お隣さんから境界立会のお願いをされたときはどうすれば良いでしょうか?
「面倒だから断っちゃっても良い?」
「断ったらまずいことになる?」
土地家屋調査士でもある小林が実際の売買・境界確認事例を元にご説明します。
売買契約と境界確認
ビルの売買契約完了。
さて、これからが問題です。
契約書には「決済までに隣地所有者との境界確認書を取り交わすこと」との条件が入っていま
す。
境界確認書というのは、現地の境界標を測量して、その場所が境界点であることを隣接所有者
同士で確認しあう書類のことです。
隣地所有者がどんな人なのか、その方のご都合などによって、決済までに境界確認書を取り交
わせるかどうかは変わってきます。
土地家屋調査士がその業務を行います。
今回は、丸投げにしたくなかったこともあり、調査士会役員活動で親しくさせてもらっている土地家屋調査士さんに業務をお願いしました。
土地の売買と境界確認を切り離すことはできません。
売却するときは、事前に境界確認をしておくことをお勧めします。
境界標の確認
境界確認を行う際、まず行うのは、地積測量図の通りに境界杭が入っているか、の確認地積測量図とは、法務局に備え付けられている土地の図面のこと。
あまり古い図面でなければ境界杭の種類と辺長が記載されています。
地積測量図通りに境界標が入っているか、を確認するのです。
境界標が傾いていたりなど、当初の設置位置から動いてなさそうであれば、まずは一安心。
境界標が埋まってなければ、宅建業者がやることもあります。
測量・作図
ここから先は、高価な測量機械が必要になるので、土地家屋調査士に依頼します。土地家屋調査士は境界標を測量して、境界標間の長さが地積測量図通りであるか、を確認します。
今回は、測量作業のお手伝いもさせてもらい、2時間ほどで完了。
その測量データを専用CADソフトに読み込ませて図面化します。
翌日、調査士さんから「図面化したところ、境界標が法務局の地積測量図の通りに入っている
ことを確認しました」と電話を頂きました。
それならば、改めて境界確認書を取らなくても分筆などはできます。
このような場合、境界確認書を取らないで売買を済ます場合も多いです。
ただ、買主さんは以前境界問題にまきこまれたことがあるらしく、境界確認書取得の条件は外
れません。
隣地所有者に境界確認印を頂きにいくことになります。
境界立会
土地家屋調査士は測量結果に基づき、境界確認図面を作成します。その図面に隣地所有者の方の署名・捺印を頂いたものが境界確認書になります。
実は、土地家屋調査士の業務で主なウェイトを占めるのは境界確認書にハンコをもらうことだったりします。
測量作業があっさり終わってしまうからと言って「費用が高すぎる!」とか言わないで、、、
境界確認って拒否するべき?
お隣さんは2名。実際にお隣に住んでいる方は1名だけです。
売主さんは、その方と仲良くしているとのことなので、問題無さそう。
もしも、以前お隣さんからの境界確認の依頼を断っていたりすると、境界確認をこちらからお願いしても断られたりします。
境界確認の話があったら、もう、無条件に立ち会うべきなのです。
境界確認を断ると、自分が境界確認してもらいたいときに、してもらえなくなる可能性が大きくなります。
こういうことは案外根深いものなので、お隣さんの家庭で「お隣さんは立ち会ってくれなかった」ということが代々引き継がれてしまっていたりするのです。
逆に、境界確認をしておくと、タダでその方との境界確認書を手に入れることができます。
たまに、
「相手の土地家屋調査士の指定した境界点なんて、相手の有利なところに境界点を設置されているかも知れないから信用できない」、
なんて仰る方もいらっしゃいますが、それも間違いです。
土地家屋調査士としては、様々な資料の分析と測量の結果を元に、境界確認書を作成します。
それを元に地積測量図を作成し、登記申請をすることになります。
その地積測量図は法務局に備え付けられ、誰でも見られる状態になります。
きちんとした資料・手続きに則って図面を作成しておかないと、いつ、だれに、何を言われるか分かりません。
たとえ依頼人からの要請であっても、インチキするようなことはできないのです。
一つの案件のために、自分の飯のタネである資格を危険にさらすようなことはあり得ません。
境界確認を要求してきているのが土地家屋調査士であれば、信頼してあげてください、、
境界確認を拒否することで悪いことはあっても、良いことは何もありません。
例え、以前境界立会を断られていたとしても、依頼されたら応じた方がトクなのです。
「境界確認を断るなんて、もったいない!」
お隣さんはどこ?
問題は残り1名。その方の登記簿上の住所はご近所。外国籍のお名前です。
「登記簿記載の住所には誰も住んでいませんでした」
と調査士さんから連絡。
とりあえず、住所宛に手紙を送ってもらいます。
引っ越していても、郵便局で転送してもらえるかも知れません。
一週間たっても、何の反応もありません。
改めて登記簿を見ていると、お隣さんがその土地を購入する時に融資している銀行と支店名が目に入りました。
そういえば、その銀行の支店の支店長には以前お世話になったことがあります。
「もしかして、転居先とかご存知だったりしないかな、、」
とダメ元で元支店長に電話。
「ああ、よく知ってるよ。すごい仲良し。先週も会ったし。今、海外に行っちゃって3ヶ月くらい帰ってこないから、国内の息子さんに立ち会ってもらうよ。」
半端ない頼り甲斐。
もちろん、快く立会していただけました。
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引用元:境界立会って、拒否した方が良い?