第234回 トマス・ハリス 『羊たちの沈黙』


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内容
FBIアカデミイの訓練生スターリングは、9人の患者を殺害して収監されている精神科医レクター博士から〈バッファロゥ・ビル事件〉に関する示唆を与えられた。バッファロゥ・ビルとは、これまでに5人の若い女性を殺して皮膚を剥ぎ取った犯人のあだ名である。「こんどは頭皮を剥ぐだろう」レクター博士はそう予言した…。不気味な連続殺人事件を追う出色のハード・サスペンス。




世界中を席巻した映画の原作。
人喰いの猟奇殺人の代名詞になるほどのレクター博士が登場する伝説の作品。


映画ではアンソニーホプキンスがレクター博士を、
主人公のクラリススターリングをジョディフォスターが演じ、
共にアカデミー賞を授賞し、代表作のひとつになっています。


異常な猟奇連続殺人と、それを追うFBIのスターリングの鬼気迫る対決は、

現在でも色褪せることなく読者を戦慄させる大傑作。



正直、日本語訳が読みづらく、読むのにかなり時間がかかってしまいましたが、


単なるサスペンスではなく、
殺人犯の心理や、主人公のトラウマと救済、など精緻に描かれていて、読みごたえは抜群です。

翻訳はできるだけ原作の匂いを残しているために読みづらくなっているのだと思うところが多いのでしょうがないとも思いますが、、




また、これだけ有名になったレクター博士が、
ある意味、捜査の助言役でしかないというところも凄いところだと思います。

実際に主人公が追いかける犯人はまた別のバッファロー・ビルなので。


なかなか読み抜くのに読者の労力も必要ですが、
生涯心にひっかかる作品になりそうです。