積丹沖の方から左舷側に姉妹船が見えてきました。
さてここからは船内の非常設備について。
私は乗り物に乗るときは必ず非常設備をチェックするようにしています。
いつもクライアントさんの搬送に公共の乗り物を使った場合、非常時にはクライアントさんの命を守る義務があるからです。
飛行機や列車は基本的に乗ってる時間が短いし、非常口もほぼ決まっているのですが、フェリーは乗ってる時間が長い上、船舶ごとに造りが違うし、集合場所も違います。
そして脱出先は洋上という特殊環境下。
「避難訓練」なんて当然する機会はないのですが、やはり万が一の事を考えて、色々シュミレーションをしておく必要があります。
実際、何年か前にフェリーで火災があったことがあり、他人事ではありません。
以前もブログに書いたのですが、非常時の退避についてちょっと描きたいと思います。
全員退船が、長音5回以上。
船内には英語の表記もあり、あちこちに救命消防設備配置図と脱出経路図が掲示してあります。
今回乗った「あざれあ」は、乗船した時の甲板、船員さんがドラを叩いていたところが集合場所になっていて、こんなマークがついています。
そして、この先は立ち入り禁止だったのですが、救命イカダや脱出用のシューター(一番奥)があります。
海に投げると、中からオレンジ色のライフラフトと呼ばれる救命イカダが出てきます。
その中には何が入ってると思いますか?
甲板などの食料や水などはなんとなく想像がつきますよね。
そして、救難信号を送るためのグッズも思い付きそう。
浮輪なんて四種類もある!!
あ、でも浮輪じゃなく浮環なのね。
釣り道具が入っていると聞いた時も、「あ、なるほど~!!」と思ったのですが、
なんと中には「生存指導書」という生きるために必要な事柄が書いてある本が入っていて、その巻頭言がすごいの。
生き抜くために
望みを捨てるな。
救助は必ずやってくる。
遭難、漂流と人生最悪の極限ではあるが、
強い精神力で3日は生き延びよう。
あとは何10日も生きられる。
海は不毛の砂漠ではない。
食料の魚、プランクトンもある。
又、魚肉の50〜80%は真水である。
船が沈んでも世界はある。
何も恐れることはない。
過去の遭難の犠牲者は海のために死んだのではない。
恐怖のために死んだのである。
飢えや渇きによって死ぬには長時間かかる。
最後の1秒まで生き延びる努力をしよう。
死を急ぐ理由は何にもない。
家族が待っている。
人生を航海に例えるなら、あらゆるところで参考になる言葉だと思いませんか?
東日本大震災の時も、とある船長さんが被災者の方々に呼びかけたそうです。
救命胴衣はお部屋にありますが、甲板にも置いてあって、幼児用はここにしか置いてないようです。
寝たきりのクライアントさんの場合、特別な医療処置がなくても、必ず2〜3人のスタッフが同行するようにしていますが、普段のケアのほかに、非常時にも対応できる事を念頭に置いています。