今村夏子「あひる」、映画「この世界の片隅に」
小説「あひる」は知り合いから譲られたアヒルを飼い始めたことから物語が始まる。
子供たちがアヒルを観にくるようになる。アヒルが死んでしまうと子供たちのために代わりのアヒルを買ってくる。そして、繰り返す。。。。
アヒルの扱いが雑すぎて、鳥飼いなら苛立つ。
私は子供の頃、何匹ものカメを死なせては新たなカメを迎えていたことを思い出してしまう。小学生にはカメを正しく飼うための知識も財力も無かった。越冬なんて困難。
やがて、代わりのモノはアヒルではなくなって。。。
代わりのもの、置き換えているもの。それでいいのか?
そんな問いかけをしてくる小説。
そんな代わりのものや置き換えの全てが悪いわけではないだろう。
アニメ映画「この世界のさらにいくつもの片隅に」でも、似たような問いかけがある。
だけど、最後には「置き換えることができて良かった」と思うから。
この映画、3回目でやっと最後まで観ることが出来た。
始めのうちはバケモノや座敷童子のエピソードがあって、となりのトトロのような物語かと思ってしまう。(私も子供の頃、郡山の祖母の家で鬼を見た気がするし、祖母は夜道を歩いていたらキツネに馬鹿されたことがあると話していた。)
主人公のすずさんが戦時下で絵を描いている様子は、今春亡くなった私の父がやはり米軍偵察機をこっそりスケッチしていたという話を思い出させた。
そんな共感するところもあって引き込まれ見続けていても、どんどん時が流れて終戦に向かっていくと、現実のツライ出来事が起きていく。
3年前に訪れた広島の記憶もまだ新しくて。。。なかなか最後まで観る気になれなかった。
でも、3回目でやっと最後まで観ることが出来て良かった。
3年前の広島でも、原爆ドーム近くの河原でサギを見ました。
映画 「この世界の片隅に」 紹介 - IN THIS CORNER OF THE WORLD -
とはいえやはり、意図して置き換えちゃうつもりはないからね!