バリ島ではスタッフの解雇は難しい。その１：コロナで自宅待機にしたら。。

コロナ禍の中、バリ島を駆けずり回っている大将から

「スタッフからまた法外な金銭を要求されましたよ。

　どうしたものですかね。。」

と話があった。

「誰ですか？僕が知っている人ですか？」

「シェフのＷですよ。〇〇ヴィラの。。」

「えっ、彼？そんな風に見えないですけどね」

彼というのは、ある高級ヴィラの専属シェフだ。

５０００万を誤差と言う超富裕層

そのヴィラはシェフが常駐していて、宿泊客の要望に対応する料理がウリの１つだ。

「野菜中心でヘルシーな感じで。。」

「フランス料理のメインは魚で、、サッパリした感じで。。」

などのリクエストができる。

腕はなかなかのものだ。

有名レストランや大型客船で働いていた、というのも頷ける。

　
　
　

バリでは、優秀なシェフは高額な給料を取っている。

月給１５万円～２０万円はザラだ。

物価の安いインドネシアでその給料は、日本の感覚としたら年収１０００万円くらいか。

さて、シェフＷだが、ヴィラのオーナーさんから「解雇してほしい」と言われた。

優秀なシェフを探すのは難しい。

だからこれまでは、コロナで宿泊客がいなくても雇い続けていた。

しかし先が見えない状態で、このまま彼を雇い続けるのは負担が大きい。

少しでも経費を減らしたい思うのは当然だろう。

しかしバリ島では、解雇は簡単にできない。

そこで自宅待機してもらうよう伝えた。

「コロナで宿泊客がいないから、シェフとしてやってもらうことがない。

　しばらく自宅待機してほしい」

「自宅待機になったら、他で働くしかない。しかし今、働く場所がない。

　またヴィラで働けるのがいつになるかわからないので、給料は半額でもいい、

　ハウスキーパー（掃除）の仕事もするから働かせてほしい」

と懇願された。

給料が半額でも、普通のハウスキーパーの約２倍だから負担は小さくない。

一方、料理の仕事は減ったが、ゼロではない。

管理しているヴィラは多いから、どこかのヴィラでリクエストはある。

それだけでは到底モトは取れないが、掃除もやるというし、なんとかなるだろう。

また、掃除の仕事は増えている。

今コロナで外国人観光客がいないから、ローカル客が対象だ。

ローカルは、ほとんどが１泊利用。

価格をかなり下げたことで、１泊のローカル客が入れ代わり立ち代わり。。

その上、散らかし方はハンパない。

儲からないが背に腹は代えられずで、、ハードな状況になっているのである。

※実際の写真ではありません。ゴミ屋敷です。

給料が半額でも、普通のハウスキーパーの約２倍。

負担は小さくない。

しかし、通常であればシェフを雇うのは難しいし、確かにもったいない。

「なんでもやります！！」と懇願する人間を断るのも忍びない。

男気あるバリの大将、

「よ～し、わかった。しっかりやれ！！」

結局、雇っておくことにした。

しかし、この温情が仇になる。。

つづく。