最終話…親父と天使の探し物16小説 | 「山あり谷あり笑いあり」らんのblog

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あれから5日がたったが康成はいまだに姿を現さな…いや現せずにいた。

仏壇の隅でいじけている康成に天使が


「まさか探し物の中に二次元アイドルの手紙が紛れてるとは俺でも思わなかったわ」


と言うと


「本当は探し物がなにか知ってたんだろ嘘つき天使」

「はぁんなわけないだろ、それが見つかったら天使には光って見えるようになってんだよ。でもファンレターの返事は光ってなかったんだけどな」

「ほら知ってたんじゃないか」

「その場で分かるってやつ、それに特例以外には教えちゃいけないって規則なんだよ」

「特例特例ってうるさいのぉ」

「仕方ないだろ」


また落ち込む康成


「何でファンレターの返事が入ってたんだよ」

「あれはだな、手紙が届いたんで隠すところを探していたら忘れていたあの箱を見付けてな


忘れてたのかよ


「そう言うな、懐かしくて時間がたつのも忘れて何度も読み返してたんだ。その時に紛れ込んだんだな」

「ファンレターの返事はおまけって事か」

「あれは絶対に家宝になる信じろ」

「だからそんなのは要らないって言ってただろ」


また落ち込む康成。


しかたねーな


「おっさんの気持ちは良く分かったから」

「天使は優しいのぉ男前だのぉ、俺の方が優しくて男前だがな」


この糞オヤジ


そんなやり取りをしていると美砂子と紀理子と徹がやって来た。


「あれ以来、姿が見えないんだけど父さんって本当に成仏したのかしら」

「どうかなぁ、あんなにあっさり居なくなるもんかなぁ」

「探し物が見つかったからそうなんじゃないの」


と台所に行きながら紀理子が言った。


まだ怒ってる触らぬ神に祟りなしだな


美砂子と徹は顔を見合せ頷いた。


「でもさ、結局何だかんだみんなを振り回して消えた父さんって幸せ者よね」


と美砂子が言うと徹が


「だよな良いところ持ってくよなー」


そこに紀理子がお茶とお菓子を持ってきた。


「なに、まだ父さんの話をしてるの?」

「美味しいところを持っていったなーってね。でもあそこで2次元アイドルはないわぁ」

「俺も同感」


すると紀理子が呆れたように笑い


「本当に父さんは昔っから何かに夢中になる癖があったけど、さすがに2次元アイドルには勝てないわ向こうは年もとらないんだもの」

「それよね、ん?勝てないってどういう…まあ良いか。でもさ変に誤解されるより母さんには言っておいても良くない?そういう所が面倒くさいわぁ、そういやぁ徹も面倒くさいわよね」

「えっここで俺を出す」

「そうね、徹も父さんにそっくりで石橋を叩き割っても渡らないっていう面倒くさい子なのよね」

「俺のどこがだよ!」


巻き込まれた徹が怒ると美砂子が


「肝心なときに色々とうだうだ考えるし、お人好しで巻き込まれて身動きとれなくなってぐるぐるする所とかね。あんたねいい加減に彼女との事決めなさいよ。女のほうがシビアなんだからいつまでも待ってくれないわよ」


と言われて目が点になる徹。


「今それ言うか、分かってるよだから決めたんだよ結婚するって」

「えっ?」


紀理子と美砂子が驚いていると


「迷ってたんだけど、あの2人岩田さん達のことがあって決めた」

「彼女にはいったの?」


と紀理子が聞くと


「今日連絡する、式は来年にしようかなって思ってる」

「ダメー」


美砂子が大声で叫ぶと隠れていた康成と天使も驚いた。


「いいこと結婚式は来月中にしなさい、式場なら私が探してあげるから」

「ええでも」

「それは嬉しいわね、さあさあ今すぐに電話してらっしゃい。美砂子頼むわね」

「任せて行くわよ徹」

「えっちょっと」


美砂子は徹を引きずって去っていった。


「なんて嬉しいのかしらねぇ父さん」


突然ふられて驚きながら康成は姿を現した。


「気付いていたのか」

「当たり前でしょ、セイさんもいらっしゃい」


天使も出てくると、紀理子はお茶を入れだした。


「セイさんお茶どうぞ」


お茶を出す紀理子に


「実は基本飲んだり食べたりしないんだよね」


と天使が言った。


「あらまあ、そうだったのね」

「じゃあお前は飲むな食べるな」


と嫌みを言う康成を紀理子はキッと睨み付け


「お父さん」

すみません」


とビビる康成を見て可愛そうになった天使は


「せっかくだから頂くよ」


と言いお茶を飲みだした。そんな天使に紀理子は微笑みながら


「お菓子も食べてね」


と言うと天使は


「ありがとう、でもそろそろ仕事にもどらないと。そうだおっさんは一度仏壇に供えてもらうとすぐに飲んだり食べたり出来るからそこんところよろしく」

「そんなシステムなのか…で天使はもう行くのか?」


康成が聞くと


「また後で迎えに来るから残りの時間を思いっきり楽しめよ」


去って行く天使


残りの時間?


紀理子が不思議に思っていると、天使の姿が薄れていった。


「ありがとう天使、いや~なかなかいい奴だったな」

「父さん残りってなんの事ですか?」


振り返ると冷ややかな紀理子が


「それは四十九日になったら成仏出来るからそれまで楽しめよって事に決まってるじゃないか」


と康成が言うと紀理子が深いため息をついた。そこに美砂子と徹が戻って来て康成を見て驚いた。


「え~ウソぉ」

「なんでまだ居るんだよ」

「何なんだその反応は嬉しいだろ?なっ」


記理子がお茶とお菓子を片づけながら


「四十九日まで要るんですって」

「えーそうなの?」

「マジか」


複雑な表情の2人に康成が


「お前たちなんだその嫌そうな顔は」


すると美砂子が


「あ~私買い物に行こうと思ってたんだじゃあね父さん」


と去っていくので康成は慌てて


「まてまて美砂子もうちょっと話さないか」


すると今度は徹が


「俺も明日帰るって連絡しとこ、おばさんちに渡してある契約書も取りに行かなきゃだし、結婚式の事も話さないとだし」


とっとと去って行く徹


「おい徹それは寂しいぞ彼女の事教えてくれよ徹」


薄情もん


そこに湯呑を持って来た紀理子。康成はにっこり微笑み


「本当にあいつらは冷たいのぉ男親って寂しいもんだ。でもこんなに優しい母さんがいるしな、やっぱり俺には母さんだけだ

「父さんお茶供えておきますね、私は美砂子と買い物に行って来ますから洗い物とか洗濯とか後お願いします」

「へ?」

「いい留守番が出来て良かった!ああ、それから今までの分も思いっきりこき使いますから覚悟して下さいね」


去って行く記理子に顔面蒼白になった康成は空を見上げて


「天使、頼む今すぐ成仏させてくれ。怖いよ~本当の鬼がいたよ~天使聞いてるんだろ天使」


康成の情けない叫び声を部屋で聞いていた徹は


「何なんだようるさいなぁ、でもなんか忘れてる気が」


と言い部屋に戻って来ると嬉しそうに康成が見た。


「徹戻ってきてくれたのか」

「いや忘れてる事があって」

「なんだ」

「結局、父さんって誰に殺されたんだ?」


暫くの沈黙。そこに美砂子と紀理子が出掛ける用意をしてやって来た。2人の様子を不思議に思った美砂子が


「どうしたのよ2人とも固まっちゃって、変よ変」

「そうね2人ともどうしたの?」


と言うと


「俺は誰に殺されたんだっけ」


と呑気そうに康成が言った。


「父さんが分からないんだったら分かるわけないだろ、いくらビデオに写ってるっていったって」


と徹が言うので紀理子は仕方なくビデオカメラと充電器とケーブルを取り出し


「徹、見てきなさい」

「あ゛」


徹はしまったと思った。


「いやいや一人は無理だって」

「徹、母さんがこう言ってるんだから」


美砂子がニヤリと笑った。徹は諦めた表情になりビデオカメラなどを受け取り


「じゃあ父さんと見てくるよ本人なんだし、父さんほら行くよ」

「えー面倒くさいのぉ」

「誰のせいだと思ってんだよ」


と言い徹は康成を引きずって部屋に向かった。


「なるほどおっさんを追い込む素晴らしい連携プレイだ」


と言い天使が出てきた。美砂子が嬉しそうに


「セイさんまだいたのね」

「ちょっと伝え忘れててね」

「え?」


驚く2人に天使が


「実はおっさんを殺したのは」

「殺したのは」


ニャー‼️


「やだいつも入ってくる野良猫じゃないの、母さん追い出さないと」

「あらまあそうね、あっち行きなさい」


と言うと猫は去っていった、気を取り直して美砂子が


「で父さんを殺したのは?」

「それは…」

「そいつだー‼️」


と叫びながら康成と徹がバタバタしている。


「まてまて」


ニャー


紀理子はハッと気付き


「もしかして」


徹が部屋に駆け込んできて


「父さんが魚の骨で苦戦している時に助けを求めようと尻尾を掴んだら、やつがやつがドロップキックしやがったんだぁ」


すべてを悟った紀理子と美砂子。


「まあ猫は嫌がるよね、尻尾」


と天使が言っていると康成の大きな声が


ギャー


ニャー‼️


ガリガリガリ


あ、顔を引っ掛かれたな


康成かボロボロで入ってきて


「誰か誰かアイツを捕まえてくれ、しっ真犯人を」


 と言い気を失ったので4人は、手を合わせた。


おしまい