私は世界中で天災や戦災が起きた際に少額ですができるだけ寄付をするようにしています。
近年だと東日本大震災や難民問題などに対して各NGOやNPOに寄付しています(多くの団体は特定の災害や地域に対しても寄付ができます)。

その中でも初期の頃から何度か寄付してきたのがオックスファム(oxfam)でした。
オックスファムはイギリスで誕生し、世界中の貧困や格差の是正などに取り組んできた団体で、歴史も実績も多く、非常に知名度の高い団体です。世界中で被災者への救援にも取り組んでいます。
日本でオックスファムに寄付しようとした場合オックスファム・ジャパンという国内団体を通じて寄付することになります。

oxfam
オックスファムジャパンのウェブサイトより


先日寄付先を検討していたところ、このオックスファム・ジャパンが解散していることに気づきました。
まだウェブサイトは残っているのですが、2018年の10月1日付で解散のリリースが出されていました。
特定非営利活動法人オックスファム・ジャパン解散のお知らせ

理由としては「ここ数年、経営資源上の問題が悪化したことから、何度か立て直しをはかってまいりましたが、オックスファム国際NGO連合(Confederation)の一員として自立していくことが困難と判断」したとなっています。
つまり日本での活動資金が集まらず解散を決定したということかと思います。

ただ、オックスファムに関しては2018年に致命的な不祥事が発覚しており、そのことが原因なのではないかと個人的には考えています。



不祥事というのは、2011年にハイチ地震への支援活動中に職員による買春行為があり、処分されたもののそれを適切に公表していなかったことや、目撃者を脅迫したり、少女買春があったという疑惑まで報道されました。
オックスファム、ハイチ不祥事の報告書を公表 疑惑職員が証言者を「脅迫」(BBC)
英政府、オックスファムの児童買春スキャンダルで関係見直しも(AFP)

この不祥事は世界中にショックを与えましたし、これで寄付が激減したことは容易に想像できます。現在進行形で国際団体として経営危機にあったとしても不思議ではありません。



当然国内団体であるオックスファム・ジャパンでも職員が辞めてしまったり、寄付が集まらないということが起きたと思います。それをまとめて「経営資源上の問題が悪化」と言っているのではないかな・・。

私も不祥事を知って、当面寄付することはないだろうなと考えていましたが、こうもあっさり国内団体が解散してしまうとそれもまたショックなことではあります。ただ、不祥事の深刻さを考えれば仕方ないことかと思いますので、代わりになる団体を探そうと思います。

JENの不祥事

これは余談でもありますが、オックスファムの件があったので他の団体も探していたのですが、日本国内発祥で国際的に活動するJENという団体があります。活動内容としては災害支援や難民支援です。
今まで寄付したことがなかったのですが、国内の団体にも頑張ってもらえれば…と思って見てみたところ、こちらにも不祥事のアナウンスが…。
JEN職員の不適切な事業執行行為について
こちらは2018年4月付でした。

内容としてはヨルダンの難民キャンプで、インフラ整備や教育事業として受け取った助成金を映画館の建設に利用したこと(目的外使用)や、帳簿の管理が不適切、事務所長の親族の会社と取引を行なっていたこと(内規違反)だということです。

オックスファムの不祥事と比べれば、内容的にもマシだし、内部調査や公表もしっかりしているのでその点は少し安心したのですが、こう立て続けに不祥事がらみの声明を読んでるいると落胆してしまいますね…。

しっかり立ち直ってほしいと思いますし、また支援したくなるよう活動で良い成果を出してもらえたらなと思います。

慈善活動をしている人たちが聖人君子であるとか、絶対に品行方正だと思ったことはないし、不祥事があること自体は仕方ないと思います。どんな企業や団体でも従業員による不祥事などはありますから。 それを繰り返さないようなガバナンスの見直しや支援者への適切な伝達を欠かさないようにしてほしいですね。ということで、また寄付先を探していこうと思います!



オックスファムの件ですが、そのうちウェブサイトも消えてしまうと思いますので、解散の声明をここにコピーしておきます。

特定非営利活動法人オックスファム・ジャパン解散のお知らせ

2018/10/01

 特定非営利活動法人オックスファム・ジャパンは、2003年の設立以来15年にわたり、皆様のご厚情とご協力をいただき本日まで活動して参りましたが、2018年9月28日に解散総会を開催、そこでの承認により、9月30日をもって日本における15年の活動に終止符を打ちました。皆様の暖かいご支援のなかでの苦渋の選択となりましたが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

 オックスファム・ジャパンは、2003年にNPO法人として設立し、みなさまのご支援を受けて「貧困のない社会」を目指して、本日まで活動をして参りました。2012年にはオックスファム国際NGO連合(Confederation)の一員(アフィリエイト)になりました。以来、多くの寄付者の皆様、企業、財団、政府のご支援やオックスファム国際NGO連合の協力のもと、様々な活動を行ってまいりました。格差・不平等、ジェンダー・ジャスティスなどのテーマで日本政府や国際機関に対する政策提言やアドボカシー活動、人道支援活動、国際協力プログラム、ショップ活動など、幅広い事業を実施しました。

 2011年3月11日に東北地方を襲った東日本大震災では多くのご支援をいただき、女性支援を中心とした復興支援活動を行ってきました。また2015年からは富士・箱根で行ってきたトレイルウォーカーの活動を福島県に移し、復興支援活動の次の段階として現地との新たな関係を築いて参りました。また社会正義にコミットする若者のネットワークも構築してまいりました。

 しかしながら、ここ数年、経営資源上の問題が悪化したことから、何度か立て直しをはかってまいりましたが、オックスファム国際NGO連合(Confederation)の一員として自立していくことが困難と判断するに至り、今年の3月に理事会として解散の方向性を決定いたしました。

 これまでオックスファム・ジャパンとともに貧困と格差のない社会を目指して共に活動をしてきてくださった支援者の皆様、職員、連携・協力をお願いしてきた団体や個人のみなさまに、心より感謝を申し上げたいと思います。

 解散にあたり、オックスファム・インターナショナルとともにロードマップを作成して参りました。これまで国内外で取組んできた事業については、志を同じくする他団体に引き継いでいただきたいと思っております。

 マンスリーサポーターの皆様からの暖かいご支援は5月末をもって終わりにさせていただきました。またこれまでの皆様からのご寄付は、2016年の熊本地震後、現地でスタートした母子支援活動へのご寄付と、オックスファムが世界で行う人道支援活動に使わせていただきたいと存じます。

 最後に、これまで、オックスファム・ジャパンとともに、貧困、経済搾取、ジェンダー不平等のない公正な社会を目指して、ご協力、ご支援をいただきました支援者の皆様、資金提供者の皆様、連携・協力をしてくださった皆様、そしてNGOの皆様に心より感謝を申し上げます。今後は、世界90カ国以上で活動をするオックスファム国際NGO連合のメンバー団体へのご支援のほうもお願いしたいと思います。オックスファム・ジャパンは解散になりますが、貧困を克服する人々の力を信じ続け、いつかまたオックスファムが日本に戻ってくることを期待しております。

 これまで本当にありがとうございました。

特定非営利活動法人オックスファム・ジャパン