血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura:TTP)

血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpuraTTP

ADAMTS13活性の低下による血小板凝集から全身血栓症を来す。

フォンウィルブランド因子(von Willebrand factorVWF
ADAMTS13による切断・小分子化
止血

ADAMTS13活性が低下するとVWF多量体が蓄積して血栓を生じる。

[疫学]
TTPの罹患年令は新生児から老人までと幅広く、日本国内では3050歳と60歳前後に発症ピークが認められる。罹患率は女性にやや多いが、3050歳では女性が明らかに多く、高齢になれば男性の比率が高まる。

[症状]
体のだるさ、吐き気、筋肉痛などが先行し、発熱、貧血、出血(手足に紫斑)、精神神経症状、腎障害が起こる。発熱は38℃前後で、ときに40℃を超えることもあり、中等度ないし高度の貧血を認め、軽度の黄疸(皮膚等が黄色くなる。)を伴うこともある。精神神経症状として、頭痛、意識障害、錯乱、麻痺、失語、知覚障害、視力障害、痙攣などが認められる。血尿、蛋白尿を認め、まれに腎不全になる場合もある。

[診断]
ADAMTS13活性の著減(10%未満)

疑うべき検査所見として
貧血、血小板減少、腎機能障害、破砕赤血球

[治療]
FFPのみの投与では不十分で、治療は血漿交換(PE)療法が第一選択となる。この際、ステロイド又はステロイドパルス療法の併用が一般的である。
TTPの血小板減少に対して、血小板輸血を積極的に行うことは「火に油をそそぐ(fuel on the fire)」に例えられ、基本的には予防的血小板輸血は禁忌となる。また、難治・反復例に対してはビンクリスチン、エンドキサンなどの免疫抑制剤の使用や脾摘なども考慮される。最近では、抗CD20キメラ抗体であるリツキサンがPEに治療抵抗性を示し、かつ高力価ADAMTS13インヒビターを認める症例に極めて有用との報告が数多くなされている。



Q, 1 ヶ月前にTIAでチエノピリジン系抗血小板薬を投与された。発熱があり、ボーっとするなどのため受診した。
体温 37.8度。四肢に紫斑。Hb 7.6PLT 1万、LDH 950TBil 4.2BUN 62Cr 1.82。 尿潜血(-)、蛋白(-)。破砕赤血球あり。行ってはいけないものを選べ。

a. 新鮮凍結血漿
b. 抗血小板薬中止
c. ステロイド
d. 血小板輸血
e. 免疫抑制剤

(神経内科専門医試験2010)

TTPを想定した問題ですね。
発熱、紫斑から自己免疫疾患かつ全身性の血栓症を疑います。
貧血、血小板減少、腎機能障害、破砕赤血球からTTPの診断は容易と思います。
TTPに対しては血小板輸血は禁忌。そのほかの治療は一般的に行われます。
したがて正解はdです。

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