7人の所長の話
ここ数日、例のダイヤモンドプリンセス号をめぐって面白いことがありました。
岩田教授という感染病専門の方がDP号に潜り込み、「船内はひどい状況」と動画で告発
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翌朝、このプロジェクトの最高責任者?の副大臣が「ネズミを入れたやつを探せ」と犯人捜し指令
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同日、このプロジェクトの現場責任者と思われる高山氏が「岩田教授の言うこともわかるけど、みんな一生懸命やってんのよ」という反論
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一番エラい副大臣が「清潔ゾーンと不潔ゾーンはきちんとゾーニングされている」と証拠写真をツイート。
これがギャグかと思う写真で大炎上。即、削除される。
その写真がこれ。
一見してわかるようにドアがふたつ並んでいるだけで、明らかに手前も奥も一つの空間。ゾーニングされてるとは言えない。
この一連のやり取りを見ていて、ゼネコン時代の現場を思い出しました。
毎日が火事場の建設現場。個性の強い職人たち数百人が「出合い丁場」といわれる現場でエゴ丸出しで働くのを現場監督は率いていくわけで。
これに当てはめると岩田教授は専門職の職人だね。だから何を言ってもいい。職人が現場に来て言う決まり文句は「こんなにヒドイ現場は見たことねぇ!」。
高山氏は現場をまとめる監督だね。中間管理職と言えます。
橋本副大臣はトップに君臨する人。でも現場のことはわかっていない。
大きなプロジェクトに当たる時、まず最高責任者はしかるべき人材を人選し配置します。選ばれた代表者はそれぞれの職責を全うするために専門家を招集する。そしてヒアリングしてどうすれば彼らの能力を発揮させることができるか、環境つくりに腐心します。
最高責任者はその望ましい環境を実現させるために政治力や権限を発揮しなければならない。
ゼネコン現場なら、大所長がいて、現場監督がいて、専門能力をもつ職人がいる、というかんじ。
ただ、このトップや現場監督の大将の根本的な方針が間違えているとどうにもなりません。
このDP号はまさにこの典型ですね。
こうなっちゃうと下の者はもう逆らうことはせず諦めて早くこのプロジェクトを終えることだけを考えるようになります。
ヘタに反論や問題提起などすると面倒なことになりプロジェクトが終わらないので、とにかく結果はどうでもいいので言われたようにやる。早く終わらせる。こういうベクトルに現場は支配されます。
岩田教授は後からやってきてこの問題提起をしたんですね。でももう遅い。
現場の人たちからしたらもうそんな余計なこと言ってくれなくていいんでしょうね。ダメなのなんてわかってるし、早く下船したいだけでしょう。
ゼネコン現場監督の格言に「7人の所長に仕えて一人前」みたいなのがあります。
いろんな所長がいますので、それぞれ長所短所を経験して、清濁併せ飲めるようにならないと務まらない、そんな世界です。
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