前世の記憶を思い出し、自分が自作小説の脇役姫になっていると気付いた主人公。妹が設定をいじったせいで本来意図していたのとは違う話になってしまったその小説において、主人公の立ち位置は「役立たずの嫌われ者」。筋書きを変えようにも、既に癇癪持ちの我儘姫として有名になってしまっているし、これから悪評を返上して皇位を継ぐのも性格的に向いてない。ならば物語の筋書きを変えるのではなく、流れは維持しつつ自分だけがフェードアウトし、自分の憧れを詰め込んだ”主人公”たちを陰から応援しよう…。そう決意した主人公だったが、なぜか周囲の評判が良くなったり本来なら無かったはずの”神の恩恵”が与えられたりと思いがけない事ばかりが起こって…

というわけで、自分の創作した物語のはずなのに全然違う展開になって翻弄されてる話。結構面白かったです。

自作の小説、といっても実は設定止まりで実際には文章化されていないうえ、不仲だった妹の横槍のせいで「爽快な冒険ファンタジー(主人公作)」と「泥沼な昼ドラ(妹作)」の二つの設定が入り乱れ、主人公にすら訳がわからなくなっている、というのが新鮮です。

主人公の設定ではハッピーエンドになるはずだけど、実は「戦乱が起こる」というざっくりした設定があるだけで経緯などの詳細な設定やその後の展開を全く決めていなかったからこの先どうなるか分からない、というのが(笑)
分かるわ~。こういうの心当たりあるわ~。私も学生時代にこんなざっくり設定の物語考えてた覚えあるわ~(笑)
あれですよね、ヒーロー・ヒロインの容姿とか能力とか出会いエピソードとかは細かく決めるけど肝心の物語の設定はおざなりで「色々トラブルが起こるけど二人で乗り越えてハッピーエンド」とかメモ書きしてある、アレですよね。いやその「色々」の部分をちゃんと考えろよ、というアレ。
確かに、そんな「物語以前」の舞台に登場人物として放り込まれたら詰むわ(笑)

にしてもこの世界、主人公の周囲の大人達が結構ひどいですね。後に判明したところによれば主人公の「我儘」や「癇癪」って「熱を出した時に両親にそばにいて欲しいとねだった」とか「親に関心を払われないことで癇癪起こして枕やぬいぐるみを投げた」とか…子供あるあるの可愛い行動ばっかりじゃん!
なのに「偉大な皇帝と同じ行動が取れないとは」だの「皇帝並みの能力を示せないとは」だのと勝手に幻滅して見下してたとか!年齢一桁の子供に対して期待することじゃねぇ…!
幼馴染や実の親である皇帝すらそう考えていて、主人公をきちんと見てくれていた人々から諫言を受けるまで、その理不尽さに気付いてもいなかったというんだから目も当てられない。

まあ「物語の主人公」である腹違いの姉の登場でそのあたりは是正されたし、今後は主人公にとって少しは楽な環境になりそうで一安心ですね。
設定した覚えのないイベントの連続で先が見えない、という大問題は残ってますけどね!


同じ作者の別作品 → 悪役令嬢、拾いました!しかも可愛いので、妹として大事にしたいと思います



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