自分の仕事能力とタイ就職先業務のレベル設定
こんにちは。久しく更新していませんでしたが、書いてみます。
タイにおいての給与・待遇と、それに費やす労働負荷などについて、です。
(以下、あくまで管理人の経験に基づくものですが、結構正しいんじゃないかと思います。)
さて、管理人がタイで働き始めた時は、以前にも書きましたが、ハローワークで職を見つけました。
ある大き目のタイ資本自動車部品会社(社員約1000名)での日本人営業コーディネーターという職種でした。名古屋で面接を受け、応募者は20名以上だったらしいのですが、私と、もう一名が採用されました。
待遇は非常に良く、具体的には書けませんが所謂 駐在員待遇で、日本ではかなり良い給料をもらっていたのですがそれに劣らないくらいでした。
入社すると、日本人は技術者が10名、日本人の営業が8名という体制でした。
その企業では日本の会社とTA(Technical Assistance)契約を結び技術供与を受けていましたが、技術者はそのTA契約先を定年退職したOBをスカウト、営業系社員は取引先(OEMメーカー)からの天下り、というパターンが多かったです。
どちらも、自ずと日本人社員はシニア、比較的高齢な方が多いことになります。
管理人はそのどちらでもない、将来を担う若手(←既に40歳代)、という位置付けでの採用で、仕事内容はタイ人の営業マンとペアで活動する、自動車OEMメーカーへの営業担当でした。
詳細は割愛しますが、給与や待遇(コンド、自動車 等)は非常に良かったのですが、仕事は非常に大変でした。
自動車会社相手の営業というのは、数年に一度のモデルチェンジの際の新規・継続受注を狙う以外の仕事は何をやっているかというと、毎日が「顧客の購買部門からのコストダウン要請との闘い」です。
闘いというと言葉が適切でないかもしれませんが。
私の担当した某大手OEMメーカーでは、購買部門以外にコストダウン専任部隊があり、多くの部品毎に顧客の担当者が居て、そのコストダウンが彼らの業績評価に直結しますので、彼らも必死でした。
OEMメーカーとの取引では、毎年1~3%程度の値下げが必ず必要になります(量産効果が出るため)。
それ以外に、素材の変更、設備の改善、工法の改善、人員の削減、設計変更、、、等々あの手この手で値下げを要請してくる顧客の相手は本当に大変です。如何に値下げを実現するか、、、素材の工夫、歩留まりの改善、機械更新によるスピードアップ、梱包や物流の改善 等。営業と技術、生産現場が一体となって知恵を絞り、顧客と交渉することが必要です。
このコストダウン交渉以外に、新型車用部品の試作の段取り、品質や納期のトラブル対応や顧客への報告・調整、時には不良在庫処理などなどなど、、、かなり難易度が高い課題対応も、営業(特に日本人)の仕事です。
数少ない日本人がこれらをリードすることが必要なので、新入りであっても即戦力扱いです。
大変、と書きましたが、非常にやりがいのある、充実した、有意義な仕事と思って取り組んでいました。
自分が担当した部品を装着した車が街を走っているのを見るのは嬉しかったです。未経験の業界でしたがチャレンジして良かった、と感じていました。
しかし、、、管理人は後に転職しました。
直接的な原因は上司との軋轢です。その上司は顧客OEMメーカーからの天下りで、元は購買GMという、かなり有能な方でしたが、何故かは未だに不明なのですが、今で言うパワハラ上司になってしまいました。
その結果、まず私と一緒に採用された30代半ばの男性が出社拒否状態になりました。コンドの部屋に立て籠もって出てこないのです。
結局その人はすぐに退職して日本に帰りました。
その後、補充としてもう一名の30代前半の方が日本で採用されましたが、その人も3か月の試用期間が終わる頃に退職しました。
二人とも、最後は鬱病のような状態になっていました。
パワハラの原因は今ではアレが原因だったのかも、、、と思い当たる点もありますが、未だにはっきりとは分かっていません。
さて、ここで言いたいことは何かというと、タイで駐在同等の給与・待遇を狙うと仕事がキツい、キツ過ぎる面がある、ということです。
本当の駐在員であれば、社命とはいえ日本から「来てもらっている」という立場なので周囲からは丁重に扱われます。また長くて4年程度で帰任しますので、キツくても期間限定だから耐えられる、という面があると管理人は思います。
これに対し、現地採用の場合はガチンコです。高い給与・待遇を得たからにはそれに見合うアウトプットをすぐに求められますし、それを継続することが必要になります。それが実際できるか?ということです。
実際取り組んだ結果、また周囲を見ていても、実感としては相当難しかった、と言えます。
さて、その後転職した管理人は、現在は日本でやっていたのと同じ業種で、同じ仕事をやっています。
日本で永らくやっていた仕事なので、ある意味楽勝です。
多少例外やトラブルがあっても、日本で何度も経験済ですので余裕をもって対応できます。時に「タイならでは」という問題もありますが、それなりにタイ経験を積んでいるので十分対応可能です。つまり、自分にとっての仕事の難易度、レベルを下げた訳です。
その結果、業務はほぼ定時で終わりますし、オフタイムに仕事のことを考えることもほぼありません。給与はかなり下がりましたが、それでも現在の仕事に対する報酬としては満足しています(別に現在の境遇を自慢したい訳ではありません)。
つまり、日本での仕事能力の蓄積と、タイで働く際の仕事の難易度はある程度余裕を持ってセッティングすると良いというのが管理人の体験結果から言える、ということです。
能力ぎりぎり、あるいはつま先立ちで届くような仕事を狙ってしまうと、あまり幸せな結果にはならないのではないでしょうか。
また、前述の退職した2人の方に共通していたのが、独身男性、という点でした。
管理人は結婚していましたので、厳しい状況であっても家族に相談してアドバイスをもらったり、激励されたりして頑張れた面が大きいと思っています。
つまり、タイでやっていくには「パートナーが居ること」がかなり重要だと思います。
それでは、本日は以上にて。
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