よく子供がお客様がある時などに

ワイワイ騒いで、

お客様の前で

「お菓子ちょうだい」ということがある


お客様に出すお菓子を持って行かれ

恥ずかしい思いをしたお母さまも

多いと思うが、

そういうことも子供の要求と

言えるだろうか


それは、

お母さまがお客様の相手ばかりして

自分の存在を忘れている、のみならず

「おとなしくしてなさい、

こんなことしたら駄目じゃないの」と

抑えてばかりいる


子供は忘れられては困るから

親の前に姿を現わし、

物音を立てては「うるさいわね」と

叱られる


お客様の前で

「お菓子ちょうだい」とやるのも、

ここならぶたれないですむ……という

子供の知恵がある


安心して出てきて、

そして持って行ってしまうのである


後で叱られるかもしれないけれど

今は無事だ、

少なくともお客様がいる間は

お母さまも追いかけてこないと、

子供は子供なりにそう考えて行動する


そういう場合に、

お菓子を貰いたい要求が子供にあったのか、

騒ぎたい要求があったのかと

考える必要がある


子供は常に、親の注意を引きたいのである


もちろん雨の日に部屋に閉じ込められた

子供達が、

騒いだり兄弟喧嘩をしたり、

障子を破ったりするのは、

(発散)の要求だからそうするのであるが、

お菓子を食べに出てきたり

騒いだりするのは、

お菓子を食べたい要求ではない

騒ぎたい要求でもない



お母さまの目につきたい、

忘れられたくない

お客様だけでなく、自分の方にも公平に

注意を向けてほしい要求なのである


叱る時は、

お母さま方は本当に一生懸命に叱る


それで子供は余計に叱られることをやる


親の注意を得たい要求があるからで、

親が怒れば怒る程、

子供はそういう行動を繰り返す


だから繰り返したとしても、

それは本当を言えば、

怒られたいからやるのではのではない、

親の注意を得たい要求なのだ


そういうことは親が他所を向いている

限り起こる


最近は、携帯・スマホが常に手元にあり、

子供といても友人といても常に目線がそれらの

機器に目が行き心在らずが多いので

もっと真剣に子供と向き合うのがいいかもしれない


怪我をすることもあれば

病気になることもある


しかし

要求といっても子供自身意識していない、

無意識に要求しているのだ


確信犯じゃない…


だから外に現れるものばかりでなく、

体の中にもいろいろな変動を起こす



怪我をした子供に向かって

「なぜ怪我なんてしたの」と叱る人がある


それは親の注意が

行き届かなかったからであるが、

その埋め合わせをしようとするなら

方法がなくもない


それは指の先を擦りむく位の怪我を

した時に、

指全体、手首くらいまで包帯をしてやる


グルグル巻きにして、

おまけに首から吊ってやれば子供は満足する


大袈裟にすることで、

親の注意が自分にあると安心する


怪我をしたことをむしろ快く感じて、

皆に見せて歩くだろうが、

それをやれば子供は満足する


しかし反面、

その要求を認めたことによって、

子供は弱くなってゆく


                                       野口晴哉先生の書籍より引用