プルーン、食べたことある?
▼本日限定!ブログスタンプ
果物好きな両親に育てられました。生プルーンもずっと以前から、まだ市場には珍しい果物だった頃から食べていました。完熟のプルーンを、皮を洗ってかじって食べるのです。熟れすぎてじゅるっとするのは苦手で、カリッという固い歯触りくらいのが好きです。プルーンには中央に種が一つ。酸味と甘みのバランスがよく食べやすいし、大好きな果物でした。
ここへ引っ越してきたばかりの頃、お隣のおばあちゃんにプルーンをおすそ分けした時。プルーンは初だと言うおばあちゃんに、おいしいけどおなか壊すから一度にたくさん食べちゃだめなの、とか、一生懸命プルーンの説明をする私の早口の関東弁が、たぶん聞き取りにくかったのでしょう。おばあちゃんは何度か聞き返し、質問をはさみ、これは洗ってかじればいい果物なのだと理解してくれたようでした。のんびりとした京都弁を話す80歳を過ぎたおばあちゃんでした。戌年生まれだから犬が大好きだと言い、わんこさんのこともとてもかわいがってくれました。おすそ分けの翌日、「これ、プルーン、初めて食べた。おいしいねえ。ありがとう。」と、なんだか片言のような単語を並べてお礼を言ってくれたのが、ちょっとかわいらしくおかしかったです。
わんこさんのいる庭に面した位置に、おばあちゃんのお部屋がありました。開けた窓の奥に、お仏壇が見えます。おばあちゃんの旦那様が眠っている場所です。お礼を言い終わり、おばあちゃんは片手に持っていたプルーンを、当然の動作でお仏壇のお供え物の容器に滑り込ませました。おばあちゃんはいつも、おじいちゃんのいるお仏壇に向かい何やら話しかけるのが常で、そうやって夫婦の会話をしている脇で、まだ子犬のわんこさんと私は夕方の庭で長時間遊んでいた頃のこと。もう20年前の出来事です。はっきりと思いだせるのに、今となっては懐かしく思えてしまう風景です。
おばあちゃんもわんこさんも、今は遠い場所で過ごしています。彼の地でおばあちゃんはおじいちゃんと再会できたはず。この世界では今は二人揃って仲良くお仏壇にいて、のちに同居を始めた息子さん夫婦がその仏壇のお世話を引き継いでいます。お孫さんはすでに二人とも独立されました。
わんこさんは、どうしているでしょう。犬だった人生では食べることができなかったプルーンを食べることができる新たな人生は、もう始まっているかな?生プルーン、おいしいでしょう?あなたがはじめてうちに来た時期、初夏になれば、店頭にも出回るね。