どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

猫山

2020年03月24日 | 絵本(日本)

          猫山/齋藤隆介・作 滝平二郎・絵/岩崎書店/1983年

 

 イワナ釣りに夢中になっていた三平が道に迷い、森の中の家に、一晩とめてもらおうと しらがのばあさんに、おねがいすると そこには十四五人の子どもが。

 夜中に、じぶんをそっと呼ぶ声に、三平が目を覚ますと、そこには三年前に迷い猫になったニャンコが。

 ニャンコは、としよりばばは、猫ばばで、子どもたちは、みんなさらわれてきたまよい猫やすて猫だという。そして、早くしないと、猫ばばに食べられてしまうから逃げろという。

 ひとりでにげろというニャンコに「おまえのおっかあが、おまえをおもいだしちゃ ニャーニャーないているぞ! くるんだ!」と、一緒に逃げだした三平は、ビクのなかからイワナをつかみだし一匹づつなげ時間をかせごうとしますが、猫ばばは「コーラ子猫ども。そのイワナは オラのものだ。そいつをくったら 猫ナベだぞ。」と、みんな食べてしまいます。

 それをみた三平は、ビクをさかさまにしてイワナを全部まき散らし、子猫たちが、はらいっぱい食べられるようにしますが、猫ばばは、みんおれのものだと、子猫をおいはらいます。

 すると三平は大声で、「みなで力をあわせれば、たった一ぴきの猫ばばは、やっつけられる。おれも手伝うから やっちまえ!」と、猫ばばにとびつき、子猫たちも、ひっかかれたり、まりのように けとばされたりしたけれども 猫ばばに とびつき、川にすててしまいます。

 滝平二郎さんの切り絵も、猫ばばが、包丁をゴッシゴッシと 砥石でといでは、左手の親指で 切れ味を試す影絵や、でっかい白い猫ばばがイワナを独り占めする場面といい、迫力満点です。

 一人ではなく、みんなの力を合わせれば 怖い猫ばばもやっつけられるのだと、斎藤隆介さんのメッセージも明快です。 


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