サヨナラの眼差し―哀しき戦士たち―22 | じゅりれなよ永遠に

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じゅりれな・坂道小説書いてます。

翌日の朝七瀬の出勤を見送った玲奈は

高橋の部屋にいた。

 

「どうしたんだい?

この間はもう2度と

会うこともないような言い方だったけど?」

 

「近藤の殺しの依頼がきたの。

私も協力するわ。」

 

「素晴らしいね。

僕たちは本当に

赤い糸でむすばれているじゃないか?」

 

高橋は手を大きく広げて喜んだ。

 

「おふざけはいいから、

殺しの算段を聞かせて?」

 

「算段もなにも

僕はすでに面が割れているから

堂々と彼の住まいに忍び込んでヤルよ。」

 

「だから、どうやって忍び込むのよ。

相手はあの近藤よ。彼の住むマンションは

大阪でも1,2位を争う高級マンションよ

中に入るのが一苦労よ。

警備が厳重だわ。」

 

「前知事の西野孝弘を

簡単に殺した君には

朝飯前なんじゃないのか?」

 

「ふざけないで、簡単じゃないわ!

人の命を奪うなんて

簡単なことじゃないから!」

 

玲奈は声を強くした。

 

そう、西野孝弘は

七瀬の父親で玲奈が七瀬から父親を奪ったのだ。

 

それがどんなに非道いことを

しているのか分かっている玲奈は

簡単と言う言葉に敏感に反応したのだ。

 

「ごめん、ごめん、

そんなに怒らないでよ。

僕はもうじき死ぬからつい、

命を軽く考えてしまうんだよ。」

 

「いいわよ、別に・・・

で、どうやって忍び込むつもりなの?」

 

「僕はこう見えても

前職はセキリュティー会社の

開発の仕事をしていたんだよ。

だから、カードキーを解析するのは

朝飯前だよ。この間殺した手越の部屋も

カードキーのドアだったから、

彼が留守の時どうどうと

業者を装って部屋の前で解析したんだ。」

 

 「でも、こんどは近藤なのよ。

部屋の前にそんな簡単にたどりつけないわ

一発で警察に通報されて終わりよ。」

 

玲奈がそう言うと高橋は

得意げにカードキーを見せるのであった。

 

「え???もう、作ったの??」

 

 

「恐れ入るわ・・

辺りの防犯カメラの電源を切る

段取りをするから

結構日はまた連絡するから。」

 

「わかったよ。」

 

「じゃあね!」

 

玲奈は玄関に行き

ドアノブを持って部屋を出ようとした。

 

「ありがとう、手伝う決心をしてくれて。」

 

高橋が後ろから声をかけた。

 

「お礼を言われる筋合いはないわ。

 私は依頼された仕事をするために

 貴方と協力するだけよ。じゃあね!」

 

玲奈は外に出て行った。