公爵夫人のふわふわケーキ/ヴァージニア・カール・作 灰島かり・訳/平凡社/2007年
原著は1955年でアメリカで子どもたちに読み継がれてきたものが、2007年まで翻訳されていなかったのが不思議なくらいです。
ある日、暇をもてあました公爵夫人が、とつぜん公爵と子どもたちにケーキを作ることを思いつきました。「ケーキの作り方を お教えしましょう」と料理番が もうしでましたが 「けっこうよ」と 断った公爵夫人。これは事件がおこりそうとおもっていると、そのとおりのことが。
ふくらまし粉をいれすぎたせいで、ふんわり ふわふわ ふんわり ふわふわ ふくらんで 町を見下ろすほどの高さまでふくらんでしまったので、さあ、大変。
石投げ機で大きな石を投げても弓矢で放っても、どうにもなりません。
でも、上と下で話ができるので、夫人は上から指示したり お願いしたり。
そのとき、13人の一番末っ子が「おなかが へったよお。なんか たべたいよ。エーンエーン」となきはじめました。
なにか食べ物は?
ありました。ありました。ふわふわケーキ。
みんな たべはじめました。王さまも、女王さまも、将軍たちも、家来たちも。公爵も、おひめさまたちも。もちろん、上からは公爵夫人。13人のお姫さまの出番がなかなかないのですが、ちゃんと出番が到来して一安心。
おかげで、公爵夫人は無事帰還です。
ケーキの材料は さとう、小麦粉、バター、アーモンド、ほしぶどう、ウシのあぶら お酢、たまご、もも、すもも、プリン、シナモン、ペパーミント、アンゼリカ、ナツメグ、ローレル。どんな味でしょう。
ユーモアもたっぷり。
公爵夫人がケーキをつくる場面。「お酢は すっぱい、こりゃ しっぱい」
公爵もなかなか。「みんな、おかあさまに いってらっしゃいを しようね。おかあさまは ケーキのくもに のって お空へ のぼっていかれるようだ」
泣きはじめた一番末っ子のガンヒルダをなだめるのは「なんなら あたらしいおかあさまを みつけてこようか」。
ただ、「公爵さまは、お城で やすんでいないときには、いつも 戦を していました。」というのは余分です。