(再掲載)もう一度出逢えたら24 修正 | 「山あり谷あり笑いあり」らんのblog

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夜中、巧馬は家に帰りついたとたん倒れこんだ。

「くそ、何なんだよ」

そう叫び、ゆらりと立ち上がり鏡にうつる自分を睨み付けた。

「こんな時間に何やってたんだよ」
「色々と、リーコさんを守るためにちょっと体を借りたよ」
「からだ借りたって、守るって何からだよ。」
「だから色々だよ、彼女を悲しませないように根回ししてんの。」
「悲しませないって、あんたが一番できてないだろ側にいないくせに。リーコさんが会いたい人はあんただ、あんたも会いたいから出て来たんだろ。」

鏡にうつる自分が悲しそうに笑い意識が遠退く。

くそ、誰が乗っ取らせるかよ俺は俺なんだ

遠のく意識のなか巧馬は思った。

台車にのせた新刊を、李々子は店内に運び込もうとしていたとき、突然に後ろから巧馬の声がした。

「リーコさん、ちょうど良かったその新刊だけど」

驚いた李々子は、台車を引っ掛かけ転びそうに、その李々子を巧馬が受け止めた。

「リーコさん大丈夫?」

慌てて飛びのく李々子

「リーコさん?」
「ごめん、私ったらなにやってんだろね。」

台車をおこし本を乗せなおしていると、スッと手伝う巧馬

「リーコさん、俺やっとくから店内に戻ってて。」
「いや、それじゃあ悪いし」

と本の上で二人の手が重なる

「ぎゃ」

と飛びのく李々子に、巧馬が

「リーコさん、俺の事が嫌いになった?」

突然の質問に、驚き見つめる李々子

「は?なに言って、いや嫌いじゃないけど」

と、じっと見てくる巧馬に焦って言う李々子。

「嫌いじゃないんだ。じゃあ好きなのはどっちの俺?」

と巧馬が顔を覗き込む。ドギマギしながら李々子が

「どっちのって何?永塚は永塚でしょ?今目の前にいる永塚。時々違う人みたいに感じることもあるけど、どんな永塚も永塚だもの」

驚いてみている巧馬に

「てことで後やっといて、店内に戻るから。」

なんなのよ、もうやだ
良い年して年下に振り回されてどうすんのよ

と李々子は去っていった。
巧馬は、散らばった本を拾い台車に乗せながら

「バカなのか実体もないヤツにやきもち妬くなんて、俺は俺なのに。」

と呟いた。
ぎこちない態度の李々子に、店長やまわりの人達も二人の間に何かあったのだと確信していた。

事務所で仕事をしている李々子の後ろで足音がした

「リーコさん」

声をかけられて振り返ると、十矢がいた。

「十矢君」
「誰と間違えたの?」
「やだなぁ誰とも間違えてないって。」

焦る李々子

「ふーん、リーコさん巧馬さんとうまくやってる?」
「えっ?巧馬」

巧馬と呼んだことに慌てて口をおさえ、真っ赤になる李々子。

これってなんの反応?

と十矢は不思議に思い

「リーコさん、永塚巧馬っていうんだけど。」
「うん知ってる。」
「珍しいね、ちゃんと分かってるんだ。」
「なに、永塚のこと知ってるの?」
「大学の同期」
「へー同期なんだ。あれ、十矢君今年二十歳だよね、永塚は2つくらい歳上じゃなかった?」

知らないのか

「巧馬さん怪我で入院してたから。」
「怪我ってなに、ひどかったの?」
「それは本人に聞いてもらえるかな、俺からは」
「だよね」

十矢は李々子の顔を覗き込み

「リーコさん、俺はリーコさんが幸せになるのを祈ってるから。」

そう言って頬笑む十矢の口元にアザが

「十矢君、そこどうしたの?ケガ?」
「ああ、ちょっと昨日ね大したことないよ。」
「気を付けなさいよ。」
「うん」
「ねえ十矢君もういいからね。

と言った。

「えっ?」
「毎年お墓参り行ってるっておじさん達から聞いたよ。」
「…」
「それと私はもう大丈夫だから、十矢君も本当に笑えるようにならなきゃダメだよ。」

そう言われて、十矢は驚き戸惑いなんとも言えない表情で李々子を見た。