しかもちょうど生後3ヶ月を迎えるとのことで、2回目の予防接種を受けるタイミングと重なっていました。
プリマが2回目の予防接種を受けると様子見の為、更にお家へやって来るのがもう1週間伸びるとのことでした。
僕はその間にも飼い主になる為の心構えや猫なで声の発声練習、それから猫を見たときに自然と優しそうに目を細められる訓練などストイックな生活を継続しました。
もちろん禁断のナイトブラで肉球を育て上げたりもしました。
僕は自分のディスクの上に置かれたナポレオン・ビルの『思考は現実化する!』を脇に抱えて、「今日も少し仕事が早く終わった。」と思いながら会社をあとにしました。
帰宅途中の電車の中でも男の子たちの熱い視線が、ボディメイクされた僕の掌に集中しているのが感じられました。
家に帰るとブラジャーを装着したタモリ氏が街を徘徊する『ブラタモリ』を視聴したりして過ごしました。
そんな平凡でありきたりな毎日が続きました。
ある日、僕は仕事中に僕のディスクの上の書類の山を片付けていました。書類の山と対峙し、書類を1枚1枚確認していきました。
書類のチェックが終わると己の掌を朱肉に押し当てました。それから書類の確認欄に己の肉球をぺったんこと押しました。
僕は優しそうに目を細めながら何度も何度も己の豊満な肉球を惜しむことなくぺったん ぺったんしていきました。
ときには欲しているような感じで、またあるときは『第4ボタン』まで外したような感じでぺったん ぺったんしていきました。
大胆にも『第4ボタン』も外したのに、『第3ボタン』をもう1度付けた『第3ボタンだけ残して全てのボタン外す』超難易度の高い高等テクニックなども披露しました。
最終的には優しそうに目を細めすぎて、何も確認していないけど書類をぺったん ぺったん ぺったんたんと処理していきました。
僕が夢中になって、肉球判子を書類に押し続けていると・・・
「〇〇さん、お疲れ様です。」
見ると庶務2の若手有望株の女子の左隣にいるそこそこ若手普通株の女子でした。
「どうしましたか?」
僕はいつものように冷静な猫なで声で応答しました。
「〇〇さん、先程依頼した『猫山商事』の件はどうなりましたか?」
「えっ?」
『猫山商事』といえば我社の大型取引先のひとつだ!あそこの窓口の猫田氏は何かと細かい。
「うん、その案件については安心してくれたまえ!僕の方から猫なで声でお願いしておくよ!」
「本当ですかぁ?〇〇さん直々に猫なで声で伝えて頂けるなんて、本当に安心しました。」
「あれ?なんか〇〇さんの肉球、少し大きくなってませんかぁ?」
「アハハハ〜♫気のせいですよ?」
「ですよねぇ〜?アハハハ〜♪」
もちろん、ナイトブラを使っていることは会社の皆には内緒だ!
このように僕は猫なで声と肉球で多くの仕事を片付けて、『いつもより旦那の帰りが早くなる』を実践していきました。
こうしてプリマ・L・アルテーシアとの暮らしを始める準備は着々と進んでいたのであります。
おしまい🐾