出発点の違い
2020年 03月 23日
強風やサンダーストームでもピュアグライダーでなぜ飛ぶのか。決して無理しているわけではないし、飛ぶのを諦めて帰宅する日もあります。バッドコンディションを目の敵にして飛んでいるわけではないのです。
こんな気象条件の日に飛んで楽しいの?って同じグライダーパイロットからよく聞かれます。
答えは、ピュアグライダー(セールプレーン)のポテンシャルを限りなく100%引き出したいからです。実際は安全性を考慮して80%くらいにしています。凄く臆病なんです。
私のソアリングライフは「ハング・グライダー」から始まりました。30年以上前ですから、グライダーの性能も悪く、年々改良されてきましたが、軽量でビローシフトによる体重移動コントロール、風への弱さ。痛いほど経験しました。
テイクオフする山へ上がって準備しても、強風で飛べなくてブレークダウンして下山。または、飛んだはいいけど、強風に捕まって、前に出ない、強烈な乱流でひっくり返ったこともあります。
それに怖いのが「雲の吸い上げ」。スピードレンジ、ピッチのコントロール性の限界が低いので、強い吸い上げに捕まるとノーコントロール、ダッチロール状態でなすすべもなく猛烈な上昇を食い止めることができません。
本当に恐ろしいです。
そのような経験を踏まえてピュアグライダーに移行したのですが、これが別世界。こんな強風でも飛べる!もの凄いタービュランスでもコントロールできる。吸い上げだって、ダイブブレーキで自由自在に高度をコントロールできる。
ハングに比べたら天国のような滑空機です。
航空機としてのグライダーから始めたパイロットは、横風成分の限界やガスト、風速などの運航制限をしっかり決めていますが、ハング出身の「アウトロー」には、飛べる時は飛ぶ、のです。もちろん、しっかりとした飛行計画に基づいていますから、冒険ではありません。
技量が上達すれば、今までは考えられない強風や視程の悪い雪や雨雲が迫りくる気象条件でも、よく考えれば飛べるのです。判断を誤れば、取り返しが付きませんが、その場その場で脳味噌をフレキシブルに切り替えて、ギリギリの20%手前くらいまで攻めます。
同じグライダーパイロットにもなかなか理解してもらえないと思いますが、せっかくの高性能滑空機の宝の持ち腐れになりたくないのです。
だって、安全に楽しく飛べるんですからね。滑空場のロケーションが大切なのも理解しています。いつまで出来るかわかりませんが、ピュアグライダーを骨までしゃぶります。
だって、ハング・グライダーで、散々悔しい思いをしてきましたからね。
by kzkwglider
| 2020-03-23 01:47
| セールプレーン雑記
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