Tempo rubato

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アニメーター・演出家 平松禎史のブログ

*岡田麿里監督作品『アリスとテレスのまぼろし工場』*

副監督で参加しています。

2024年1月15日よりNetflixで世界同時配信開始。

英語版タイトルは"Maboroshi"です。

 

 

「未来へ、未来へ、君だけでゆけ」

 

 

 

 

 

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令和6年能登半島地震から10日経ちました。

ある程度情報が出てきているので、ここまでで見えてきた現状から示唆されていると受け止めたことを書いておきます。

 

震度7の本震以降、6強5強の大きな地震が続いた。一度に倒壊しなかった建物でも立て続けの地震で全壊状態に陥っていると思われます。地盤の隆起や軟弱化も起きており、港を含む地域の土台ごと作り直す必要があります。

改めて、地震の凄まじさを思い知りました。

 

直近7日間のデータを見ると、最初の震源から東西へと地震域が拡大したのがわかります。特に佐渡方面への伸長が著しく、直近30日間にするとフォッサマグナ西側の静岡-糸魚川線の延長で止まっていることがわかります。富山から岐阜にかけて波及した地震もこの線で止まっている。

 

HI-net 高感度地震観測網 より

 

 

地質・地殻の分かれ目で地震が止まった大規模な例は、東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震でありました。日本列島下に潜り込む太平洋プレートの崩壊は東北の陸地と同じくらいの大きさでしたが、フィリピン海プレートが潜り込む千葉県沖で止まった。当時地質学者が「奇跡」と言っていた。

「止まったから安心」なのではなく、そこから先はエネルギーが蓄積したままになっているということです。1箇所の解放が隣接する地盤に圧力をかけることもあり得ます。東北地方太平洋沖地震での崩壊・解放で関東-中部-西日本へ大きな力(圧力or引張力)がかかったままです。今回はそのひとつが崩壊し解放されたのではないか。

熊本地震の際もそう考えました。九州にも引張力がかかっていましたからね。

北半球で見れば日本列島の北端から南端などほとんど同じ場所です。地球の時間感覚で言えば、東北の大地震と今回はほぼ同時です。

日本のあらゆるところに地震のエネルギーが蓄積されており、いつどこで大地震が起きても不思議ではありません。

 

 

地震の様相は、震源が10km程度と浅い活断層型で、阪神淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震と似ています。伝わってくる地盤が浅いので直接的かつ高速で激しい揺れが襲います。

今回は津波も起きました。体感によって差はあるようですが、地震から5分10分という短時間で襲ってきたという。

一方、輪島では大規模な火災が起きてしまいました。これも阪神淡路に似ている。最初の報道では1件か数件の火事と思われたのが、街全体にまで広がった。古くからの商店街に特徴的な密集した作りが災いし、大地震で消火の余裕も得られなかったのだろうと想像します。以前訪れたこともある暖かい風情の町が失われたのは、本当に残念です。

時間が夕方近くで、行動しやすい時間帯だったのはせめてもの救いで、避難訓練の成果で素早く避難できた地域もあった。これが深夜や早朝だったらと考えるとゾッとします。

 

他方、9日の報道では、特に沿岸地域で孤立した町が多くあり、3000人以上が生活インフラを絶たれ、支援が届かないところもあるという。

 

 

自衛隊の救難隊は、行けるとこまで車で移動したあと、荷物を背負って歩いて届けているそうです。一般にはできないことをやるのが自衛隊や救助のプロなのです。初動体制がどうだったのか疑問もありますがそれは中央の話。現場では現在もひとりでも多く救うべく懸命な活動を続けてくれている。

安否不明者がそのまま死亡者に加算されることがないよう、祈るしかありません。

 

 

自衛隊員は減り続けています。記事によれば少子化の影響があると言う。

これもあとで書く政治災害です。

 

 

 

 

震源は能登半島の北端、奥能登にあたります。

七尾から南は比較的被害が少なく、道路も無事なところが多いそうです。道路が寸断されたり、生活インフラが途絶しているのはNHKの画像で見える奥能登が中心。

七尾から北上する道路は当初、そこから北の三方へ向かう道が1本づつしかない状態になった。沿岸部は山側からしか行けない場所が多い。したがって、通れる道が断たれれば容易に孤立状態となってしまうのです。

このような場所は日本列島の沿岸部ならありふれた地理条件で、どこでも起こり得ます。

 

自然災害が起こるたびにその悪化と長期化が顕在化しています。

直接被害の悪化もそうですが、特に関連被害・関連死の増大は政治災害です。

 

能登半島の衛生写真を見ればわかるでしょう。まるで日本列島全体の縮図です。

ですから政治家が、「能登の地理条件が厳しいから救えない」「人口減少しているから移住の選択を」などと言うのは、政治家失格です。

後者の発言はこれです。

 

日本全体が少子化で、6大都市圏を除けば奥能登と同じ状態の地域は山ほどある。この政治家は、災害が起きるたびに「移住の選択」を迫るのだろうか。では東京直下で大地震が起き、日本全体に大被害が波及したときはなんと言うのか。外国へ移住か?

米山議員は経済政策でもメチャクチャな発言が多く何度か批判したことがありますが、今回は特にひどい。しかし、政党に限らずこういう態度の政治家はたくさんいます。

次の衆院選で落選させねば、国民の命が危ない。

 

残念ながら、自然災害よりも恐ろしいのは、政治の役割を知らない政治家なのです。

 

 

ここまで大規模な災害では、個別の対策評価はまだできません。

しかし、必ず起こる大災害へ中央政府の取り組みは十分だったのか、これはわかります。なぜならこれまでの災害対応で指摘されてきたことを含むからです。

インフラ整備、地域ごとの備蓄、災害復旧・復興への即応体制、これらを実現するための予算は十分だったのか。

災害への対処には、平時からの経済的余裕が不可欠です。したがって、正常に経済成長できているかが基本的な条件となるでしょう。

 

どれもできていないのです。

 

経済衰退の原因は、歴代政府の緊縮財政、増税と負担増の連続です。

政治によって国民は痛めつけられ、地方も疲弊している。財政支出を増やさない方針では防災減災など部分的にしかできやしません。インフラは網の目につながってなければ意味をなさないのです。

利益を出すために無駄を省く企業経営と国家運営をごっちゃにした30年の政治が、災害が起こるたびに悪化・長期化を引き起こしている。

 

次の災害を最小化するために、まず初歩の間違いを改めましょう。

公助なしに共助も自助もできません。

 

国は財源を創り出せます。国債発行は通貨発行権を持つ国の権限です。国民が税で返す必要はありません。

政府は国民を救う力を持っているのです。

ひとりひとりがお互いを助けるために、その土台をつくるのが、政治の役割です。

 

岸田内閣は先日、激甚災害指定を決めた。過去の例からすると迅速だと思います。

ですが、従前決まっていることだけでなく、これまでできていなかったことを自覚して、これまで以上の取り組みをしていただきたい。

財政拡大路線への転換が大前提です。

 

 

歴史ある輪島の町や地震以前の景色は失われてしまった。

「観光資源」ということばで片付けられない損失です。それでも新しく再生し、地震以前より発展できるよう、そのための民意を醸成するべく発信していきたい。

 

 

 

 

 

 

 

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