re-tokyoの業務日誌

(株)東京住宅センターの店長が、日々の業務や出来事を心の赴くままに綴ります。

契約の説明を他社にまかせていいのか

2020-09-11 12:02:45 | 業務日誌
賃貸物件の契約手続きで時々ある話です。



部屋を探しているお客様には、自社物件だけでなく他社管理の物件をご紹介することもよくあります。

ご案内してお部屋を気に入っていただければ、入居申し込みの後、契約手続きをすることになります。

その際はほとんどの場合、その物件を管理する不動産会社が行います。

しかし一部の大手不動産会社では、現地案内をした不動産会社(客付け業者といいます)に契約書類を送って、

契約者への説明を全て任せる(つまりは丸投げ)ことがあります。


この春もいくつかの物件でこの様なケースがありました。



不動産業の仕事にも大きく分けて売買と賃貸とがありますが、

例えば対象物件に関する「重要事項説明」などはその両者で内容にかなり差があります。

売買では契約条件の他は、多くが関係する諸法令に関することの説明になります。

その物件の場所やエリアでどんな法令上の制限があるのかは市役所等で客観的に確認が出来るので、

売主側、買主側不動産業者のどちらが調査、書類作成、または説明をしても内容などに違いが出ることはまずありません。

買主はその不動産が自分の所有になるので土地建物をどう使用するかは自分の意思によって自由に決められるわけですが、

その一方で例えば建て替え等の話になると建築基準法などの各種法令の制限を受けることになりますから、

そういった制限がどうなっているのかを説明することになるのです。



しかし賃貸では売買の場合と違い、法令よりも実際の運用に関する説明がずっと多くなります。

例えば大家さんは誰?、

賃料の支払い方は?、

更新の手続きは?、

お部屋で不具合があったら?、

退去の手続きは?、

原状回復はどうなるの?、

などなどです。

今挙げたポイントは全て法律とは違う話です。



自社管理の物件であればその物件には詳しいので、当然お客様にお話しするのに何の不自由もありません。

しかしこれが他社管理の物件となると、契約書類に現れない現実の運用がどうなっているのかが分からなくなるため大変です。

知らないことはうかつに説明できません。

逆に言えば書類に書かれていることしかお話しできなくなってしまうのです。



ただし当社でも長年の知識と経験を駆使してお客様にはご不便をかけないようにしています。

あらかじめ送られてきた各書類を読み込んで要点を把握。不明な点があれば管理会社に問い合わせて、

出来る限り質問にその場でお答えできるように準備をして臨んでいます。



当社でも自社管理物件に他の不動産会社さんを通じて入居申し込みを頂くことはよくあります。

しかし契約手続きまでその客付け業者さんに丸投げしてしまうことはありません。

理由は簡単。我々が不安だからです。

その業者さんがお客様に対していったいどんな説明をしてくれるのかが分かりません。

間違ったことやいい加減なことをいうこともあるかもしれません。

入居後、そのお客様と実際に接していくのは、客付け業者さんではなく当社なのです。

「契約の時にはこう言われたんですけど。」と言われたくないんですね。



契約を丸投げする大手の会社はそういったことを気にしないのだろうか、とはいつも思う疑問です。