60年代、ロンドンの街中、壁面に書かれた落書き「クラプトン  イズ ゴッド」。その人気は、現在と異なり、新進気鋭の凄腕ギタリストだった。ミュージシャンからの人気もあり、多くの大物ミュージシャンがレコーディングに招いたり、イベントやプロジェクト参加などその音源はフォローしきれない。内容は玉石混交で、クラプトンの記名性のまったくない代物も多数ある。ブログ管理人の知るところ、聴く価値のある音源、クラプトンの記名性の有無をご紹介する。
EC IS GOD
ネットで拾った写真。おそらく「伝説の落書き」の偽物、レプリカだろう。

いきなり脱線するが・・・。
昔、ギターマガジンで佐藤タイジ氏(何様か?よく知らない)がインタビューで、「クラプトンは、もうダメ」的な発言をかなり激しめにしていた。(本当に何様だ?身の程知らずとは、このことだ。)たしかに、かつて「神」と言われたロック界でもっとも有名なギタリストも高齢となり、難聴傾向にあったり、運指がつらいなどと聞かれる。引退説も断続的にある。当然にクリーム期のようなプレーを期待することはできない。が、日本国内でもろくに知られていないミュージシャンが、ワールドワイドな「神」に対し軽率な発言をマスゴミ相手にしてしまうのは、まったく恥ずかしいことだ。飲み会のギター談義じゃあるまいし。そもそも60代、70代になって、20代と同じようにプレーできるはずが無いし、20代と同様なプレーを目指す人もいないのだ。肉体・身体機能が変わることは言うまでもなく、さらに感性もまったく変わるのだ。日本のビッグネームギタリストたち(例:渡辺 香津美氏、チャー氏、仲井戸麗市氏、など)たちは、自身についても、それを認識しているから、こんなことは言わないのだ。佐藤君、君ね、SMALL MAN、BIG MOUTH!だ。小物が大口たたくな。小言はこれぐらいにする。

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さて、本題。クラプトン名義の作品は既に聴いてしまって、さらに音源を探しているファンのお買い物の参考になれば、幸いである。



1.超ビッグネームミュージシャンとの共演作品


ビートルズ関連



THE BEATLES
BEATLES(ホワイトアルバム)
「While My Guitar Gently Weeps」ビートルズ作品にビートルズメンバー以外のロックミュージシャンが参加、しかもそれがECであったことで、当時話題となった、ジョージの名曲。ジョージの参加要請を受けて、「あのビートルズの」レコーディングに参加することにEC自身も驚き、「あのギターソロ」を聴いたリスナーも驚き、歴史に残る名演となった。ビートルズメンバー、特にポール・ジョンとの交流が本格的に始まるキッカケとなった。ECはこのレコーディング以前は、ビートルズの凄さは認めつつも、ステージ衣装がバッチリ決まったスーツ姿であることに抵抗感もあったらしい。このレコーディングで各メンバーの才能、特にポールに、驚いたと言う。

Live Peace in Toronto 1969
ホワイトアルバムレコーディングでは、ジョンレノンの辛辣なジョークについて行けないと感じたECだったが、ストーンズのロックンロールサーカスでジョンと共演、その後、ジョンのお誘いでジョンのライブにリードギタリストとして、正式参加、全曲をプレー。クラプトンのプレーは、荒く激しく、ジョンのスタイルにあわせたかのよう。ロックンロールメドレーのような前半は人気が高く、ジョンレノンファン、クラプトンファンともに評価しているようです。ブログ管理人も初めて聴いた時は小躍りしましたが、聴き慣れるとライブオープニングの緊張感が維持できず、ややだれ気味な感じもします。歴史的音源であることは間違いなし。

ソングリストは、下の写真の通り。

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オール・シングス・マスト・パス
ジョージハリスンの出世作。当時の常識を打破するレコード3枚組。その3枚目がロックロールセッションで、ECが参加。ECの記名性はない。作品自体はロックファン必携の名作



George Harrison
Harrison, George
これにも参加しているが、記名性はありません。






ほぼ全編でECがリードギターでサポート。特に1曲目のオブリガードは、ジョージのスライドとECの押弦プレーが交互に絡む名演。


ジョージ・ハリスンwithエリック・クラプトンandヒズ・バンド/ライヴ・イン・ジャパン
91年の来日公演をライブレコーディング。ただし、ジョージの曲のみ。
別ページに記事を書いた。☟これはマストバイと思う。
ジョージハリスン・「ライブインジャパン」





Kisses on the Bottom -Deluxe-
ポールのジャズアルバム。2曲、ECがガットギターソロで参加。哀愁漂うソロ、ガットギターでも一聴してECとわかる。ジャズ系の曲でガットギターを弾く、EC自身の得意フィールドではない環境で、きっちり存在感を出す。好き嫌いは別として、ギタリストの仕事として、流石と言える。



ローリングストーンズ関連



ROCK'N'ROLL CIRCUS
ROLLING STONES 

EC(リードギター)ジョンレノン(Vo・ギター)キースリチャーズ(ベース)ミッチミッチェル(ドラムス)で、ビートルズの「ヤー・ブルース」を演るっていう夢のような演奏が収録されている。そのためのCD、DVD(下記)と言い切ってよい。4人とも素晴らしい。ECはES-335をプレー、この音がイイ。ECのこの335の音は、ブログ管理人が335を購入するキッカケの1つなの。このプレーと「グッバイクリーム」収録の「バッジ」の音が最高。このドリームセッションで、ジョンレノンとの
「Live Peace in Toronto 1969」(上記)につながる。





スティッキー・フィンガーズ(デラックス・エディション)
ザ・ローリング・ストーンズ
リマスターと同時にデラックス化された際に、EC参加の「ブランンシュガー」を収録。ECはスライド、キースのリフ&バッキング、ミックテイラーのノーマルソロが絡む興味深いテイク。ECのスライドギターの名演はそれほど多くないが、これは出色のテイク。



Flashpoint (Reis)
Rolling Stones
「スティールホィールズ」のツアーのライブ盤。あまり評価されないライブ音源なのだが、ECは「リトルレッドルースター」に飛び入り、ロンのスライド、キースのバッキング、ECのソロ。ECは、彼らしい華がある演奏なのだが、ストーンズが産業化してしまったためか、それほど評価されていない。



ピンクフロイド(ロジャーウォータース)



Pros & Cons Of Hitch Hiki
Waters, Roger
ロジャーウォータースのソロアルバムにECが全編でサポートした作品。ブルージーなギターを披露。ECは即ECと判るギターを弾いており、ファンにはそれなりのインパクトはある。だけど、作品は地味でラジカル、ロジャーウォータースの世界が好きならOKです。ECはアルバムのツアーにも参加。




Chicago 1984
Roger Waters/Eric Clapton
上記のアルバムツアーのハーフオフィシャルライブ盤。「Live Alive」シリーズは、音が悪いとされるが、その心配はいらない好盤。ロジャーは、デイビッドギルモアと「ピンクフロイド」の名義で抗争していた時期で、ギルモアが乗っ取った(?)ピンクフロイドに対抗するためにECにツアー参加を依頼。なんとECが参加した貴重なライブ。ECはまじめに演奏していて、好印象。ロジャー、ピンクフロイドが嫌いでなければ、ECファンは聴く価値ある掘り出し物。


ザ・バンド



ラスト・ワルツ 完全盤
ザ・バンド
「ファーザーオンアップザロード」でロビーロバートソンとギターバトルを展開。ECはあまり調子が良くない。ロビーの気合勝ち?。



Jubilation
Band
再結成BANDの作品。ECは2曲参加していますが、記名性はないプレーです。



How to Become Clairvoyant
再結成に参加しなかった、再結成に誘われなかったロビーロバートソンのソロ4作目。ECは、コーラスとギターで参加し、記名性あるプレーを披露。ただし、存在感は大きくはない。作品はロビーロバートソン節だらけの名品。上記の「Jubilation」が風味の薄いザ・バンドとするなら、こちらは、風味を凝縮して、現代風の音作りにしたザ・バンドって感じ。



デラニー&ボニー




オン・ツアー・ウィズ・エリック・クラプトン
デラニー&ボニー&フレンズ

ECのゲスト参加音源としては、有名な部類。バンドの全体感は、華のあるサザンロックって感じ。ボニー(女性)のボーカル・コーラスがあるぶん、明るい。エリックのロックンロールギターが聴ける。




2.イベンド・チャリティコンサート


大物ミュージシャンは、イベントやチャリティに引っ張りだこだ。ECはイベント・チャリティコンサートの常連である。この手のライブアルバムは、発売から年月を経過すると叩き売りされるモノとプレミア価格になるモノと別れる。その原因は、稀少性に加えて、演奏の良し悪しも起因している。下記の音源も高価なモノ、ただ同然の廉価なモノに分かれる。

Secret Policemans Concert
Various
ECは、ジェフベックとの共演で「哀しみの恋人たち」「ファーザーオンアップザロード」「クロスロード」、出演者全員で「アイシャルビーリリースド」
EC、JBともに絶好調。ECは多くのギタリストと「ファーザーオンアップザロード」のギターバトルを残しているが、これ以上のテイクは見当たらない。他のテイクのバックバンドがクラプトンバンドであるのに対し、本テイクは、ベックバンドでドラムはサイモンフィリップス、ベースはウィルリー。ファン必携のライブ。新品購入は困難、中古でも購入したい。ただし、値は嵩張ります。他の出演者の演奏も非常に良く、スティングの「ロクサーヌ」「孤独のメッセージ」の弾き語りは、特に評価が高い。ボブゲルドフ、フィルコリンズ、ドノファン。いずれも好演。やっぱり内容がいいから、売りに出す人が少なく、稀少価値が付くんだろう。



The A.R.M.S. Concert 1983
Jimmy Page/Eric Clapton/Jeff Beck
Alive The Live
Alive シリーズでは、音は良い方。音源は同ライブの映像ソフト(下記)である。EC、JB、JP3大ギタリストそろい踏みの歴史的コンサート。ECはホスト的な立場で、演奏曲も多い。それぞれがソコソコの演奏を披露しているので、これもおすすめ。(EC、JPのプレーは普通、JBは良い。)
このライブ音源は広く出回っていて、値もいろいろ。高値つかみに注意。

The A.R.M.S. Concert San Francisco 1983
Eric Clapton/Jeff Beck/Jimmy Page
Alive The Live







The Arms Benefit Concert

中古なら、これ安い。
EC名義になっていますが、JB、JPもちゃんと入っています。



A.R.M.S. BENEFIT CONCERT FROM LONDON [DVD]
ERIC CLAPTON & FRIENDS
IMMORTAL
2008-12-15




2枚組32曲、中古盤は叩き売り状態です。管理人も中古で購入。新品で買うほどのモノではないと思います。
ECの他、ポールマッカトニー、ザ・フー、ミックジャガー&キースリチャーズ、デビッドボウイ、ボンジョビ、ジェームステイラー、ビリージョエルなど。ECはバディガイと「アイム・ア・フーチークーチーマン」、ポールと「レットイットビー」「フリーダム」をプレー。「レットイットビー」では、ECがソロに入るも他の人も割って入ってECが譲って、また入り直す混乱で、ECコケる。続くラストの「フリーダム」では、混乱を避けるために、ポールが「エリック!」と紹介して、ECがソロに入る。バッキングのアコースティックギターにストロークに合わせたダブルストップフレーズがカッコよく決まる。ポールがECの面目を保ちました。
ザ・フーは、晩年のジョンエントウィッスルが好演する3曲が良い。

DVDもあり。☟




ア・トリビュート・トゥ・スティヴィー・レイ・ヴォーン
タイトルのとおり、トリビュートコンサート。
ECの他、ボニーレイット、ジミーボーン、BBキング、バディガイ、ロバートクレイ、ドクタージョン、アートネビル、など、ダブルトラブルのクリスレイトン、トミーシャノンがバックを務める。トリビュートモノは、参加ミュージシャン本位で、リスナーが楽しめるクォリティになっていないケースが多く、これのその類と感じる。

Stone Free: Tribute to Jimi Hendrix
数多い、ジミヘントリビュートの1つ。ECは「ストーンフリー」悪くはないが、本家には遠く及ばず。ジミの中でもエネルギッシュな曲を選んだことは失敗だ。ECのキャラなら、「風のマリー」とか「ヘイジョー」の方がよかったんじゃないの?。






The 30th Anniversary Concert Celebration
Bob Dylan
ECは、名曲「Don't Think Twice It's Alright」をブルースアレンジで披露。これが良い。気合十分のギターとヴォーカル。流石。(ただし、これは、ECが参加したゲイトマウスブラウンのアルバムのテイクからヒントを得たと思われる。後述します。)ディランの曲は、カバーされて魅力が増したり、稀にカバーの方が良かったりする時がある。このライブでも良いテイクが複数あって、ニールヤング、ジョージハリスン、ジョニーウィンター、オージェイズの好演が収録されている。ニール、ジョージ、トムペティ、EC、ロジャーマッキン、ディランで演る「マイバックペイジズ」はそれぞれがヴォーカルを回す好企画。ギターソロをECとニールヤングが分けるが、共に良い。ECはポップに歌うソロが非常に上手く、流石。



クロスロードのDVDは、全体的に演奏がよい。DVDって、繰り返し視聴することはあまりないが、これは複数回見ました。中古で叩き売っています。


クロスロード・ギター・フェスティヴァル 2013
エリック・クラプトン
ワーナーミュージック・ジャパン
2013-12-11




3.ブルースマンとの共演


ECは、ビッグネームになって以降、多くのブルースマンと共演している。数が多くフォローしきれないが、BBのようなECにとってのアイドルとの共演自体がECの目的である場合と、ブルースマンの経済的な救済を目的として共演することもあったそうだ。

Riding With.. -Remast-
Eric Clapton & B.B. King

BBとECの共同プロジェクトで、基本的にはブルースのカバーが大半。ブルースのカバーについては、ECがBBと共演することの魅力はそれほど感じられない。あっさり言えば、BBが単独でBBのバンドでプレーした方がイイから。こう言ってしまうと身も蓋もないが、このプロジェクトの魅力は、アルバムタイトルナンバー(アルバムの1曲目)の「RIDING WITH THE KING」に尽きる。この曲は、ジョンハイアットの曲で、ブルースではなく、ブルースロック、つまりECの領域の曲。BBは、自身の領域であるブルース以外、つまりロックやジャズにおいても、そのギタープレーは燦然と輝く。U2との共演においても、いすものルシールの音とフレーズで曲を盛り上げていたように、この曲でも、絶好調のルシールとボーカル、さらにDJの語りまで入っている。



B.B. King Blues Session / [DVD] [Import]
B.B. King
大学生の頃、動くBB(映像)で初めて見た作品。BBもまだ若い。ECやスティーヴィーレイヴォーンが共演するお祭り系のライブ。ホンモノブルースで、BBの上手さと、ECの不自由さ、レイヴォーンの小僧ぶりが分かってしまう貴重な映像。





Chuck Berry - Hail! Hail! Rock 'N' Roll (1987 Documentary)
Julian Lennon
同名映画のサウンドトラック。キースリチャーズの素晴らしい仕事が結実した作品。EC云々ではなく、おすすめ。これについては、映像の方がいい。ECはECはブルース曲「Wee,wee Hours」を披露、良い出来。

Chuck Berry: Hail! Hail! Rock 'n' Roll [DVD]
Linda Ronstadt
Shout Factory
2020-03-17










ジェシ・デイヴィスの世界
ECが、ジェシにソロアルバムの制作をすすめたとされる、ソロデビュー盤。ECもギターソロを披露するが、ここの主役はジェシ。良い作品。別記事あり☞「Jesse Ed Davisの生涯の名演を集める。




Blues Blues Blues by JIMMY ALL STARS ROGERS (1998-12-23)
ジミーロジャースの晩年のアルバム。ロック界から豪華メンバーが集うお祭りアルバム。これは、ブルースマン救済の意味と同窓会的な趣が強い。ロックスター(EC、ストーンズ、ペイジ&プラント)の演奏もそれ程冴えない。





Damn Right I've Got Blues
バディガイがブルースロック化した人気作。EC,JBなどが共演。バディガイファンにはおすすめ。







Long Way Home by Clarence Gatemouth Brown

これもブルースマン救済パターンと思う。往年のジャズ&ブルースの鬼才が、晩年に録った作品。ディランの「Don't Think Twice It's Alright」など、約半数の曲でECがプレー。ECはこのレコーディングでブルース化した「Don't Think Twice It's Alright」が気に入って、ディランの30周年コンサートで演ったんだと思う。


London Sessions
Howlin' Wolf
ブルースマンとの共演では、これが一番。
ECの他、スティーヴ・ウィンウッド、ローリング・ストーンズのビル・ワイマンとチャーリー・ワッツがバックを務める。ハウリングウルフとヒューバートサムリンを米国から招き、ロンドンで録音された逸品。ECのプレーは活き活きとしている。ストラトの枯れていて、かつトレブルが効いた音も素晴らしい。ECファンにはおすすめ。なお、本作のチャートランキングはHowlin' Wolfの作品で1番で、白人ミュージシャンがブルースマン救済に貢献できた好例となった。ただし、Howlin' Wolf自身の名盤よりも本作が優れているわけではなく、別世界です。


London Session -Deluxe-
Howlin' Wolf
Geffen
2012-07-12