ソ連崩壊の講演を聴いて考えたこと 

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1月12日、大阪・天満橋にて西村貴仁氏による講演「(ソ連型)社会主義体制はなぜ崩壊したか」を聴きました。今回は備忘録として、講演の感想を書きたいと思います。

① 計画経済とアフターサービスの欠如 

内容をすべて書くと”ネタバレ”になってしまうため、話を掻い摘んで書きたいと思います。ソ連が崩壊した要因として西村氏が強調していたのがアフターサービスの欠如です。つまり、社会主義の柱である計画経済にはアフターサービスが含まれていなかったのです。

旅行中の出来事を考えると「なるほど」と思いました。1970年代に建てられた建造物を見ると、品質的に日本と変わらないように思います。しかし、トイレや照明などが”微妙に”壊れている。計画経済ではアフターサービスが欠けていたので、そのまま放置されていました。

建物ならまだしも列車や飛行機のアフターサービスが欠けていたらどうなるのでしょうか。思わず背中がゾッとします。ソ連崩壊後に頻発した飛行機事故はソ連経済の弱点をさらけ出しているように思います。

② コスイギン改革について 

第二次世界大戦後のソ連は1985年のゴルバチョフ書記長の登場まで全く改革が試みられなかったというイメージがあります。しかし、それは正しくありません。

1960年代、ソ連首相のコスイギンは経済改革を試みました。その内容は企業に一定の自主権を与えるものでした。しかし、改革は不徹底に終わり、結果的に失敗に終わりました。

私はコスイギン改革は一定の成果を納めた後に、保守派によって頓挫させられたと解釈していました。西村氏によると、コスイギン改革は十分な成果を納めずに終りを迎えたということです。

一方、ドイツ民主共和国(東ドイツ)の指導者、ウルブリヒトも同様の改革をしました。こちらは一定の成果を納めましたが、ホーネッカーを中心とする保守派に潰されました。1960年代の経済改革をめぐるソ連と東ドイツの違いを調べるのもおもしろそうですね。

③ 「社会有」は日本の常識となるか 

西村氏との会話の中で「社会有」が話題となりました。「社会有」はユーゴスラビアで考えられた価値観、社会システムです。「私有」でもなく「国有」でもない、「社会有」とはモノは社会全体ものであり、社会で共有されるものということになります。

この曖昧な概念が日本に根付こうとしていますね。シェアハウスやカーシェアは「社会有」と考えられるのではないでしょうか。西村氏の講演を聴き、久しぶりにいろいろと考えさせられました。

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