どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

公爵夫人のふわふわケーキ

2021年08月21日 | 絵本(外国)

    公爵夫人のふわふわケーキ/ヴァージニア・カール・作 灰島かり・訳/平凡社/2007年

 

 原著は1955年でアメリカで子どもたちに読み継がれてきたものが、2007年まで翻訳されていなかったのが不思議なくらいです。

 ある日、暇をもてあました公爵夫人が、とつぜん公爵と子どもたちにケーキを作ることを思いつきました。「ケーキの作り方を お教えしましょう」と料理番が もうしでましたが 「けっこうよ」と 断った公爵夫人。これは事件がおこりそうとおもっていると、そのとおりのことが。

 ふくらまし粉をいれすぎたせいで、ふんわり ふわふわ ふんわり ふわふわ ふくらんで 町を見下ろすほどの高さまでふくらんでしまったので、さあ、大変。

 石投げ機で大きな石を投げても弓矢で放っても、どうにもなりません。

 でも、上と下で話ができるので、夫人は上から指示したり お願いしたり。

 そのとき、13人の一番末っ子が「おなかが へったよお。なんか たべたいよ。エーンエーン」となきはじめました。

 なにか食べ物は?

 ありました。ありました。ふわふわケーキ。

 みんな たべはじめました。王さまも、女王さまも、将軍たちも、家来たちも。公爵も、おひめさまたちも。もちろん、上からは公爵夫人。13人のお姫さまの出番がなかなかないのですが、ちゃんと出番が到来して一安心。

 おかげで、公爵夫人は無事帰還です。

 ケーキの材料は さとう、小麦粉、バター、アーモンド、ほしぶどう、ウシのあぶら お酢、たまご、もも、すもも、プリン、シナモン、ペパーミント、アンゼリカ、ナツメグ、ローレル。どんな味でしょう。

 ユーモアもたっぷり。

 公爵夫人がケーキをつくる場面。「お酢は すっぱい、こりゃ しっぱい」

 公爵もなかなか。「みんな、おかあさまに いってらっしゃいを しようね。おかあさまは ケーキのくもに のって お空へ のぼっていかれるようだ」

 泣きはじめた一番末っ子のガンヒルダをなだめるのは「なんなら あたらしいおかあさまを みつけてこようか」。

 ただ、「公爵さまは、お城で やすんでいないときには、いつも 戦を していました。」というのは余分です。


この記事についてブログを書く
« このあかいえほんをひらいたら | トップ | ぼくのきいろいバス »
最新の画像もっと見る

絵本(外国)」カテゴリの最新記事