死に向かって敷きつめられた緊縮+働き方改革の道 | Tempo rubato

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アニメーター・演出家 平松禎史のブログ


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2019年10月5日(土) より

テレビ朝日(関東ローカル)にて「ユーリ!!! on ICE」再放送中!

放送時間など詳細は公式サイトをご確認ください。

https://yurionice.com/news/detail.php?id=1076999

 

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山本寛監督作品『薄暮』

ユジク阿佐ヶ谷にて

12/20(金)・21(土)・23(月)『薄暮』上映後、山本寛監督の舞台挨拶・トークショー開催予定

https://www.yujikuasagaya.com/2019/11/22/12-20%e9%87%91%e3%83%bb21%e5%9c%9f%e3%83%bb23%e6%9c%88%e3%80%8e%e8%96%84%e6%9a%ae%e3%80%8f%e4%b8%8a%e6%98%a0%e5%be%8c%e3%80%81%e8%88%9e%e5%8f%b0%e6%8c%a8%e6%8b%b6%e3%83%bb%e3%83%88%e3%83%bc/

 

 

12月21日「月刊三橋シンポジウム2019」開催。

 今回の目玉ゲストは堤未果さんですね。それからMMT論議で話題の池戸万作さん、L.R.レイの「MMT入門」監修・翻訳の島倉原さん、国土学の大石久和さん。 食の安全・環境から貨幣、国土、文化と幅広い布陣。ボクもゲストとして参加します。

 おそらくこの手のシンポジウムでは歴史上初に違いない、意外なゲストも参加します。

https://in.38news.jp/38P191221_SC_PIVOT

 

 

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 緊縮財政が継続され、大企業も収益減少や、人手不足と人手不足解消のための賃金上昇圧力で負担が高まっている。

 

 結論から言ってしまえば

 政府が国民に積極投資をすれば勝手に改善するものが多々ありますが、政府は国民への投資などやる気がありません。

 

 

 過労死問題で働き方の改善が法制化されたのが「働き方改革」です。

 再確認してみましょう。

 こちらのサイトを参照しました。https://www.intage.co.jp/gallery/hatarakikatakaikaku/

 (1)非正規雇用の待遇差改善
 (2)長時間労働の是正
 (3)柔軟な働き方ができる環境づくり
 (4)ダイバーシティの推進
 (5)賃金引き上げと労働生産性向上
 (6)再就職支援と人材育成
 (7)ハラスメント防止対策

 

 こうして並べると良いことづくめのようですが、懸念が多い。

 1の正規・非正規の待遇差改善は、正規の給与を上げないまたは下げることによる「低きに合わせた格差是正」となる。

 2の長時間労働の是正は、残業代の削減で所得減少につながる。

 3の柔軟な働き方は、能力の欠ける者の不利益が解消されない。

 4のダイバーシティは、移民労働者などの増加に。

 5の賃金引き上げと労働生産性の向上は、賃上げ不十分な上でコストカット目的に傾斜する。

 6の再就職支援と人材育成は、雇用の不安定性や過酷な成果主義へ。

 7のハラスメント防止は、1〜6によって余裕を失う中間管理職の心の荒みを増す。

 

 といった具合です。

 

 大企業の「経営」にとってはありがたい改革なのでしょう。しかし、労働者にとっては貧困化と格差拡大、労働環境の過酷化を誘引します。

 

 

 緊縮+働き方改革がどんな弊害をもたらすのか。

 

 これです。

 

三菱電機新入社員、社内発表会の直前に自殺

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53093020X01C19A2000000/

《男性は自殺した当時、社内向けの発表会へ向けた準備を進めていたことが7日、会社への取材で分かった。同社では過去にも社員の過労自殺や精神疾患による労災認定が相次ぎ、元社員は「パワハラが日常的で自浄作用はなかった」と話した。神戸地検は上司の刑事責任の有無を慎重に検討している。》

中略

《取材に「(三菱電機は)極限まで追い込んで成果を出させる体質だった」と振り返った。研修時から怒鳴られ、配属後の職場は上司の「死ぬ気でやれ」といった怒声が延々と響き、社員の1割以上が精神疾患で休職したという。》

 

 上司のハラスメントが原因だったそうだ。暴言や過酷な要求を擁護する気はありませんが、この上司にしてみても、必要な労働時間や報酬と見合わない状況で短期的な成果を要求される過酷な状況にあったのではないかと推測します。

 

働き方改革が進む企業では中間管理職にしわ寄せ--6割強が業務量増加と回答

 https://japan.cnet.com/article/35143568/

記事から飛び飛びに引用します。

《働き方改革が進んでいる企業群では、中間管理職自らの業務量が増加したとの回答割合が62.1%》

 自殺教唆容疑を受けた上司も、業務量の増加に苦慮していた可能性がある。

 

《中間管理職本人が課題と感じている割合が高かったのは、人手不足(57.5%)、後任者不足(56.2%)、自身の業務量の増加(52.5%)となった》

 一方で

《課題だと人事が考える割合が高かったのは、働き方改革への対応の増加(52%)ハラスメントの対応の増加(42.7%)、コンプライアンスの対応の増加(38.7%)となった。》

 

記事のまとめにあるように、中間管理職の悩みと、人事が課題と考えることに乖離を生じさせたことが「働き方改革」の大きな弊害のひとつだろう。

 

 

 企業は、短期的な成果を求め、かつ、働き方改革に準拠して厳しい条件を課し、人手不足や労働者の多様化で、中間管理職の対処能力をオーバーさせてしまうのだろう。

 

 自身の成果を焦らせ、部下に過酷なハラスメントを行わせたのは、政府による政策の失敗に帰結すると言わざるを得ない。上司も被害者なのだと言えるのではないか。

 

 ことは、「企業内部の働き方」というミクロな観点に収まらない、日本経済全体から問題点を見なければならないのです。なぜなら、日本経済は明確な景気後退状況にあり、企業ごとの努力が実りに結びつかない、さらにまっとうな努力が被害を出す、大変不幸な状況にあるからだ。

 

 

 働き方の問題は、アニメ業界にも存在します。

 社員で構成される制作管理部門には、一般企業のような管理・被管理の上下関係がある。

 制作進行はテレビ作品の場合、1話数を担当して演出・作監・原画など個々人の進捗を管理する。その上司である制作デスクは、シリーズ全体の進捗を管理します。ある話数に遅れが出れば、それ以後の全体に響き、デスク個人の査定に響きます。不器用な制作進行は厳しく叱責されることがままあるのです。あがり数を問われるため、ややもすれば質の低下を不問にして数をあげようとする体質にもなりかねません。質と数量のバランスを求められる難しい職場です。

 また、近年の「クリエイター」重視路線で、監督演出作監原画スタッフなどに「やっていただく」意識が求められ、あがりが悪くても強く言えないストレスも、相当に重くなっていると思う。

 作画演出部門内は、そのような上下関係は強くありません。量より質を求める傾向があるので、別な意味で厳しい職場ではありますが、制作部門に比べればストレスは多くないと思う。

 ボクのようなベテランになるとあまりうるさく言われなくなる(ある意味放置?)ので、制作部門の大変さ、中間的なプロデューサーや、制作デスクの大変さがよく見えるようになります。

 アニメ業界最大の問題は、制作管理部門の人手不足、育成環境の弱さです。

 その原因は、賃金の低さにある。アニメ業界特有の問題点は、アニメ制作会社が権利収入を得られる状況にないこと、です。

 

 

 働き方改革で求められる法令遵守と、現場の課題が乖離し対立してしまう、一般企業と同様の問題があるのです。

 

 そのような乖離が生じ、弊害が上から下へと荷重になっていく構造の根本的原因は、経済全体の縮小状況にある。

 ことの原因は、政府の緊縮財政、消費増税、社会保障費削減、医療介護の弱体化、地方弱体化、災害弱国化など、ひとりの人間が生まれてから死ぬまでの全てにおいて、政府は有効な手立てをやろうとしていないことだ。

 さらに、経済縮小によって、生まれるはずの命が生まれない殺人政治を継続していることだ。

 

 全部、緊縮のせいだ!

 

 三菱電機の若者が自殺に追いやられたのも、間接的には、政府の緊縮財政のせいなのだと言って、全く過言と思わない。

 

 繰り返しますが、件の上司のおこないを擁護する気はありません。

 しかし

 人を追い詰めているのは何のか!?

 

 「誰が」でなく「中身で」考える。

 「敵」を作り出して「敵」に依存する主体性のなさを自覚する。

 

 …を心がければ、おのづと見えてくるでしょう。

 

 30年におよぶ 緊縮財政・改革・グローバリズム、デフレ状況から脱却できない歴代政府の責任だ。

 失敗が明らかな政策を継続し強化すらしている安倍政権の責任だ。

 

 つまり、与野党全部の責任であり、そのような政治を許してきた国民の責任です。

 

 

 これ以上人を殺さないよう、いい加減、転換しましょうよ。

 

 死に向かって敷きつめられた緊縮の道から方向転換するのです。やればできる。

 

 

 

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