人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ポン・ジュノ監督「パラサイト 半地下の家族」を観る ~ スリルとサスペンスに溢れた 第72回カンヌ国際映画祭「最高賞」パルムドール受賞作 : TOHOシネマズ新宿

2020年01月29日 07時22分57秒 | 日記

29日(水)。昨日の日経夕刊 文化面にクラシック・コンサート評が載っていました 音楽評論家E氏が1月度N響定期演奏会(1月11日、12日。エッシェンバッハ指揮によるマーラー「交響曲第2番”復活”」)について批評を書いているのですが、内容はともかく、コンサートが終わってから16日も経った今ごろになって 批評を載せてどういう意味があるんだろうか? と考えてしまいました もっとも、当該コラムで取り上げられないコンサートの方が圧倒的に多いわけですから、批評の対象として取り上げられること自体に意義があると言えなくもないかもしれません しかし、それにしても遅すぎると思います。どうせ載せるなら公演終了後せめて1週間以内に掲載して欲しいと思います   新聞は日刊紙であって「音楽の友」のような月刊誌ではないんですから

ということで、わが家に来てから今日で1947日目を迎え、トランプ米大統領は27日、ホワイトハウスで記者団に対し、政権が策定してきたイスラエルとパレスチナの中東和平案を東部時間28日正午に公表すると明らかにしたが、和平案はイスラエルに有利な内容とみられており、パレスチナが受け入れる可能性は低い というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     大統領選の点数稼ぎはいいから ボルトン氏を弾劾裁判に召喚するようにしてくれ

 

         

 

昨日の夕食は、大学時代の友人で千葉県勝浦市在住のS君が送ってくれた大ぶりのサバを塩焼きにして、タコの山掛けを作りました サバは脂がのってとても美味しかったです

 

     

 

         

 

昨日、TOHOシネマズ新宿でポン・ジュノ監督による2019年製作「パラサイト  半地下の家族」(韓国・132分)を観ました 第72回カンヌ国際映画祭「最高賞」パルムドール受賞作です

父ギデク、母チュンスク、息子ギウ、娘ギジョンのキム一家4人は全員が失業中で、狭く薄汚れた半地下のアパートでその日暮らしの貧しい生活を送っていた 水圧の関係で、家の中で一番高いところにあるのがトイレ。そこまで上らないと携帯の電波も入らないという悲惨な生活だった ある日、長男ギウが友人ミニョクの紹介でIT企業のCEOであるパク氏の豪邸へ、娘ダへの英語の家庭教師として雇われることになる そして妹のギジョンも兄に続いて息子ダソンの絵の教師として豪邸に入り込む。次にギジョンがお抱え運転手に罠を仕掛けてキム氏に解雇させ、その後釜に父ギテクを送り込む そして、大ベテランの家政婦ムングァンが桃のアレルギーであることを突き止め、それを利用して彼女が結核だとパク夫人に思い込ませて彼女を追い出し、その後釜に母チュンスクを送り込む かくして4人は、パク夫妻に同じ家族であることを気付かれないまま ”就職”することに成功する 息子ダソンの誕生日にパク一家がキャンプのため外出中、キム一家は大豪邸を勝手に使い、計画が巧くいったと飲み食いして喜んでいるところに解雇された家政婦ムングァンが訪ねてきて、忘れ物をしたので取りに来たと言う 仕方なく屋敷に入れると、パク夫妻の前にこの豪邸に住んでいた建築家が作ったという秘密の地下室に入っていった。そこには、借金取りから身を隠すため、ムングァンの夫が隠れ住んでいた この出会いから、半地下生活のキム一家と豪邸暮らしのパク一家の運命は大きく転換し、とんでもない悲劇に突き進んで行く

 

     

 

パラサイト(parasite)とは「寄生動・植物」「居候(いそうろう)」という意味です 親のすねをかじりながら親元で暮らす独身者のことを「パラサイト・シングル」と呼びます

さて、キム夫妻は新しく家に”就職”してきた4人が同じ家族だと気が付きませんが、息子のダソンだけは「同じ匂いがする」と言い、ただ一人感付いています また、キャンプに出かけたキム一家が予定より早く家に戻ってくることになり、宴会をやっていた4人は慌てて隠れるのですが、彼らが同じリビングにいるのを知らないキム氏は妻に「ギテクは優秀な運転手だが、切り干し大根か布巾の匂いがする」と訴えます ポン・ジュノ監督は、韓国の階級社会を”匂い”で象徴させたのではないかと思います その後、パク夫妻が寝落ちた隙に母チュンスクを除く3人は大豪邸から逃げ出します。3人は大雨の降る中を半地下のアパートに向かうのですが、カメラは階段の上から下へ滝のように流れ落ちる雨水を映し出します この水は、高台の高級住宅地から下方の安アパートへ流れ落ちることはあっても、その逆はないこと映像で示しています 厳しい受験競争を経て一流企業に就職できる一握りの「勝ち組」になれなければ、一生を「負け組」として底辺社会で生きなければならない階級社会の中では、上流から下流へ落ちることはあっても、下流から上流に登ることは不可能に近いことを象徴しているかのようです つまり、半地下生活の”匂い”は生涯消えないのです 半地下のアパートは浸水して生活できなくなり、彼らは避難所となった体育館で過ごすことになりますが、こういうことも高台の高級住宅地では考えられないでしょう

この映画を観終わって頭に浮かんだのは、是枝裕和監督による2018年製作映画「万引き家族」です 「パラサイト」の前年の第71回カンヌ国際映画祭「最高賞」パルムドール受賞作です

「万引き家族」は東京下町に暮らす柴田治、妻・信代、息子・祥太、信代の妹・亜紀、治の母・初枝、そして新たに家族になったユリの6人の物語です 一家は初枝の年金と、治と祥太の万引きによって生計を立てています 社会の底辺で暮らす貧しい人々を描いた作品ということでは、「パラサイト」と共通しています 2つの作品の大きな相違点は、主人公一家が「パラサイト」は本物の家族なのに対し、「万引き家族」は血縁関係のない疑似家族だったことが最後に判るということです

昨年、NHKのニュース番組で是枝裕和監督とポン・ジュノ監督の短い対談が放映されました その時、是枝監督が「『パラサイト』を作った時、格差社会などの社会問題をテーマにしようと思いましたか?」と訊くと、ポン・ジュノ監督は「そういう意識では撮っていません。ただ現実をあるがままに撮りたかっただけです」と語っていました。これには是枝監督も同感の思いを語っていました

「社会性を持った映画」とか 難しいことを考えないで気楽に楽しめる映画です とくに秘密の地下室が発見されるシーンからは、先が読めないスリルとサスペンスに溢れたストーリー展開で、ワクワクドキドキします 最近観た中で一番面白かった映画です。お薦めします

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