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次にビジターセンターから車で10分くらいのところにある西山山麓火口散策路へ行ってみました。
2000年の噴火の際に出来た有珠山北西山麓火口群跡に作られた散策路です。

まず目に入るのが元消防署の庁舎とその山側に出来た西新山沼です。一時停止の「止まれ」の標識があるようにこの沼の下には国道が走っていました。乗り捨てられた車が無残な姿を晒しています。
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さらに進んでいきますと、道路上の断層群が見えてきます。正断層の落ち込みで生じた地溝(グラーベンともいいます)で、大地の著しい隆起のために地表が引っ張られて割れ、部分的に陥没して出来たものです。
噴火の前は、私たちが歩き始めた洞爺湖側から噴火湾に面するJR洞爺駅へ向かって下っていました。それがほぼ中間部で75mも隆起したといいますから、マグマの威力というか凄さを感じてしまいます。
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本来は下っていたのですが、現在は結構な勾配の枕木の木道を登って第1展望台、第2展望台と進んでいきます。ここまで来ますと、羊蹄山、洞爺湖そして目を転じますと噴火湾を望むことが出来ます。
あいにくの異常高温のため山並みが霞んで、羊蹄山はかすかにしか見えません。
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第2展望台がピークで、ここから噴火湾の方へ下っていきますと、被災した菓子工場が見えてきます。地表の不規則な隆起によって、かろうじて建物の面影をとどめているような感じです。19年という歳月もあるのでしょうが、今まさに大地というか自然の中に呑み込まれていきそうです。
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すぐ近くに19年前は新築だったと思われる民家があります。ちょうど家屋の直下で断層が出来、真っ二つに壊れてしまっています。道路に面したところには立派な門と車庫があり、壊れた車も放置されています。眼下に噴火湾が望めますし、一帯は良質の豆の産地だったようですから、とても綺麗な景色が広がっていたことが想像されます。
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さらに歩みを進めますと、火口から600mのところにあった「とうやこ幼稚園」があります。
大きな噴石が飛んできて、壁や屋根が破壊されていることが分かります。真ん中にある瓢箪池の水位が傾いていますし、手前の滑り台も隆起によって勾配がとても急になっています。

地震、津波、台風、水害そして火山と毎年のように自然災害が猛威を振るっていますが、こうして遺構の数々を目の当たりにしますと、改めて自然災害の怖さを感じてしまいます。命を守る上で教訓にしないといけないなと思っています。
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