河内長野市K様邸リフォーム工事⑥ 巾木を無くすというお話

IMG_20191024_184223アクセントクロスにダークな色を使った部分には黒色のコンセントプレートを設置しました。

これは解説するまでもなく、統一感を出す為です。

こういう小さな配慮の積み重ねで、空間の落ち着き・調和・整った感といったものが出てきます。

そして、壁と床の間の部分を見て欲しいのですが、巾木を無しで納めてもらっています。(巾木とは壁と床の間にある部材。)

本題はコンセントプレートの色ではなくこの巾木のお話。

既製品のアイランドキッチンを置いた訳ではなく、腰壁を造作しているので、壁の仕上がりはクロスで下地は石膏ボード12.5㎜です。

巾木を無くすことで、余計なラインを消して雑味を無くしているのですが、そんなに簡単に巾木って無くしちゃって良いものなのでしょうか?

そもそも巾木ってなんの為にあるの?って事から考えてみましょう。

あいつが無ければホコリもたまらないのにと憎く思っている方もさぞかし多い事でしょう(笑)

①床と壁の隙間隠し

施工上、こういう隅(入隅という)部分は突きつけて施工するのが難しい部分で、一般的には数㎜の隙間ができます。

少し手間をかけてやれば突きつけて施工はできるのですが、時間を短縮する為や他の部分の隙間を無くす為に基本的にはすくのが普通。

逆に言うと、巾木をつけるから逃げる=余裕を持たせた寸法でカットするという側面もあります。

壁を先に施工した場合は床鳴りしない様にわざと数㎜のクリアランスを設けますし、床を先に施工した場合は天井側に突きつけて施工しますので下側がすいたりします。(床を隙間なく壁につけて施工すると、多少の上下で壁と床の端部が擦れて床鳴りする事があります。)

で、その隙間を隠す為に巾木を取り付けます。

②掃除機をぶつけるから巾木が無いとクロスが傷つく(?)

掃除機をかける時に壁に向かってコツコツ当てるので、クロスが傷つくし、下手したら石膏ボードに穴があく??


 

なんて事が一般的に言われております。

で、巾木を無くす為にはこれらを解決しないといけない訳ですが。

①に関していえば、床先施工で飲み込ませて、石膏ボードを隙間なく施工すれば問題無し。

大工さんにお願いして手間をかけてもらうだけの話です。

そして問題は②なのですが、僕は今までの経験から、この内容に対して疑問を抱いています。

ホンマに??と。

確かにガンガン当てるとクロスが傷付くのは分かりますが石膏ボードに穴あくってどんなレベルでぶつけてるん?

まあ、あり得なくもないのでこの点については、下部にも木の下地を入れる事で穴開き防止策はとりました。

で、本題は普通に掃除機をかけていてクロスがどれぐらい傷付くのか?って事。

この普通ってのはどこまで??ってのはあるものの、僕の中の感覚で普通に掃除機を当てるぐらいでは気になる様な傷は付きません。

これを言い切れるのはなぜかというと、10年以上住んだ家に巾木の無い部屋で掃除機をかけている部屋があるからなんです。

それは『和室』です。

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巾木無し・畳寄せ

和室なので巾木が無く、端部は畳寄せになっています。

壁の仕上がりはクロス仕上げ。

掃除機は普通にコツコツコツコツ壁に当てながらかけています。

確認の為に写真撮りに行ってみましたが、傷なんて一つもありませんでした(笑)

これ多分気付いてない人多いと思いますが、和室で同じような状況のところって普通にたくさんありますよ。

巾木を無くすって話をすると建築関係の人は決まって掃除機をかけると傷がいくと言う事が多いのですが、どうでしょうか?

実際、職人さんにも何度か言われた事があり、その度に説明するという(笑)

そりゃ巾木無くす様にする為には手間かかるのは重々承知しておりますが、キッチン部分の腰壁だけとか意匠的にすっきり見せたい一部分だけにする事が多いのでご勘弁をm(_ _)m

自分の思う意匠を貫いて現場の方とも上手くやる為には、自分自身の施工への理解と、やった事ない事をやってもらう為に納得してもらう為の根拠とが必要で、設計というのも結構難しい仕事だなと。

綺麗に見えるからというだけで巾木を無くして欲しいというと現場で馬鹿にされる様な気もするし、現場の施工し易い様にだけで言いなりでするのも違うし、職人さんの事を尊敬し、一緒に作るという気持ちを持って仕事をしたいと思っています。

現場で職人からよその設計の愚痴などを聞くと、実際には現場サイドと設計サイドで違う方向を見ているという事が多いんだろうなと思います。

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巾木一つとっても色々と考えてますよ~(^^♪

この記事見て、へぇ~、簡単に巾木なくせるんやってならないで下さいね💦

このお家も一部分だけでなくしてもらってるだけですので。

全部が全部無くして欲しいとなると、天井高と石膏ボードの高さの関係とか、施工の順番とか、またまた違う関連の事も考える必要があります。

手間かかったり、石膏ボードの目地がたくさんできて後々のクロスが割れやすくなったりとかもあります。

まあ・・・手間(=お金)さえかければ出来ない事もないけどといった具合です。

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プロフィール

大政 容平
大政 容平エン・ワークス(設計士・宅建士)
大工・2級建築士・宅地建物取引士。1980年生まれ。2児の父(男の子と女の子)。趣味は、ギター・料理・日曜大工。大工は元プロですが(;^_^A。子供は何でも作れると思っちゃってます。建築・デザインが好きで、リフォームや新築も承ります。(100棟超の新築住宅設計)ブログもやってますので、見てみて下さいね♪

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