特許事務所は中途採用が多い/有利な転職の方法【エージェントを使う】

特許事務所は中途採用が多い/有利な転職の方法【エージェントを使う】

私がエンジニアから特許事務所に転職したときの話を以下の記事で紹介しました。

特許事務所には新卒の採用は多くなく、中途採用が多いです。このことは、私が転職先を特許事務所にした理由の1つでした。

実際のところ中途採用がどのくらい多いか、どのような経験を持った人がいるのか、所員の年代などについて、私が勤務している特許事務所の例を紹介します。

エンジニアからの転職を考えている方、その他、特許事務所に興味がある人は、この記事を読めば、少し気が楽になるのではと思います。

以下で紹介します。



 ※特許の本の紹介。
 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

特許事務所は転職で入る人が多い、中途採用がほとんど

特許事務所には転職で入るひとが多いです。つまり中途採用で入る人が多いです。

そもそも、特許事務所はあまり新卒者向けの募集をしていないというのが1つの理由だと思います。

そのほかの理由として、おそらく、クライアントの意向に沿って専門的な業務をしないとけないので、技術系の開発職(エンジニア)や、知財関係の仕事など、何かの仕事の経験があるほうが、うまく仕事を進められるからではないかと思います。

一般に、会社や組織というものがどんな機能をもっていてどんな構造をしているか、とか、社会人としての行動などの基本的な部分を理解していると、仕事がしやすいです。

それに加えて、特許のような知的財産は、企業の事業を守ったり、利益を生み出したりする財産といわれます。特許事務所は、クライアントの知的財産を扱う業務をするので、より一層、上記の理解が必要だと思います。

弁理士、特許技術者の仕事経験の例

弁理士、特許技術者の仕事経験の例

私が所属している特許事務所では、弁理士資格をもっている人を含めて30人ほどの特許技術者がいます。

私は以下の記事で紹介したとおり、前職ではIT系のメーカの研究開発職(エンジニア)として働いていました。具体的には、ルータやその他のネットワーク機器のメーカで、新しい技術に関する研究開発の仕事をしていました。

私のほかには、機械系、半導体部品、IT系などのメーカのエンジニア(ハードウェア系、ソフトウェア系それぞれ)だった人が多いです。

電気関係の工事の会社で工事担当だった人、製薬の開発者、特許庁の審査官、特許の翻訳者などもいます。

食品の会社で食品の開発をしていたという人もいます。余談ですが、その人は味覚が鋭くて、ジュースを飲んだら、そのジュースに入っている甘味料を当てることができるという能力をもっています。

ちなみに、私が知る限り、社会人経験がない状態で事務所に入ったのは1人だけです。

特許の仕事の経験はなくても大丈夫

一方、特許事務所に転職で入るひとの中で特許の仕事の経験があるひともいれば、ないひともいます。

私は、35歳のときに、特許の仕事の経験がない状態で入所しました。幸い、私が所属している事務所では、新人に比較的丁寧に指導を教える雰囲気があるので、所長や先輩方の指導を受けて仕事を覚えることができました。

いまの事務所では、特許の仕事の経験がない状態で事務所に入った人が半分以上だと思います。

まとめると、技術系の仕事をしていて、特許の仕事の経験がない状態で事務所に入る、という流れがいちばん多いということになります。

30代が「若い層」、40代が「リーダ層」、50代以上が「マイペース層」

ちなみに、年齢層についても紹介するとこんな感じです。

20代はほぼいません。たまに28~29歳くらいの人が入ってきますが、すぐに30代になります。

30代が「若い層」です。経験を積みながら、こなせる仕事量が多くなっていく時期。経験が浅い一方、馬力のある人は、処理量を増やしていきます。

40代が、所内のグループのリーダクラスの層。特定のクライアント向けのグループのリーダになる感じです。自分の仕事を高い処理能力でこなしながら、30代の技術者の書面のチェックや指導もします。

50代以上になると、リーダクラスを維持する人がいる一方で、マイペースに淡々と仕事をこなしていく層があります。すでに自分の確立した仕事方法で、自分の仕事ペースを守りながら、日々、淡々と仕事をこなしていく。

みんな転職なので、転職で入りやすい

大卒で入社してそのまま定年まで勤めあげる人が多い職場では、勤続年数と経験値がほぼ等しくて、年配の人が強いような雰囲気もあると思います。あと、入社のときから人間関係が構築されていて、転職で入った人がいまひとつ打ち解けられない雰囲気があることもあります。もちろん本人次第の面もありますが。

その点、特許事務所は、多くの人が転職で入っています。特許技術者としての経験年数は年齢とあまり関係ないです。当事務所の勤続年数もばらばらです。

そして、入ってくる人が比較的多いので、中途採用で入る新人さんを受け入れるのが普通のことになっています。

これは、入所する人にとっては好都合。みんな中途採用で入っているので、中途で入りやすいです。

そして転職していく人もまた、多い

ただ残念なことに、転職で出ていく人もまた、他の会社よりは多いです。

昔に比べれば転職する人が多くなってきていると思いますが、社会全体から見ればまだまだ多いとは言えないと思います。転職をすることには心理的な壁があって、一度も転職を経験していない人が多いと思います。

特許事務所に転職で入った人は、その心理的な壁を一度乗り越えたことがある人なので、必要とあらばもう一度その壁を超えることもあるのでしょう。

スキルアップやキャリアアップの志向が強いともいえると思います。

特許事務所への転職

特許事務所への転職を検討する場合、直接に特許事務所に連絡をとる方法と、転職サイトを利用する方法があります。

直接に特許事務所の連絡をとる方法だと、特許事務所の所長などの面接を受けて、すぐに入所できる可能性もあると思います。ただし、入所日の交渉や、給与面での交渉など、自分でしなければならないことになります。入所する立場としてはあまり強く言えない面もあるので、不利になる可能性があります。

転職サイトを利用すれば、まず自分の希望にかなう特許事務所があるかないか、どこにあるかといった情報を教えてもらえます。そのうえで、希望する特許事務所への入所するにあたり、あなたと特許事務所の間に立って、あなたに有利でメリットがある形で特許事務所と交渉してくれます。

あなたよりさきにその事務所の所長などと面識があるエージェントも多いので、特許事務所側もある程度の安心感をもってあなたにあってくれます。

仮に直接交渉をするとすれば、特許事務所側にとっても相手がどのような人間かまったくわからない状態で対面することになります。最初からある程度の安心感をもってくれていれば、うまく進む方向に少し傾くと思いますよ。

また、エージェントは、1つの特許事務所の試験に失敗しても、そのほかの転職先を探してくれます。これは自分1人ではできないことです。転職を決意したときには、すごく頼りになる存在です。

ちなみに私も、エンジニアから特許事務所への転職のときに転職エージェントを利用しました。エージェントがすでに所長と知り合いだったので面接の最初の時点から打ち解けた雰囲気があって助かりました。

今日のみどころ

特許事務所は中途採用が多いということについて、私が勤務している特許事務所の内情を少し交えてシェアしました。

転職に目を向けて、転職活動をするといままで見えていなかった自分の会社の良いところが見えてくることもあります。そういう場合はもちろん転職をやめてしまえばいいですね。

転職に目を向けると、いままで見えていなかったものが必ず見えて世界が広がります。少し面倒なこともありますが、何もしないのももったいない。せっかくなので進めてみるのがいいと思いますよ。