どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

このいえも むかしは

2019年12月13日 | 絵本(外国)

           このいえも むかしは/ジュリー・フォリアーノ・文 レイン・スミス・絵 青山南・訳/BL出版/2018年

 

 森の奥深くの丘の上の一軒の倒れそうで誰もすんでいない家。
 むかしは青いペンキが塗られていたけれど、今ははがれていて、家までの道は草木にすっかりおおわれ、窓のガラスはなくなっています。

 ふたりの子どもが、丘をのぼり、家に近づきます。
 玄関のドアは、あいているか しまっているか どっちつかず。

 ガラスの割れた窓から、家にあがりこんだふたりの子ども。

 顔がやぶれた写真、テーブルの上の絵の具、レコード、まだどこか暮らしの名残が残っている室内。

 子どもたちが想像します。

 ヒゲをはやし、眼鏡をした男の人が、まどをのぞいて、海にいきたいとおもっていたのかな?

 女の人が、アイステイーを飲みながら 庭でリスの絵をかいていたのかな?

 女の子が レコードに合わせて うたっておどっていたのかな?

 男の子が、飛行機をつくって まいばん空をとぶ夢をみていたのかな?

 飛行機でパリにとんでいって セーヌ川で絵をかいて チーズをいっぱいたべているのかな?

 ・・・・

 ときどきCG風の無機質な絵本がありますが、どうにも好きになりません。この絵本は、手作り感のある味わいのある絵。家のなかに住んでいた人を想像する場面では、それまで様相がガラリと切り替わります。男の子の飛行機がとってもクラシック。

 「森のおくふかくに いえがいっけん。むかしは ひとがすんでいましたが いまは だれもいません」とはじまりますが、ラストにまったく同じフレーズがでてきます。

 はじめの方の数ページにわたって、小鳥が餌をくわえているのが気になっていたのですが、最後のページでは、雛が三匹、家の中の木の枝に とまっています。

 住宅密集地での空き家はいろいろ問題がありますが、森の中の空き家は、たしかに想像をかきたててくれます。


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