先日まで、土曜の深夜がひそかに楽しみだった。
それは楽しみに観てたドラマがあったから。2020年秋現在、もうリアルタイム放送は終わってしまっているけれど。
そのドラマのタイトルは「妖怪シェアハウス」。
はじめは冷やかし半分で見始めたのだが、気が付いたらハマっていた。
目黒澪という女の子が、ひょんなことからある女性に助けられ、住みつくことになってしまったシェアハウス。
そこは、ひと癖もふた癖もありそうな住人が住んでるシェアハウスだった。
それもそのはず、その住人たちの正体は、ぬらりひょん、お岩さん、座敷わらし、そして酒呑童子・・・ときたもんだ!
いずれおとらぬ、超有名な妖怪たち。
そして、澪を助けてくれて、そのシェアハウスに連れてきたのは、お岩さんであった。
もっとも、お岩さんを妖怪扱いするのは、個人的に「??」という気持ちはあったが。
ゲスト出演(?)した番町皿屋敷の「お菊さん」にもそれは言えたが。共に妖怪というよりも幽霊族だと思うし。
私の中では、幽霊と妖怪は別種族みたいな感覚があるので。
まあ、それはともかく。
上記の4人の妖怪が、通常は普通の人間の姿になって、現代でそれぞれ職をもって日常生活をしていた。名前も「妖怪名」ではなく、一般の人間名で働いている・・・という設定。
なので、一見誰もが人間に見えた。かなり癖のある人間ではあるが。
だが、正体はまぎれもなく妖怪であり、人間が持たない特殊能力を持っていた。
その特殊能力で、目黒澪が困った時などに助けてくれた。澪に悪さをした人間を、こらしめてくれた。
特にお岩さんの優しさは格別だった。
これまで伝えられてきたお岩さんのイメージでこのドラマを見ると、当初面食らうかもしれない(笑)。
シェアハウスに住んでいる妖怪たちや、ゲスト出演してくる妖怪たち(お菊さん、山姥、アマビエなどなど)はなんだかんだで皆澪に対して優しかったので、澪はすっかりそのシェアハウスやその住人たちになじんでいった。
だが、妖怪たちにどんどんなじんでいく澪を見てて、心配する人間男性がいた。
それはそのシェアハウスの大家である水岡譲。
譲は、そのシェアハウスの大家であると同時に、神主でもあり、なおかつ陰陽師の血筋。
ただ、神主としての能力はイマイチで、妖怪たちには神通力が全く効かない。
とはいえ、人間である澪と、妖怪たちが交流することで、人間界と妖怪界のバランスが崩れることを危惧しており、なんとか澪を妖怪たちから遠ざけようとするが、うまくいかない。
実際、妖怪たちと仲良くなるにつれ、澪にも少しづつ妖怪的な変化が現れるようになっていった・・・。
とまあ、かいつまんで書くと、こんな感じの設定ドラマだった。
見てて思うのは、ともかく妖怪たちが「いい奴」であったこと。
思えば・・妖怪というものは、大昔に比べてイメージアップしてきている風潮があるが、このドラマなど、その典型だったろう。
怖い存在というより、愛すべき存在・・そんな感じで登場してきていた。
それには、このドラマにはからんでいないが、水木しげる先生の功績は大きかったのだろう。
そして、その水木作品の下地の風潮の発展形・・というか延長線上に、こういうドラマがあったようにも思う。
水木漫画をこよなく愛してきた私としては、水木漫画の影響もあって妖怪たちには一定の親しみを持ってきたので、こういうドラマにはついハマってしまった。
そういえば、「お岩さん」の映像作品などを制作する時には、四谷のお岩稲荷にお参りをしないと祟られる・・という通説があるが、この「妖怪シェアハウス」の制作前には「お岩稲荷」へのお参りはなされたのだろうか。
ただ、お岩さんがこういう描かれ方をされたことって、これまであまりなかったとは思うし、このドラマでのお岩さんはけっこう素敵で、優しく愛すべきキャラになっていたし、良い描かれ方だったと思う。少なくても決して悪い描かれ方ではなかった。
江戸の昔から怖いイメージがあるお岩さんを、ここまでそれまでと違うキャラにした作品は、他になかったのでは。
それでも、やはり「お岩稲荷」にはお参りしないとまずいのかな??
まあ、どんな描かれ方されるにしても、一応お参りだけはしといたほうが良さそうな気はするけど。
ちなみに、このドラマでのお岩さんはドラマ内でSNSのアカウントも持っている・・・という設定になっており、そこでのハンドルネームは「ちゃんいわ」であった。妙に可愛いのだ。
ただし・・そこは天下の「お岩さん」。怒らせたら目茶苦茶怖い。
江戸の昔から日本人を震え上がらせてきた怖さの片りんは、怒らせた時に出る。
あまりに愛情が深いため、普段は超絶優しいが、その反動で、怒らせたら超絶怖い・・・という降り幅のキャラ設定。
なので、怒らせないようにしといたほうが・・。
ともあれ、個人的に楽しいドラマであった。
続編は作られるのだろうか。
まだまだ出してほしい妖怪さんは、いたしね。