サヨナラの眼差し―哀しき戦士たち―19 | じゅりれなよ永遠に

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じゅりれな・坂道小説書いてます。

やがて七瀬が出かけると

 

玲奈は下の階に住む高橋の部屋を訪れた。

 

玲奈がドアをノックすると

高橋は笑顔で招き入れる

 

「来ると思ったよ、さあ、どうぞ!」

 

高橋は変装はしておらず

素顔のままだった。

 

高橋の部屋はテレビが1台あるだけで

殺風景なものだった。

 

「適当に座ってよ。」

 

高橋は床に足を伸ばして座っていたが

玲奈は座らなかった。

 

「とりあえずお礼は言っておくわ。

 七瀬を助けてくれてありがとう。」

 

「どういたしまして、

まさか君と同居している

彼女が拉致されてくるなんてね~~

僕たちは赤い糸で結ばれているのかな?」

 

高橋はおどけて見せた。

 

「貴方が

ただの人殺しではないのはわかったわ。

けど、危険を犯してまでなぜこんなことを??」

 

「君も似たようなものだろ?」

 

「私はお金をもらって

依頼された悪人を殺している。

でも貴方は自分で悪人を探しているじゃない。」

 

「正義の味方なんだよ。僕は~~」

 

高橋は笑顔を作ったが

突然、かなり激しくせき込んだ

 

そして、血を吐いたのだ・・・

 

「あなた・・・まさか・・・」

 

「ばれちゃたかな?

そう、僕は病気だよ。

肺癌でもう長くわないよ。」

 

「・・・だから、悪人退治を始めたの?」

 

「そうだよ。少しでも世の中の

役に立ちたかったんだよ。」

 

高橋は急に真顔になった。

 

「嘘じゃないみたいね。」

 

「もう、僕には時間がないんだよ。

だから今度の殺しが最後になると思うよ。

的は現・大阪知事の近藤正彦

かなりの大物だよ。

どう、一緒にやらない?」

 

「悪いけど、

私は依頼者があって初めて動くの

ただの人殺しはしないわ。

じゃあ、私はこれで。」

 

玲奈はそう言って玄関に向かった。

 

「残念だよ。

でも、最後もきっちりやってのけるよ。」

 

高橋は玄関までやってきて玲奈を見送った。

 

「じゃあ、縁があったらまた会いましょう。」

 

玲奈は高橋の部屋を後にした。