こんにちは。
生徒が望む人生を手に入れる能力UPの学習塾 StudyGymの長山です。

無謀な挑戦ばかりをしていた高校時代の私。そんな私に『たった一つのあだ花』が咲きました。②

３年生引退後、残った部員は１２名。夏休みは戦力化のため大いにしごかれる。

前回のお話はこちら

新チーム結成当初の投手陣は完投できるだけのスタミナがなく、３名の継投で試合を回していました。

しかし、そのうちの１名が肘を痛めてしまい、試合に出れなくなりました。私も使わないとチームが回らないという状況になったのです。

そこから万年ベンチになるはずだった長山の戦力化のためのトレーニングが始まります。

当時の野球部は、寮生が帰省してしまうと練習にならないため、夏休み中練習はあまりありませんでした。しかし、その年の部員はほとんどが自宅生で、寮生は私一人でした。それで、練習は休みにならず、自宅生の家に泊めていただきながら練習に参加しました。

夏休み中のメニューは次のようなものでした。
技術うんぬんより私に最低限の役割がこなせるだけの体力を身につけさせようとしていたようです。

①グラウンド(１周８００ｍ）５周
②塁間の距離のダッシュ
③キャッチボール(塁間＋遠投）
④フリーバッティング（打ったら必ず１塁に走る）
⑤ノック５０本(５０本ちゃんと処理するまで終わらない）

１年生の頃の私は体力が全然足りなかったので、最後のノック５０本がこなせず、途中でダウン。

そして、３日目に過労で起き上がることもできず、練習を２日休みました。

練習を休んだ二日目、私を元気づけるため、泊めていただいていたおうちの方が、家族全員で私を横津岳に連れて行って下さいました。



一番右が私で、左から2番目が同じ野球部の同期です。
私のために1日練習を休んで同行してくれました。

他のメンバーが皆こなしているメニューがこなせず、技術もない自分が情けなく、惨めな気持ちでいっぱいでした。この写真でもすっかり自分に自信をなくして、前を向くことができていません。

こんなに辛い練習耐えられない。こんな大変な思いをしたのだから、新人戦に出ないと割に合わない。そこまでは我慢。でも、それが終わったら退部しようとそんなことを思っていました。

１年生秋の新人戦に出場できてしまった。８番レフト。まぐれでタイムリーヒット。

しかし、体力と忍耐力がついてくるにつれ、練習の辛さにも慣れ技術も少しづつ上達。すると、練習も少しづつ楽しくなってきました。

ちょっとでもいいから試合に出てみたいなと思っていたところ、先発で出場させてもらえることになる。

投手陣は1番手が先発すると、2番手が肩を作り始め、先発は100球をメドに交代しレフトに入り、私がベンチに退く。これが起用パターンでした。

第2打席の時、ワンアウトランナー2.3塁のチャンスで私に打席が回ってきました。監督は私を全くアテにしてなく、次に期待していました。

相手投手も同じ気持ちだったと思います。そんな私に、次の打順の先輩がアドバイスをくれました。「初球ストライクが来るから、ボールから目を離さず思い切り振れ。」すると本当に真ん中高めのストレートが来て、左中間を破るツーベースヒットになり、2者生還。驚きました。

練習の中では絶対味わうことのできないワクワク感。ボールをさばき、一つ一つのプレーで自分が役割を果たせていることの喜び、更にはクリーンヒットでボールがバットに当たる瞬間の快感。チームに貢献できたことの血液が逆流するような達成感。

甲子園で打者が肝心な所でヒットを打ったり、投手が抑え込んだりしたときにガッツポーズをしたり、時には雄叫びを上げたりするあの気持ちがよくわかりました。

みんなこの瞬間のために苦しい練習に耐えていたのだ。初めて練習の意味が分かった瞬間でした。しかし、このしばらく後の守備で、私がボールを後逸して失点。それで試合に負けました。

もっとうまくならないとみんなに申し訳ない。これで退部するつもりだったはずなのに、すっかりこの楽しさに取りつかれ、退部する気持ちはどこかに飛んで行ってしまいました。

次に続く

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