猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

詩人屋さんの日常-3(上)

魔法の見える人らが

ショコラオレンジ色の夕闇に

干渉することもされることもないと

詩人屋さんはよぉく知っていたのです

 

それでも

あたり一面ショコラオレンジ色の中

まるでこの世にひとりだけ

そんな心持ちが深くなれば

なんだか具合が悪くなる時間だってあるでしょう

 

そこで

岬の毛糸屋さんや

心を診るお医者さん

森の奥に住む三つ目の生き物らと

 

魔法の見える人らを見かけたら

フリュの店長を頼るように伝えよう

 

そう示し合わせていたのでした

 

猫が人のように街なかを歩いていようが

少しぐらい姿形が(人らの感覚で)不思議だろうが

屈託なく接してくれたのですから

 

魔法の見える人らの全てに

出会うことはできなくても

何人かには伝えることができるでしょう

 

夕闇はいつか晴れます

心配いらない

ご縁があればまた会える

 

詩人屋さんは

うううう〜ん!と

気持ちよく伸びをして

 

さて

家に帰ってスープでも煮込みましょう

 

そんなことを思いつつ

カフェを後にしたのでした

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