蜂に刺された瞼は書くまでもなく、片目はお岩さんのように腫れ、熱と痛みで数日間寝込む
ことになったが、これ以降今に至るまで蜂恐怖症になってしまっている。
(ちなみに、熊ン蜂とは現在で言うスズメ蜂のこと)
さて、村の周りは田んぼばかりだが バスの道の向こうに外(ほか)と呼ばれていた場所
があった。
ここは田んぼの高さよりいくぶん高い丘状の大地で水田には向かず この地区の人が先祖代々
畑として受け継いで来たものである。
夏の日の夜 あたりは真っ暗だが勝手知ったる村の子供達と一緒にこの外(ほか)にいったの
だが そこには西瓜畑が広々とひろがっていた。
どこの家の西瓜畑か分かりもしないが、勝手に畑に分け入り西瓜の玉をポンポンと手で
叩いて音の良いのだけを割ったのだが、中は昼間の日照りでなま暖かく それと
無断の後めたさか、甘かつたのだが決して美味しいとはおもえなかった。
「甘くて苦い思い出である。」
今なら、当然、誰がやったのかや、警察沙汰云々になるところであろうが、噂にも
聞こえて来ず、村では 「どうせ子供のいたずらじゃろう」 と至極のんびりしたものだっ
たようだ。