風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

鎌倉で侯爵邸と流鏑馬を見る-1

2020-01-23 | 神奈川

● prologue

歴史的な寺社が立ち並ぶ古都鎌倉には、由緒ある洋館も残されています。
竹寺の奥にある旧華頂宮邸の前を通るたびに、(中を見学したいな)と思っていました。
いつも門は締めきっており、公開されるのは春と秋の年2回のみ。
(まあ、いずれ)と思いながら何年も過ぎていましたが、目下鎌倉にハマっている友人が「行こう!」とグイグイ計画してくれたので、今回晴れて行くことになりました。

● ガラ空きの小町通り

友と横浜駅で待ち合わせて、鎌倉駅に9時に降り立ちました。
私が訪れる頃はたいてい10時過ぎていますが、友の鎌倉愛に圧されて、今回は少し早め。

 
ここ・・・どこ?


小町通はとっても空いていました。
ここはいつも激込みで、人の流れにのらないと前に進めないほどごった返しているのに、あまりに人がいないため、逆に怖くなります。
「こんなにがらんとした小町通、見たことない!今日はどうしたんだろう?」

すると友は
「私が来る時間帯は、いつもこうだから」と言いました。
早くから鎌倉観光を始めているのね。
まだ通りのお店が開店していないので、通りが広く見えました。

● 流鏑馬の準備

鶴岡八幡宮の入り口鳥居の下に「流鏑馬 一時」と書かれていました。
えっ、今日流鏑馬をやるの?

毎年春と秋に行われますが、秋は9月中旬だったはず。
おや?終わったんじゃなかったかしら?
でも、堂々と掲示されているので、この日も開催されるんでしょう。

確認したところ、どうやら今回は、八幡宮の「槐(えんじゅ)の会」に関する行事として開催されるようでした。

 

本殿を東西に横切る直線の道に、馬場も整備されています。
周りの踏み固められた砂道よりもやわらかい砂。
ここを馬が駆け抜けるのね。

 

的も設置されていました。
馬場からまでの距離は5mほど、的の高さは2mほど
近くから見ると、的って小さいんだなと思います。

着々と作り上げられていく様子を、立ち止まってしばらく眺めましたが、今回の目的は、旧華頂宮邸
流鏑馬は午後に行われるとのことですし、まずはそちらに向かうことにします。

 

舞殿の周囲にはテントが張られ、大勢の人が着席していました。
槐の会の方々でしょう。これから式が行われるようです。

八幡宮の敷地を抜けて、浄明寺方面へ、バス通りを歩いて行きます。
昔ながらのこの辺りの道は狭くて、一列にならないと反対から来る人とすれ違えません。

● 旧華頂宮邸

杉本寺を過ぎて、「竹の寺」の報国寺の前の道をさらに奥に進んだところに、目指す旧華頂宮邸(きゅうかちょうのみやてい)がありました。

昭和4年に華頂博信侯爵邸として建てられたもので、現在は鎌倉市が所有。市の景観重要建築物、国の登録有形文化財(建造物)に指定され「日本の歴史公園100選」にも選ばれています。

屋根は銅板ぶき、外壁は木骨モルタル塗り。敷地面積は約4500平方メートルで、建物の延べ床面積は約580平方メートル。

 
正面は人で混んでいたため、庭から見たお屋敷

開場時間の10:00ピッタリに到着。待ち構えていた人たちの、長い行列ができています。
並んでいる人たちめいめいが募金箱に募金しました。
これからも、建物保存に役立てて下さい。

● 年に2度の内部見学

混んでいるためか、拝観ルートが決まっており、コースアウトはできません。
また見たい部屋があったら、戻らずにいったん建物の外に出て、再び順を追っていくことになります。

内部は、横浜の洋館よりも小ぢんまりとしている印象。
(横浜の洋館は、外国人の邸宅だったので、大きめなのかもしれません)
洋室のほかに和室もあり、さらに洋室に畳を入れた和洋折衷部屋がありました。



ランプで照らされる、赤い絨毯敷きの階段。
江戸川乱歩の舞台になりそうな雰囲気たっぷりです。

● 季節の生け花

内部公開に合わせて、近所の生け花会の人たちの作品が展示されており、どの部屋にもきれいな花が飾られていました。


一階はカフェになっており、コーヒーのいい香りが漂っていました。
洋館の裏のフランス式庭園
には、秋バラが咲いていました。
春の公開日には、もっとたくさん咲いていることでしょう。

● 茶室「無為庵」

庭園の奥には、茶室「無為庵」がありました。
昭和初期以前に造られ、東京・上大崎から移築されたもの。


小さなにじり口から中をのぞくと…


この小部屋がありました


ふすまと畳のシンメトリーな美しさ


母屋は洋館ですが、こちらは完全に和の世界。
にじり口から中をのぞくと、さりげなく花が飾られていました。

● 一条恵観山荘

屋敷の見学を終えて、再び竹寺の前を通ってバス通りに出ます。
友人のリクエストで、そう遠くない場所にある、一条恵観山荘(いちじょう えかん さんそう)に行きました。

一条恵観山荘は、後陽成天皇の第九皇子で、摂政・関白を務めた一条恵観が建てた別荘。
約370年前の江戸時代初期に建てられ、京都の西賀茂から移築された、国指定重要文化財の歴史的建造物です。


桂離宮を建てたのは恵観の叔父の八条宮智仁親王、修学院離宮は恵観の兄の後水尾天皇。
いい建築物を残した皇族ファミリーだったんですね。

 

ゆったりとした枯山水庭園。
人もまばらで、風景に溶け込んでいます。
一昨年から一般公開を始めたという、まだ新しいスポットです。


● あちこちにカニ

つくばいには、澄んだ水が張られていました。
(中にカニがいる!)と、脅かさないようにゆっくりのぞき込んだら、置き物でした。
リアルで、いまにも動き出しそう。

別のつくばいにも、カニ。
井戸の上にも、カニ。
なぜにこんなに? 宮さまはカニ好きだったのかしら?


「出口に“カニは何匹いたでしょう?”とかクイズがあったりして」と友人が言うので、途中から数え出しました。

5匹は確認済みです。当たっているかな?


敷地内を流れる滑川のほとりで一休み。
先ほどの旧華頂宮邸は大勢の見学客で押すな押すな状態だったので、ここでのんびりできました。


● ヤマモモカフェ

身体が冷えてきたので、敷地内の甘味処に入りました。
名前は、かふぇ楊梅亭。「やまももてい」と読むそうです。
ヤマモモの漢字は山桃じゃない?と思いましたが、漢名が楊梅なんだとか。

 


ここで、抹茶と和菓子のセットをいただきます。
秋らしく、柿を模した和菓子が出てきました。

小さい秋、見つけた。


● 金蘭の花

ここには、絶滅危惧種の金蘭という花があるとのこと。
帰りしなに、係の人に聞くと、入口にあると教えてくれました。
春に咲く花で、今は葉っぱのみだとのこと。

3本ほどありました。

竹のそばに咲く植物で、なにもしないでいたのに、種が飛んできたのか、根付いて花を咲かせたのだそう。
分けてほしいという人がいたものの、うまく根付かなかったそうで、なかなか育てるのが難しい花なのだとのことです。
それでレアなんでしょうね。
春になったら、また見に来たいなあ。


キンラン

一条恵観山荘と旧華頂宮邸とは、江戸時代初期と昭和初期とで造営時期が300年ほど違いますが、どちらも宮様が建てたもの。
たまたまでしたが、たて続けにロイヤルでエレガントなお屋敷見学ができました。

その2に続きます。

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