかなかに」

を図書館に予約した

谷崎が佐藤春夫に妻子を譲ったいきさつが書かれているらしい

私って、ゴシップ好きだったか?