ピッグル・ウイッグルおばさんの農場/ベティ・マクドナルド・作 モーリス・センダック・絵 小宮 由・訳/岩波少年文庫/2011年
原作は1954年。
うそつきフェットロック、 ペットの世話をわすれるレベッカ、 分解好きジェフィ、 こわがりやフィービー、 さがしものが下手なモートンの五人のこどもが登場します。
フェットロックは、自分の父親を泥棒だ、列車泥棒、詐欺師、贋金づくりなど、あちこちに吹聴しています。
レベッカは、動物好き。チャボのおんどり、モルモット2ひき、うさぎ一羽、コマドリのあかちゃん、白ねずみ、猫、犬、さらにカメ、カメレオン、金魚などなど。
世話をするのはレベッカですが、よく忘れるので、朝から晩まで動物の鳴き声が近所迷惑。
ジェフィは芝刈り機からミキサー、レコードプレイヤーまで、なんでも分解してしまいます。
フィービーは、極端なこわがりで、魔女がくる、人殺しがやってくると夜もよく眠れません。
モートンは、探し物がにがて。さがしものをしていると、周囲にきをとられ、肝心の探しものを忘れてしまいます。
こんなちょっとわけありの子どもを、ホームステイさせるおばさん。
おばさんは子どもをありがまま受け入れ、余裕をもって、子ども自身に気づかせていきます。
電気もとおっていないおばさんの農場のイヌのワグ、馬のトロッキー、雌牛のアーバス、母ぶたのファニー、オウムのペネロペ仔牛のヘザー、アヒル、ガチョウ、めんどりの動物たちの活躍も見どころです。
子どもたちはみんな根はまじめ。
分解好きのジェフィは、なんでも修理屋さんに。分解は組み立てを理解できること。
こわがりのフィービーは、地下室にたおれているピックル・ウイッグルおばさんを助けようと、にがてだった馬のトロッキーのとびのります。いざというとき勇気が出るのは「花さきやま」そのもの。
初期の頃のセンダックの挿絵(モノクロ)もお話とぴったり。
ピッグル・ウィッグルおばさんしかでてきませんが、なくなった夫は元海賊だそうですから、波瀾万丈の人生のようです。
作者のお姉さんが「あなたは なんだってできるのよ」と励ましたエピソードも心あたたまります。