2019年01月06日

堕ちるところまで堕ちて(17)

「そうでしょ、そりゃそうでしょ。皆、フニャチン弄りにわざわざ来たんじゃないんだからさ、頼むよ、こっちも金返金しなきゃならない。そもそも、自分で選んだんじゃなかったっけ?」
まあ、それもそうだな。皆にはちょっと待ってもらって、自分で扱いてまずは勃起させることにした。
しかし、自分では朝飯前だと思っていたが、いざやってみると全然、自分のカラダの一部なのに無反応だ。いつもは不随意に勃起するくらいなのに、今日に限っては全く血液が入っていく感じがしない。周りを見ると先ほどにも増して実に冷ややかな視線だ。いかにも「何やっているんだよ。」「とっとと勃たせろよ。」「それでも男なのかよ。」的な不信感、失望感がアリアリと見える。冷や汗が額から流れ落ち、冷たい床を濡らしていった。
この、不気味なほどの静寂な時間がどのくらい続いたのだろうか。恥ずかしがって縮こまった股間についたモノはどうしようもなく、そのすぐ後方に二つの玉が、どこ吹く風で何事もなかったかのような平気な風情でぶら下がっているのが寒々しかった。自分には関係ないと言わんばかりに。
「申し訳ございません。今日は諸般の事情で返金させていただきます。」
ブツブツオヤジたちは文句を言いながら、金を受け取った。そのまま帰るオヤジもいれば、椅子に座ってカバンをまさぐったり折りたたんだ新聞を読み出したりするオヤジもいる。次の回があるのだろう。
浩輔はようやく諦めて、乱雑に脱いで置いてあった服を着た。

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