かぜのかみとこども/文・山中恒 絵・瀬川康男/フレーベル館/2012年
むかし むかし 大人がみんな稲刈りの最中、残った子どもたちがお堂のところで遊んでいると、見たことのない男がふらりとやってきて、「梨や柿がうーんとなってるところへ行ってみたくないかな?」といいました。
子どもたちが、そこへつれていってほしいというと、男は子どもたちを しっぽのようなものにのせ、ごうっと 風を起こして空高く舞い上がり、どこかの山の中へ。そこにはどの木にも柿や梨や栗がたくさんなっていて、子どもたちは とびあがって大喜び。
ところが夕方になってあたりが薄暗くなると「これから ほかへいく ようじがあるから おまえたちだけで かえれ」と、男は ふいっと どこかへ とんでいってしまいます。
あたりが だんだんくらくなり さびしくなってきます。子どもたちがからだをくっつけあうようにして山道を一生懸命歩いていくと あかりがみえました。「こんばんわ、こんばんわ!」と、声をかけると 大きなおばあさんが でてきました。緊張感が走りますが、ずいぶんやさしいおばあさんで、子どもたちは、ごはんをごちそうになります。
子どもたちが知らない男についてきて、まいごになったと話すと、おばあさんは、男は二番目の息子の南風といいました。そして、おばあさんは風の神の親だから、北風の息子におくらせるといい、子どもたちは村にもどります。
新潟の話を再話したもので初出は1972年。2012年に復刊されたものです。
柿や梨、栗がでてきて、さらに北風と季節感があふれ11月ごろによく語られる話です。南風は無責任のようですが、季節の変わり目で出番はおわりました。
でてくるキャラクターの表情や着物の柄が印象に残りました。