政治資金規正法。その改正に向けた独自案を、自民党がやっと公表した。そう、やっとである。主要6与野党の中で、一番最後の公表だった。難産の末の未熟児の出産を思わせる。
難産だったその理由は、はっきりしている。法の抜け穴をーーちょっと見にはそれとはわからないような抜け穴をーー仕込むのに時間がかかったのだろう。
私が注目した点は2つある。1つは連座制の問題。もう1つは「政策活動費」の問題である。
きょうの朝日新聞が伝えるところでは、前者に関する自民庵の骨子は、次のようなものである。
「<代表者(政治家)の責任の強化>
・代表者は、会計責任者が法律に基づいて収支報告書を作成している旨の確認書を交付。会計責任者は収支報告書と確認書を併せて提出しなければならない
・会計責任者が不記載・虚偽記載で処罰された場合、代表者が収支報告書を確認しないで確認書を交付した時は代表者に刑罰を科す(公民権停止)
・不記載収入は相当額を国に納付させる」
(朝日新聞4月24日)
う〜む、よく出来ている。私が見たところでは、この自民案は「連座制」を導入したのと同じ効果を持つように見える。素人目には、そうとしか見えない。
ところが、朝日新聞は、これに次のような論評を加えている。
「(自民案は)議員が十分確認せずに確認書を交付した時に限って刑罰を科し、公民権停止にするとしたが、確認の具体的なあり方は示さなかった」。
「事件と照らし合わせると実効性があるのか疑問だ。
裏金作りが判明した約90人の議員のうち、会計責任者が処罰されたケースはほんのわずか。多くの議員は『連座制』の対象外となる。」
つまり、こういうことだろうか。自民案では、「議員が十分確認せずに確認書を交付した時に限って」刑罰を科し、公民権停止にする、としているが、この場合、「確認」の具体的なあり方が示されていないので、当該議員は言い逃れ次第で「連座制」の対象外になってしまう。
「はい、一応、確認はしました。確認書にはざっと目を通しました。ですが・・・」と議員が申し立てれば、その議員は「十分確認した上で確認書を交付した」ということになり、「連座制」の適用を免れることになってしまうのではないか、と。
第2の問題、「政策活動費」の問題についてはどうか。朝日新聞はこれについては特段論評を加えていないが、他党との違いを表にして明示している。
それによると、「政策活動費」は公明党が「使徒公開を義務化」、立憲民主党が「禁止」、日本維新の会、共産党、国民民主党が「廃止」としているのに、自民党だけは「見直しに慎重」なのだ。
この点については、朝日新聞の詳しい論評を知りたいところだが、これだけを見てざっくりいえば、自民党の改革案は「頭隠して尻隠さず」の感を免れない。「頭」は「連座制もどき」でかろうじて隠したものの、「尻」は「政策活動費」のままで丸出し、といったところか。難産のあまり、尻を隠す余裕などなかったのだろう。
キシダくん、やる気のないキシダくんよ、やっぱりなあ・・・。