Raising Hell
Fatback Band
Westbound UK
1995-10-03

ファットバックバンド (Are You ready)Do The Bus stop  1976



トム ミッシュの端正なミクスチャに、感嘆しながらも、なぜかそのシューゲイザー的諦観に、ブルーになってしまっていた今日この頃だが、サウス オブ ザ リバーの後に見つけた、トム ミッシュの諦観を突き破るブラック 暴れん坊 ほとばしるミュージックヴィデオ。調べたら、サヴォイでストンプ チャカ カーンの新作。Like Sugar。

 亡きアレサを引き継いだ、70’sからのディーヴァ。金子マリと意気投合したとのエピソードが美しいチャカも、おそらくいい歳のはずだが、チャカ自身が一切出てこないPVは、極めて今的で、英国ミッシュ坊ちゃんのサウス オブ ザ リバーにリンクしたかのような、ビルのバックドア風ロケでのアフロダンスが、ジョー テックスのアイ ガッチャのソウル トレインでのダンサーを思い出させるくらいの米国内アフリカ。


にしても、JBの偉大さを速攻で連想させる、ファンクベースライン。コラージュに貶められそうな、心地よいシティソウルなんたらを、そうじゃねえだろうと覚醒させる、非ループ的ゴリゴリ。ポイントは非ループ。
久しぶり、フェラ クティも思い出した。

で、PVのロケ的集団ダンスも、例のハッピーやサウス オブ ザ リバーの目くらまし的連帯感のアンチテーゼになっている様。女性ダンサーのアフロ的かっこよさ。思わずブラック イズ ビューティフルと言ってしまうような世界。

と夢中なのだが、このLike Sugarの元が、ファットバック バンドの1976年のバス ストップだと松尾潔のtwitterで知ったら、我がItunesにもあった。76年の地味なジャケのRaising Hell。例のBチェーンで手に入れ、ジャケに反しての高クオリティに愛聴してたが、このジャジーかつラテン感あふれる70年代グルーヴは、オハイオ プレイヤーズやプレジャーなどとともに、当時のアメリカンアフログルーヴ。

米国ブラックミュージックの誇りとしての、高品質は、これだけ3dプリンター的レプリカ的音楽が実現できるようになっても、到達できないのは、少し前に久しぶりに聴いた、ソウルジャズ チャールズ カイナードのソウル プロフェッサーを聴いても思った。あのチャールズも凄い。共演の カル グリーンも、そのカルのかってのボス、ハンク バラードも。

ヤバい国営放送が、AIキャンペーンを孫正義と行っても、それを超えていく人間自体の身体性が、ファットバックバンドにも、チャールズ カイナードにも、ハンク バラードにもある。
そして、現実のアメリカに生きるチャカ カーンがたたきつけたLike Sugar。84年のFeel for You以上の、個人的には衝撃。

ファットバックバンドも以前からレアグルーヴ的には評価されてたが、もっとストレートにドファンクの傑作として、もっと聞かれてほしい気がする。Raising Hellのアルバムも、バスストップ以外も、パーティー タイムや、スパニッシュ ハッスルやオール デイなど、ニューヨーク的傑作が目白推しだから。

トム ミッシュも私は、サウスオブザリバーは特に好きだが、やはり英国ブルーアイドソウルなのだ。ループ感のあるトラックに、生のギターサウンド。でも弾きすぎるとブリティッシュロックみたくなるライブも、60年代や70年代のブルースロック的ギタリストを思い出した。ミック テイラーとか。

サウス オブ ザ リバーは、間奏のエレピのソロが一番好きなのだが、そこが英国ジャズファンク的なのは、4HEROのディーゴをトム ミッシュ聴くと思い出すのにもつながるのかも知れない。

他4曲

ジェフ ミルズ   Now Is The Time
チャールズ カイナード  Sister Lovie
ハンク バラード  Finger Poppin Time
つのだひろ   サニー



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