Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

卒業宣言をする価値

2019-09-18 | マスメディア批評
ザルツブルク州の結論が出た。現音楽監督はあと三回の復活祭登場のみとなった。2022年に希望していて、新支配人と争っていた演目は手切れの土産として「ローエングリン」が叶った。しかし実際にその公演が実現するかどうかは疑わしい。

舞台はザルツァッハからエルベ河畔へと移った。来年四月エープリールフールの元祖バイロイト音楽監督の誕生日までに辞表を出すとか書いてあるが、ティーレマンは辞表を出すなど一言も発言していない。要するに依願辞職の要請をメディア辞令で出して、この先は分からない。

そもそも契約当事者はザルツブルク州とザクセン州であると書いてある。するとこのメディア辞令に反応するのはザクセン州でしかない。ザクセン州は2023年以降も留まりたい意向を出している。つまり、ザクセン州の当事者であるシュターツカペレドレスデンとその指揮者ティーレマンの間で来年四月までに決着を出す必要がある。

バイエルン放送協会は、第一報でティーレマン自体がドレスデンのゼムパーオパーで新制作を殆ど振ることも無く、喜んでツアーに出てシュターツカペレを振りたいとしても欧州以外への演奏旅行は骨が折れるとして控えたいとしていると伝えている。そもそも欧州ではティーレマン指揮シュターツカペレは殆ど客が入らない。二千人近い大ホールでの演奏会は不可能となっている。よって、オペラ公演を中心とした復活祭上演も80%の座席占有率とはならなかった。

故に万が一シュターツカペレが首を据え替えても余程の人でなければ、例えばネルソンズ指揮ゲヴァントハウス管弦楽団よりも魅力があって、容易に集客とはならない。思い当たるのは指揮者ヴェルサーメストぐらいではなかろうか?勿論ドレスデンでも活躍しなければいけない。

だからバイエルン放送局は、元祖音楽監督はバイロイトに専任して、そこでもう少し活躍すればよいとしている。

要は、今後の焦点はザクセン州の反応と指揮者との攻防となる。管弦楽母体のシュターツカペレ自体の中にも様々な反応はあるだろうが、そろそろ指揮者との間でごたごたしそうな塩梅だ。こちらも首を据え替えてしまうならばエープリールフールまでにザルツブルクと新たに延長の契約を締結しなければいけない。少なくともザルツブルク側は様々な管弦楽団でと言っているが、実際問題として復活祭中に幾つかの催し物を複数の団体と毎年纏めるので容易では無かろう。

今回の騒動の第一次の勝利者は現バイエルン国立歌劇場支配人のニコラス・バッハラーである。そして勝利宣言、「巨人同士の闘争なんてなかったよ、そもそも巨人などではなく、争ったことなんてなかった。」。

録音しておいた先日引退したハイティンク指揮のブルックナーを流している。丁度一年前にチューリッヒで聞いた同曲の演奏からすると大分酷い指揮になっているようだ。あの時はそれ程慣れていないトーンハーレの楽団であったが、大雑把であっても崩れるところはなかった。その十日ほど前にルツェルンで聴いたマーラーの九番はそれよりも悪かったがコンセルトヘボー管弦楽団が崩れることは無かった。

既に昨年の春ごろから転倒続出で引退は見えていた。少なくとも自宅のある地元のホールに於いてマーラーの惜別の交響曲を最後として振りたいと卒業宣言していたので地元の皆はこの指揮者とのお別れをしたのであった。そしてやはり引退発表するようになってから余計に気持ちが折れてしまったのだろう。



参照:
限り無しに恨み尽くす 2019-09-03 | 女
プログラミングの決定権 2019-08-22 | マスメディア批評

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