どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設19年目を疾走中。

ポエム263 『雪ぐ』

2020-03-29 21:46:41 | ポエム

 

     ほんのり明るい雪景色

    (ウェブ無料画像)より

 

たぶん日本は救われる

爆発寸前の感染者増加に慄く首都圏に

春を告げる雪がほとほとと降ったから

 

穢れをそそぐ 汚れを雪ぐ

世界を覆う暗雲をそそぐ

胸を塞がれる不安が雪がれる

 

そそぐ 注ぐ 濯ぐ 雪ぐ

雪ぐなどという言葉を使うのはいつ以来だろう

天啓のようにほとほとと雪が降ったのだ

 

たしかに予報は聞いていたよ

雪が降るかもという予報と

ウイルス感染者の急激な増加予想とを

 

両方とも当たったな

当たったけれど心の内では喜びが勝っている

不吉な新型コロナのイガイガを雪が覆ったのだ

 

それにしても尊大な発言が厄災を招いたな

強欲がもたらす偏見と分断がひずみを呼び

究極の手段を招き寄せた惧れもある

 

事実がどうかは不明だし問うてもお蔵入りだ

問題なのは頭の中に邪悪な思いを育てたことだ

天が見かねて目を覆う場面を想像できなかったのか

 

雪ぐという言葉を持つ国の指導者は

今のところ天に恭順の姿勢を示している

この世には敵わないものがあることを肝に銘じつつ

 

この間にも世界は阿鼻叫喚の様相だ

どの国の指導者も心のエゴを雪ぎ

人類をあまねく感染させた厄災を屠るときだ

 

冬を脱し春を迎える豊かな雪は

世界が地獄絵図に染まるとき

まっさきに厄災を雪ぐかもしれない

 

誤るな 国難というのは受動的すぎる

人類の見境のない欲が引き寄せた災難だから

心ある人が多くを占めればやがて厄災は消えていく

 

若者よ ここは共に息をひそめてもらえないか

少しの時間を慄く人たちに貸してはもらえないか

不本意だろうがお願いしたいのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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