人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

東京春祭オペラ R.シュトラウス「エレクトラ」を聴く ~ セバスティアン・ヴァイグレ ✕ エレーナ・パンクラトヴァ ✕ 藤村実穂子 ✕ ルネ・パーペ ✕ シュテファン・リューガマー ✕ 読売日響

2024年04月19日 00時02分30秒 | 日記

19日(金)。わが家に来てから今日で3384日目を迎え、NHKから国民を守る党の党首・立花孝志氏が8日までにXを更新、16日に告示された衆院東京15区補選で同党から立候補した福永活也弁護士の選挙ポスターを公開したが、ポスターには「自民党政策を推薦します」と書かれていた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     要するに自民党にすり寄って与党に入りたいんだろうが  世の中そんなに甘くない

 

         

 

昨日、夕食に「鶏むね肉焼き」「生野菜とアボカドのサラダ」「大根の味噌汁」を作りました 「鶏むね肉焼き」は初挑戦です 一見焦げているように見えますが、しっかり焦げてます でも味は上々でした

 

     

 

         

 

昨夜、東京文化会館大ホールで「東京・春・音楽祭 2024」参加公演、リヒャルト・シュトラウス「エレクトラ」(演奏会形式)を聴きました 出演はエレクトラ=エレーナ・パンクラトヴァ、クリテムネストラ=藤村実穂子、クリソテミス=アリソン・オークス、エギスト=シュテファン・リューガマー、オレスト=ルネ・パーペ、第1の侍女=中島郁子、第2の侍女=小泉咏子、第3の侍女=清水華澄、第4の侍女=竹多倫子、第5の侍女=木下美穂子、侍女の頭=北原瑠美、オレストの従者=加藤宏隆、若い従者=糸賀修平。管弦楽=読売日本交響楽団、合唱=新国立劇場合唱団、指揮=セバスティアン・ヴァイグレです

指揮をとるセバスティアン・ヴァイグレはベルリン生まれ。ベルリン国立歌劇場管のホルン奏者から指揮者へ転身しました リセウ大劇場、フランクフルト歌劇場の音楽総監督等を歴任、2019年から読売日響の第10代常任指揮者を務めています

 

     

 

「エレクトラ 作品58」はリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)が、ソフィクレスの「ギリシャ悲劇」に基づくフーゴー・フォン・ ホーフマンスタールの台本により1906年から08年にかけて作曲、1909年にドレスデンで初演された全1幕のオペラです

物語は「ミュケナイの王アガメムノンがトロイア戦争に出た後、妻クリテムネストラはエギストと通じ、帰還した夫を殺す その娘エレクトラは、妹クリソテミスが止めるのも聞かず、弟のオレストと共に父の復讐を遂げる」という内容です

 

     

 

最初に告白しておきます 恥ずかしながら、私はこのオペラを聴くのは生まれて初めてです 同じリヒャルト・シュトラウスのオペラでも「ばらの騎士」のCDは8組も持っているのに、「エレクトラ」は1組も持っていません これは私の悪い癖で、気に入った楽曲は違った指揮者や歌手で何枚も集めるのに、まったく興味のない楽曲には見向きもしない悪癖があるのです しかし、まだ1枚も持っていないからと言って予習のためだけに新たにCDを買おうとしても、すでに4000枚のCDで溢れているので置き場所がないのが現状です そんなわけで、この日はぶっつけ本番で生演奏に挑むことになりました

自席は1階R7列2番、右サイドブロック左から2つ目です。会場は7~8割くらい埋まっているでしょうか

演奏会形式のためオケはステージに乗ります 弦は16型で、左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、第2ヴァイオリン、チェロ、その後ろにコントラバスという変則的な編成です コンマスは長原幸太、隣は林悠介というダブルトップ態勢を敷きます

侍女役の歌手陣6人がステージに登場し、ヴァイグレの指揮で演奏に入ります 第1印象は「狂気の音楽」です オペラ「サロメ」に通じる狂気を感じました

 

     

 

エレクトラ役のエレーナ・パンクラトヴァが登場して歌い始めますが、迫力のある歌唱に度肝を抜かれました 彼女はロシアのエカテリンブルク生まれのソプラノです サンクトペテルブルク音楽院を卒業。レナータ・スコットに師事。イタリアとスペインの国際声楽コンクールで優勝 今月7日の東京春祭・ワーグナー「ニーベルングの指環」ガラ・コンサートでヤノフスキ―の指揮でブリュンヒルデ他を歌ったのが記憶に新しいところです エレクトラは最後のシーンまでほぼ出ずっぱりで歌うことになりますが、美しくもドラマティックな歌唱で会場の空気を震わせます 彼女のスタミナには驚くばかりです 彼女の熱唱を聴くと、このオペラは他のどんな役が束になっても成り立たない「エレクトラのためのオペラ」であることを認識させられます もう凄いとしか言いようがありません

クリソテミス役のアリソン・オークスは英国生まれのソプラノです 2005年、ハンブルクのロベルト・シュトルツ声楽コンクールで第1位・聴衆賞を受賞 世界の歌劇場で歌っています いかにも英国人らしい佇まいで、声量もあり美しい歌唱で聴衆を魅了しました

クリテムネストラ役の藤村実穂子は東京藝大・大学院、ミュンヘン音楽大学大学院修了のメゾ・ソプラノです バイロイトのワーグナー・コンクール、マリアカナルス・コンクール他で優入賞 バイロイト音楽祭で主役級の役で9年連続出演 最近では、今年3月の新国立オペラ「トリスタンとイゾルデ」ブランゲーネ役で好評を博しました 今回も役に成り切った素晴らしい歌唱を聴かせてくれました

エギスト役のシュテファン・リューガマーはドイツ・ヴァルトガッセン生まれのテノールです ヴュルツブルクとリューベックで学び、リリック・テノールとして世界のオペラハウスで活躍しています 出番は少なかったものの、良く通る軽いテノールで存在感を示しました

オレスト役のルネ・パーペはドイツ・ドレスデン生まれのバスです 1988年、在学中にベルリン国立歌劇場にデビュー以来、同歌劇場の専属歌手として活躍 ウィーン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座、メトロポリタン歌劇場をはじめ世界の歌劇場で歌っています 今回も魅力のある声質で低音の魅力を発揮しました

 

     

 

さて、今回特に印象的だったのはセバスティアン・ヴァイグレ指揮読売日響の切れ味鋭いドラマティックな演奏です ヴァイグレはオペラ指揮者の面目躍如といったアグレッシブな指揮により、読響から色彩感溢れる重厚なサウンドを引き出しました

満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました 休憩なしの105分は濃密な105分でした

 

     

 

     

             (エレクトラ役のエレーナ・パンクラトヴァ)

     

              (クリソテミス役のアリソン・オークス)

     

              (クリテムネストラ役の藤村実穂子)

     

                (オレスト役のルネ・パーペ)

      

              (エギスト役のシュテファン・リューガマー)

     

                 (侍女役の歌手の皆さん)

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リッカルド・ムーティ ✕ 東京春祭オーケストラ他でヴェルディ「アイーダ」を聴く ~ マリア・ホセ・シーリ、ルチアーノ・ガンチ、ユリア・マトーチュキナ、ヴィットリオ・カンポにブラボー!

2024年04月18日 00時01分08秒 | 日記

18日(木)。わが家に来てから今日で3383日目を迎え、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」を題材にしたオンラインの戦闘ゲームが開発中だと、ワグネルに近いとされるテレブラムチャンネルが15日、紹介動画とともに投稿した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     

     ゲームはプリゴジンが暗殺されて終了する? それともプーチンを返り討ちにする?

     

         

 

昨日、夕食に「豚肉の生姜焼き」「生野菜とアボカドのサラダ」「舞茸の味噌汁」を作りました 生姜焼きはソフトに焼け美味しくできました

 

     

     

         

 

昨日、東京文化会館大ホールで「東京・春・音楽祭2024」参加公演、ヴェルディ:歌劇「アイーダ」(演奏会形式)を聴きました 出演はアイーダ=マリア・ホセ・シーリ、ラダメス=ルチアーノ・ガンチ、アモナズロ=セルハン・ヴァシレ、アムネリス=ユリア・マトーチュキナ、ランフィス=ヴィットリオ・カンポ、エジプト国王=片山将司、巫女=中畑有美子、管弦楽=東京春祭オーケストラ、合唱=東京オペラシンガーズ、指揮=リッカルド・ムーティです

なお、東京春祭オーケストラは、全国のオケのメンバーを中心に、国内外で活躍する日本の若手演奏家によって臨時に編成されたオケで、ムーティとはこれまで度々共演を重ねています

 

     

 

「アイーダ」はジュゼッペ・ヴェルディ(1813-1901)が、スエズ運河開通を記念してエジプトのイスマーイール・パジャがカイロに建てた歌劇場の杮落しとして作曲を依頼され、1871年にカイロ歌劇場で初演された全4幕7場から成るオペラです 舞台は架空の古代エジプト。将軍ラダメスと囚われの身になったエチオピア王の娘アイーダの恋物語 軍の情報を漏らしたことでラダメスは反逆者として捕らえられて裁かれ、アイーダとともに神殿の地下牢で永遠の愛を誓いながら死んでいくという物語です

 

     

 

自席は1階R6列1番、右サイドブロック左端です 会場は5階席までほぼ満席です 帝王ムーティのヴェルディですから、当然でしょう

演奏会形式のためオーケストラがステージに乗ります 弦は14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、その後ろにコントラバスという並び ステージ下手にはハープが1台控えます。コンマスはN響第1コンサートマスター郷古廉、隣は東京フィルのコンマス依田真宣です

東京オペラシンガーズの男女混成合唱団のメンバー約100人がステージ後方にスタンバイし、ソリスト陣が指揮者の前のスペースに2列で控えます

満場の拍手に迎えられてムーティが登場し第1幕の演奏に入ります    冒頭の第1ヴァイオリンによる弱音の演奏は、研ぎ澄まされた名刀 政宗のようです   ムーティは冒頭から聴衆をアイーダの世界に引き込みます

 

     

 

アイーダ役のマリア・ホセ・シーリはイタリア系ウルグアイ人として生まれたソプラノです   パリ国立高等音楽院で学び、イレアナ・コトルバシュに師事し、世界の歌劇場で歌っています リリカルな美声が印象的です

ラダメス役のルチアーノ・ガンチはローマ生まれのテノールです システィーナ礼拝堂合唱団のボーイ・ソプラノとして歌い始め、その後、複数の音楽院でディプロマを取得、イタリアを中心に歌っています 2007年プラシド・ドミンゴの「オペラリア」コンクール入賞 昨年11月の新国立オペラ「シモン・ボッカネグラ」でガブリエーレ・アドルノを歌ったのが記憶に新しいところです 声量があり、力強い歌唱によりムリなく高音も伸び、存在感を示しました

アムネリス役のユリア・マトーチュキナはロシア出身のソプラノです 2015年チャイコフスキー国際音楽コンクール声楽部門で優勝 マリインスキー劇場のソリストとして活躍、世界のオペラハウスで歌っています 昨年、東京春祭「仮面舞踏会」でウルリカを歌ったのが記憶に新しいところです 魅力のある声質でドラマティックな歌唱が印象的でした 個人的には今回の出演者の中でナンバー1です

ランフィス役のヴィットリオ・デ・カンポはイタリア・ティラーノ生まれのバスです 数多くの国際声楽コンクールで入賞しており、イタリア・オペラを中心に歌っています 声量があり、独特の艶のあるバスで聴衆を魅了しました

アモナズロ役のセルハン・ヴァシレはブカレストの国立音楽大学で学んだバリトンです 昨年の東京春祭「仮面舞踏会」でレナートを歌いました 魅力のある声質で、堂々たる歌唱によりエチオピア国王としての威厳を示しました

エジプト国王役の片山将司、巫女役の中畑有美子の2人も良く声が通り 大健闘でした

東京オペラシンガーズの合唱は迫力満点で、「アイーダ」のスケールの大きさを示しました

特筆すべきは、リッカルド・ムーティ指揮東京春祭オーケストラによる演奏です 歌手に寄り添いつつ、自らアイーダの哀しみを、ラダメスの悩みを、アムネリスの悔しさを歌い上げました その一方で、第2幕第2場の「凱旋行進曲」では、ステージ左右の袖に控えたアイーダ・トランペットの勇壮な演奏を伴ってスケールの大きな演奏を展開しました そのすぐ後にオーケストラによりバレエ音楽が演奏されますが、私はフランコ・ゼッフィレッリ演出による新国立オペラ「アイーダ」で観たバレエを思い出しながら、とても楽しく演奏を楽しみました

第3幕の冒頭で演奏されたN響の梶川真歩によるフルート・ソロ、その後アイーダの歌に寄り添って演奏された読響の金子亜未によるオーボエ・ソロが素晴らしかった 終演後、ムーティが2人に握手を求めたのも頷けます

第4幕の最後に巫女たちの合唱にアムネリスが加わりラダメスの冥福を祈ります 音楽が消え、しばしのしじまの後、ムーティのタクトが下ろされると、満場の拍手とブラボーが飛び交いました そして、文字通り「1階席総立ちのスタンディングオベーション」が巻き起こり、ソリスト、ムーティ、合唱団、オーケストラを讃え、カーテンコールが繰り返されました

文句なしの素晴らしい公演でした

東京春祭では他の公演はカーテンコール中の写真撮影OKなのに、なぜかこのこの公演は撮影禁止なので、残念ながら写真はありません あの光景を頭に焼き付けておきたいと思います

今なお、第2幕の「凱旋行進曲」におけるアイーダ・トランペットのメロディーが頭の中を駆け巡っています

本公演はNHKテレビで放映するそうです 放送日時等の情報を入手次第 toraブログでもご紹介します

 

     

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

朝日新聞・吉田純子編集委員の「新聞記者の文章術 ~ 『音楽』を書くこと 3」を読んで / 森達也監督「福田村事件」を観る ~ 関東大震災直後の混乱の中で実際に起こった虐殺事件を描く

2024年04月17日 07時02分41秒 | 日記

17日(水)。昨日の朝日新聞朝刊のコラム「新聞記者の文章術」は吉田純子編集委員による「『音楽』を書くこと 3」でした 2009年9月18日付の朝日夕刊に掲載された、バレエダンサー、シルヴィ・ギエムへの吉田さんのインタビュー記事を取り上げています

そして、インタビューを記事にする際の留意点や醍醐味について次のように書いています

「録音しているからOK、ではなく、口調やテンションの変化、身ぶりも含めたたたずまいに心を研ぎ澄ませ、この人の本心を宿す言葉はどれか、どう捕えばそれが伝わるかなどと自問することに、インタビューという仕事の奥深さと醍醐味があります

それを踏まえて吉田さんは、3回目の文章術として「話を聴くときは、言葉そのものだけではなく、相手の話し方や空気にも心を研ぎ澄ませる」を掲げます

私流に解釈すれば、「人の話を聴くときは、言葉のニュアンスを掴むことが大切であり、それを文章にするときは、相手の言葉に含まれる本心を探りながら表現すべきである」ということになるでしょうか

ということで、わが家に来てから今日で3382日目を迎え、トランプ前米大統領による元不倫相手への「口止め料」をめぐる刑事事件の公判が15日、米ニューヨークで始まり、トランプ氏は裁判所内で報道陣を前に「かつてない政治的迫害だ。これは米国への攻撃なのだ」と起訴を批判して法廷に入った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     「これは魔女狩りだ」から「これは米国への攻撃だ」に 言うことが偉大になったね

 

         

 

昨日、夕食に「茄子と鶏の炒めもの」「生野菜とアボカドとワカメのサラダ」「シメジの味噌汁」を作りました また、今回初めて十五穀米を炊きました 「茄子と~」は久しぶりに作りましたが、ピリ辛で美味しかったです

 

     

 

便利なもので、こういうのが売っているんです コープで1袋88円でした

 

     

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹で森達也監督による2023年製作映画「福田村事件」(137分)を観ました 早稲田松竹で映画を観るのは2月5日以来です。「月」との2本立てですが、腰痛悪化を回避するため1本だけ観て帰ってきました

1923年、澤田智一(井浦新)は教師をしていた日本統治下の京城(現・ソウル)を離れ、妻の静子(田中麗奈)とともに故郷の千葉県福田村に帰って来る 澤田は日本軍が朝鮮で犯した虐殺事件の目撃者だったが、静子にはその事実を隠していた その年の9月1日、関東地方を大地震が襲う。多くの人々が大混乱となり、「朝鮮人が略奪や放火をした」「朝鮮人が集団で襲ってくる」などの流言飛語が飛び交う中、不安に駆られる人々は自警団を結成し、朝鮮人と見做した人を殺害するようになる。そんな最中の9月6日、香川から関東へやってきた沼部新助(永山瑛太)率いる薬売りの行商団15名は、次の地に向かうため利根川の渡し場に向かう 沼部と渡し守の田中倉蔵(東出昌大)の小さな口論に端を発した行き違いにより、興奮した福田村自警団の集団心理に火が付き、後に歴史に葬り去られる大虐殺が起こってしまう

 

     

 

この映画は、「i 新聞記者ドキュメント」など、数々の社会派ドキュメンタリー作品を手がけてきた森達也が自身初の劇映画作品として、関東大震災直後の混乱の中で実際に起こった虐殺事件「福田村事件」を題材に撮った作品です

事件は、駐在所の巡査が行商団の素性を本署に確かめに行っている間に起こりました 映画では福田村の村長が「本署での事実確認が取れるまで、勝手な行動は慎んでくれ」と止めますが、行商団の人たちの讃岐弁がよく聞き取れず「やっぱり朝鮮人ではないか」と疑いをかけ、澤田夫妻ら何人かの村民が「この人たちは日本人だ。冷静になるべきだ」と宥めるのも聞かず、次々と襲い掛かり、こども3人を含めて9人が殺されるに至ったのです

大災害が起こる時、こうした流言飛語や偽情報が飛び交うことは、この事件に限らずよくあることです 当時の情報伝達手段は「口コミ」がほとんどでしたが、現在はSNSが瞬時のうちに事実もフェイクニュースも広めます 今年早々の能登半島における大地震においても、過去の大震災の動画が流されたり、被害者を装って寄付を募ったりする悪質な情報が流れました 実害がないから良いという問題ではありません

この映画を観て一番印象に残ったのは、地方新聞社の若い女性記者の報道姿勢です 彼女は自分の目の前で若い朝鮮人の女性が自警団によって殺されたことから、これを事実として報道したいと上司に訴えます 「真実が報道できなのであれば、いったい何のために新聞記者はいるのでしょうか」という言葉が心に迫ります

 

     

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

読響「三大交響曲」&「三大協奏曲」のチケットを取る ~ 中野りな(vn)、佐藤桂菜(vc)、進藤実優(p)、大井剛史&出口大地(指揮) / 小澤征爾・武満徹 著「音楽」を読む

2024年04月16日 00時18分59秒 | 日記

16日(火)。17日(水)から26日(金)までMETライブ「運命の力」を挟んで10日連続コンサートなので、昨日は身体を休めるため、家で予習CDを聴きながら本を読んで過ごしました 昨日は月1回の新聞休刊日だったので幸か不幸か読書がはかどりました 新聞のない朝なんてコーヒーを入れないクリープみたいなもんです

話は変わりますが、読響サマーフェスティバル2024「三大交響曲」&「三大協奏曲」のチケットを、読響会員優先販売(1割引き)で取りました

「三大交響曲」は8月18日(日)14時から東京芸術劇場コンサートホールで開かれます プログラムは①シューベルト「交響曲第7番”未完成”」、②ベートーヴェン「交響曲第5番”運命”」、ドヴォルザーク「交響曲第9番”新世界から”」で、指揮は出口大地です

「三大協奏曲」は8月21日(水)18時半から東京芸術劇場コンサートホールで開かれます プログラムとソリストは①メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調」(Vn:中野りな)、②ドヴォルザーク「チェロ協奏曲」(Vc:佐藤桂菜)、③チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」(P:進藤実優)で、指揮は大井剛史です

 

     

 

さて、私は上のチラシを見て両公演のチケットを取ったのですが、下の写真の左側のハガキも届きました 明らかに両公演の開演時間が逆になっています チケットを取った後で写真の右側のハガキが届きました 天下の読響にしては あまりにも恥ずかしいミスです 通信費のムダだし、今後は二重・三重のチェックをして十分気をつけてほしいと思います

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で3381日目を迎え、米大統領選の民主党候補バイデン大統領と共和党候補のトランプ前大統領に対し、CNNを含む米報道機関12社が14日、テレビ討論会への参加を促す異例の公開書簡を出した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプはルール無視・フェイク連発の前例があるけど やった方がいいんじゃね?

 

         

 

昨日、夕食に「ハッシュドビーフ」と「生野菜とアボカドのサラダ」を作りました ハッシュドビーフは久しぶりに作りましたが、美味しかったです

 

     

 

         

 

小澤征爾・武満徹 著「音楽」(新潮文庫)を読み終わりました    小澤征爾は1935年 奉天(中国の藩陽)生まれ。一方、武満徹は1930年 東京生まれで小澤より5歳年上です

本書は1978年(昭和53年)5月8日、1979年11月16日、同年12月20日の3回、10時間近くにわたって行われた対談を、新潮社編集部の責任で整理・編集し、小澤・武満両氏の加筆・訂正を経て1984年(昭和59年)4月に刊行されたものです

 

     

 

本書から読み取れるのは、対談当時の日本のクラシック音楽界が置かれた時代状況です 対談の行われた1978年(昭和53年)当時、小澤はボストン交響楽団の音楽監督に就任してから5年目の43歳、武満はサンフランシスコ交響楽団からの委嘱により作曲した「鳥は星の庭に降りる」の初演の翌年にあたる48歳で、飛ぶ鳥を落とす勢いの2人でした

当時は、コンサートホールと言えば「東京文化会館」「日比谷公会堂」くらいしかなく、オペラを上演するにも専用のオペラ劇場がありませんでした サントリーホールが開館したのは1986年(昭和61年)、「新国立劇場」が開館したのは1997年(平成9年)でした

対談で小澤は次のように語っています

「オペラ座は必要だし欲しいね。これは現場からの意見だよ。日本の多目的ホールでオペラをする困難さは、ヨーロッパ、アメリカの状況に比べたら想像を絶するね オペラの公演のためにはどうしても会場練習が必要だし、舞台装置もいる、衣装を置く場所もほしいのに会場がない 見ていると気の毒だよ。仮に会場が確保できたとしても、東京の文化会館だと、規則がひどいんだよ。朝の勤務時間にならないと装置を運び込むことも出来ないし、夜中は使ってはいけない 昔は日曜日も開いていなかったんだ。ユニオンの強いアメリカやヨーロッパ、社会主義国でさえ、いざとなれば、夜中でも働いてくれる

「新国立劇場」の開館に当たっては様々な意見がありましたが、小澤の発言を待つまでもなく、オペラ専用の劇場が出来たことは良かったと思います

対談を読んで一番納得したのは「日本人が西洋音楽をやるメリット」についての小澤の発言です

「20年前に齋藤秀雄先生が指揮者のコースで言ったことを思い出したんだ 日本人である利点は、ドイツの音楽はドイツの音楽として勉強し、フランスの音楽はフランスの音楽として勉強し、イタリアの音楽はイタリアの音楽として勉強し、ロシアの音楽はロシアの音楽として勉強することが出来る点だ これは日本人としての利点だと それは西洋音楽の伝統を持たないから可能なのだ ヨーロッパ人の欠点は、ドイツ人がフランスの音楽をやると、どうしてもドイツの音楽になっちゃうことだ フランス人がフランスの音楽をやったら、素晴らしいし、ドイツ人のドイツ音楽は素晴らしい これは斎藤先生の名言だと思う 僕らが日本人であるゆえに西洋音楽のいかなる伝統もないという欠点を利点に変えるためには、選択をちゃんとしなければいけない 日本人として大事なことは、ドイツにはドイツの伝統があるけれども、その伝統にはいい伝統と悪い伝統がある。日本の伝統だって悪い伝統といい伝統がある

斎藤秀雄先生の「名言」を実践に移し、世界のクラシック音楽界で証明してみせたのが、一番弟子の小澤征爾だったということですね

音楽の話とは離れますが、2人に共通するエピソードとして初めて知ったのは、三島由紀夫自決事件(1970年)当日の出来事です

武満「あなたのお父さんの葬式に行く時、市ヶ谷の自衛隊の前で車が止まって動かなくなった 9年前の11月25日。その時三島事件が起きたわけだ 僕は現場の目の前にいて、タクシーのラジオが実況放送するのを聴いていた。あんなショックはなかったな。そこから小澤さんの葬儀に出席した。なにか不思議な気持ちがするね

小澤「事件の2か月前だったかな? バーンスタインが来日していて帝国ホテルへ会いに行ったんだ ちょうど三島さんがバーンスタインの部屋から出てきて、そこで三島さんと出会ったんだ。三島さんは、何かおれのことを怒っていたんだね、あんなに親しかったのに 廊下ですれ違っておれがオスッて手を揚げると、顔をそむけて挨拶もしないんだ。もう死ぬつもりだったんだろうけどね だけど、バーンスタインは三島さんの死をよく理解していたみたいだよ

武満「それも不思議な話だね

武満が三島に会ったのは1度しかなかったそうです 不思議な出来事があるものですね

本書の巻末には小澤征爾と武満徹の誕生から1984年(昭和59年)までの年譜が対比して掲載されています これを見ると、いかに2人が世界を相手に活躍をしてきたかが分かります 小澤はその後、ボストン交響楽団の音楽監督を通算29年間も務め、1992年には「サイトウ キネン オーケストラ」を立ち上げ、2002年から2010年まで世界のクラシック音楽界の最高峰とも言うべき「ウィーン国立歌劇場」の音楽監督にまで登り詰めました

また、本書には小澤征爾ディスコグラフィ(1962年1月以降1984年3月まで)と、武満徹ディスコグラフィ(1984年までに発売されたレコード)のほか、当時の写真がふんだんに掲載されていて、見ても楽しめる内容になっています

武満徹は1996年に66歳で、小澤征爾は2024年に88歳で向こうの世界に旅立ちました 今ごろ あちらの世界で音楽について対談しているかもしれません

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マレク・ヤノフスキ ✕ NHK交響楽団でシューベルト「交響曲第4番」、ブラームス「交響曲第1番」を聴く ~ N響4月度定期Aプロ公演 / フェスタサマーミューザ洗足学園大学のチケットを取る

2024年04月15日 00時42分50秒 | 日記

15日(月)。7月30日(火)18時半からミューザ川崎で開かれる「洗足学園音楽大学 巨匠・秋山と若き才能たちが舞う『四季』」のチケットを、ミューザ友の会会員先行販売で取りました これは「フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2024」参加公演で、プログラムは①グラズノフ:バレエ音楽「ライモンダ」組曲から抜粋、②同:バレエ音楽「四季」です 出演はバレエ=洗足学園音楽大学バレエコース、管弦楽=洗足学園ニューフィルハーモニック管弦楽団、指揮=秋山和慶、振付=山本康介です

このコンサートは毎年楽しみにしている唯一のバレエ公演(ほかにバレエは観ないので)ですが、S席:2000円、A席:1200円は良心的です

なお、8月3日の「真夏のバッハ」と同7日の「昭和音楽大学」も魅力的なのですが、この2公演を聴くと15日連続コンサートになってしまい、体力的にもたないので、涙を呑んで諦めることにしました これにより、今年のサマーミューザは12公演聴くことになります

 

     

     

 

ということで、わが家に来てから今日で3380日目を迎え、トランプ前米大統領は13日、鉄鋼大手USスチールの12日の臨時株主総会で日本製鉄による買収提案が承認されたことを受け、買収阻止しなかったとしてバイデン政権の対応を批判した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプが買収を阻止するとしたら  支持者達を扇動して 殴り込みをかけるんだろ

 

         

 

昨日、NHKホールでNHK交響楽団「4月度定期演奏会Aプロ(2日目)」を聴きました プログラムは①シューベルト「交響曲第4番 ハ短調 D.417 ”悲劇的” 」、ブラームス「交響曲第1番 ハ短調 作品68」です 指揮はマレク・ヤノフスキです

指揮をとるマレク・ヤノフスキは1939年ワルシャワ生まれなので今年85歳になります ケルン音楽大学でウォルフガング・サヴァリッシュに師事しました フライブルク歌劇場、ドルトムント歌劇場、フランス放送フィル、スイス・ロマンド管、ベルリン放送響、ドレスデン・フィルなどでシェフを歴任しました 東京・春・音楽祭では2014年からN響を振って「ワーグナー・シリーズ」を展開し、今年は「トリスタンとイゾルデ」と「ニーベルングの指環 ガラ・コンサート」を指揮しました

 

     

 

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものN響の並び コンマスはドレスデン・フィルの第1コンサートマスター、ウォルフガング・ヘントリヒです どこかで見たことがあると思ったら、先日の東京春祭「トリスタンとイゾルデ」と「ニーベルングの指環 ガラ・コンサート」のコンマスを務めていた人でした

1曲目はシューベルト「交響曲第4番 ハ短調 D.417 ”悲劇的” 」です この曲はフランツ・シューベルト(1797-1828)が1816年(19歳の時)に作曲しましたが、初演年月は不明です 第1楽章「アダージョ・モルト ~ アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります

オケの総奏で第1楽章序奏部に入りますが、ヤノフスキのことなのでガツンと来るかと思っていたら、ソフトに演奏されたので若干拍子抜けしました アレグロに移ると、弦楽セクションを中心に短調特有の切羽詰まった曲想が奏でられます 調性こそ異なるもののモーツアルトの第25番ト短調シンフォニーと同じ哀しみを感じさせます 第2楽章の穏やかさは、ハイドンの交響曲を想起させます 吉村結実のオーボエ、神田寛明のフルートがよく歌います 第3楽章はシューベルト特有のスケルツォです 第4楽章に入ると、再び 速いテンポで焦燥感に満ちた音楽が演奏され、哀しみが疾走します 引き締まった良い演奏でした

 

     

 

プログラム後半はブラームス「交響曲第1番 ハ短調 作品68」です    この曲はヨハネス・ブラームス(1833ー1897)が1855年から1876年にかけて作曲(22歳から43歳の時)、1876年カールスルーエで初演されました   第1楽章「ウン・ポコ・ソステヌート ~ アレグロ」、第2楽章「アンダンテ・ソステヌート」、第3楽章「ウン・ポコ・アレグレット・エ・グラツィオーソ」、第4楽章「アダージョ」の4楽章から成ります

オケは16型に拡大します

ヤノフスキの指揮により、ティンパニの連打で第1楽章が開始されます ヤノフスキはもっと重みを持たせてゆったりとしたテンポで演奏するかと思っていたら、速いテンポでサクサクと進めていくので拍子抜けしました 率直に言って軽い演奏だと思いました しかし、それは序盤だけに止まり、中盤からは弦楽セクションを中心に重厚感が増してきました 第2楽章では、吉村のオーボエと神田のフルートがよく歌い、弦楽セクションのアンサンブルが美しく響きました 第3楽章では伊藤圭のクラリネットが素晴らしかった 第4楽章では序奏部の後半、ホルンによって ブラームスがクララ・シューマンに捧げた 有名なテーマが奏でられますが、この演奏が味わい深く素晴らしかった それに続く神田のフルートも良く歌っていました そして、分厚い弦楽セクションにより明るく”勝利”のようなテーマが奏でられますが、軽すぎず重すぎず、中庸を得た素晴らしい演奏でした その後、ヤノフスキは急にテンポを上げ、オケを追い立てます そうかと思うと、再びテンポを落として弦楽器に十分に歌わせる、というようにメリハリの効いた指揮ぶりをみせました 途中、オーボエがベルアップ奏法をみせていたのには ちょっと驚きました ホルン、トランペット、トロンボーンといった金管楽器と木管楽器群が咆哮し、ティンパニが炸裂し、弦楽器が渾身の演奏を展開、集中力に満ちたアグレッシブな演奏で圧倒的なフィナーレを飾りました

満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました 85歳のヤノフスキを何度もステージに呼び戻すのは気の毒な気がしますが、会場内は熱気が充満していました

 

     

 

この日の公演はヤノフスキの今年最後の客演となったため、楽員を代表して女性ヴァイオリン奏者から花束が贈呈されました

ところで、N響2024/2025シーズンのラインナップにはヤノフスキの名前がありません 来年は東京春祭「ワーグナー・シリーズ」に期待するしかないようです

 

     

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする