さて、前回は生まれつきアレルギー素因をもつ子供が成長するに従って、様々なアレルギー症状を順繰りに引き起こすアレルギーマーチという現象について東洋医学的に解説してみました。

 

そしてそれは、胎児の段階で母親から受けた胎毒(たいどく)という邪気(毒素)が大本にあり、出生後にうまく邪気を排出できず、徐々に邪気が臓腑に侵攻していくことが様々な症状を遍歴する原因になるということでした。

 

また、アレルギーは胎毒のような先天的な素因だけではなく、後天的な生活習慣も大きく関与するため、誰でも発症する可能性のある疾患だということもあわせて解説しました。

 

そのようなアレルギー疾患ですが、アレルギーに限らずどんな病気でも、大切なのは健康をつくっていくために何をするかということですね。

 

アレルギー疾患をはじめ、全般的に病というものは、治療と養生の両輪がそろうことによってはじめて無理なく改善していくものです。

 

ゆえに、養生の面から言えば、まずは自分が日頃どういう不摂生をしているのか認識できるようになることが大切なようです。

 

例えば、胃の腑というのは気血を生み出す大元です。

 

ところが、飲食の不摂生を積み重ねることによって胃の腑に過剰な負荷をかけることは、東洋医学的にはただ単にお腹をこわすというだけではなく、邪気(毒素)を生成したり、邪気を排出する働きを阻害したりする要因になってしまうのです。

 

一般的に食養生では、肉類や揚げ物、天ぷら等の油っこいもの、スナック類、アルコール、インスタント食品等の過剰摂取はよくないといわれていますが、東洋医学的にはそれらの多くは熱性に偏っている食材であると認識されます。

 

元々、胃の腑は熱エネルギーが盛んな臓腑です。そのため、熱性に偏る飲食物を過剰に摂取すると、余分な熱を生成し易いのです。

 

そのような胃の腑由来の余分な熱が、うまく排出されればいいのですが、そうでなければ余分な熱は熱邪という邪気に変質します。

 

その熱邪が胃の腑にこもれば、食欲が異常に亢進したり、便秘になったりします。胃熱がひどければ、腸に波及した熱邪が、虫垂炎等の炎症をおこす原因にもなります。

 

また、熱邪が心臓の働きを過剰に亢進させ不眠や動悸を起こす場合もありますし、正常なルートで排出しきれない熱邪が、皮膚から炎症という形で溢れ出し、アトピー等の皮膚病として認識される場合もあります。

 

つまり、上記のような熱性に偏る飲食物は、エネルギーを得やすい反面、邪気の元にもなりやすい性質を持っているのですね。

                    つづく

 


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