・ 豪華キャストでハードボイルドへのオマージュ溢れるB級エンタテインメント。
「ミッド・ナイト・ラン」で高名な脚本家ジョージ・ギャロの監督作品。ロスの私立探偵が故郷テキサス・ガルベストンへ戻り、失踪者捜索にあたるうち事件に巻き込まれる物語。リチャード・サルヴァトーレの原作・共同脚本による映画化で、ジョン・トラヴォルタとモーガン・フリーマンの初共演が最大の話題。
元アメフト選手でロスの私立探偵カーソン・フィリップスが、ガルベストン近郊の療養所にいる叔母に会えないという失踪者捜索依頼を受け、20年ぶりに故郷へ戻ってくる。
「マルタの鷹」(41)のようなプロローグは明らかにハードボイルドへのオマージュだ。お世辞と同調を誘う女に弱く、酒とタバコとギャンブルが好きな愛猫家で、飼い猫の名は<レイモンド>とくればチャンドラーのフィリップ・マーロウを想わせる。
スリムになったJ・トラヴォルタが渋い探偵という役柄でイメージ・チェンジに挑んでいるが、残念ながらハンフリー・ボガートの渋さやロバート・ミッチェルには及ばなかった。
M・フリーマンは街の顔役ドク・モーガンに扮し静の演技で相変わらず存在感たっぷりだが、出番が少なく期待外れ。私的スキャンダルの影響と82歳という年齢がそうさせたのだろうか?
療養所の医師マイルズに扮したのは「ハムナプトラ」シリーズのブレンダン・フレイザー。哀れな役柄とともにその変貌ぶりにガッカリしたファンも多く、イメージダウンとなってしまった。
カーソンの元恋人ジェインを演じたのは美魔女ファムケ・ヤンセン。そのスタイルは昔のままだが、年相応の自然な表情が欲しかった・・・。
ほかにもドクの手下ウォルシュ保安官にロバート・パトリック、クラブ経営者オルセンにピーター・ストメアなど多士済々だが見せ場は少なく顔見せ程度。
若手ではドクの娘でクラブ歌手ローズに扮したカット・グレアム、ジェインの娘ベッキーにエラ・ブルー・トラボルタが演じている。
アメフトの八百長、石油採掘事業の経営、療養所の不正・麻薬など多彩なテーマを100分以内に盛り込んだシナリオには無理があり、サスペンス感が薄味となってしまったのが残念!
70年代のハードボイルドへの郷愁は溢れ「さよならを言うことは、少しの間死ぬことだ。」という台詞が懐かしい。
御年65歳のトラボルタが、愛する娘と続編で共演することを匂わせるエンディングだったが、かなりハードルは高そうだ。
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