不動産購入による相続対策って、怪しい? | 株式会社鎌倉鑑定ブログ

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不動産購入による相続対策って、怪しい?

 

「不動産を買うと、相続税が減りますよ。」
穿った見方をすると、これを言っているのは不動産屋、銀行、税理士、相続コンサル

タントなど、不動産売買が発生すると儲かる人たちばかり。

 

「自分の利益になるために不動産を買わせる気じゃないの?騙されないぞ。」
そう思うのは無理もありません。

 

でも、
「もしかしたら、本当かも。本当だとしたら、まるっきり無視してしまうのも勿体ないよ

なあ、、」

 

という気持ちもどこかにあるのでは無いでしょうか?

 

 

この結論は
「不動産を買うと、相続税が減るのはホント!でも、買わない方が良いのに買ってし

まっている場合も結構あります」

①なぜ「不動産を買うと、相続税が減るの?」②「買わないほうが良いのに買ってしまっている場合」って?の二つに分けて、順番にご説明します。

なぜ「不動産を買うと、相続税が減るの?」

結論から言うと、

 

「不動産を買うと、相続税評価が下がるから!」

 

「当たり前じゃないか、ふざけてんのか!」と言われそうなので、もうちょっと丁寧に

ご説明します。

 

こんな順番で不動産の相続税評価は下がっていきます。

 

相続税評価圧縮の3つの段階

 

大きく分けると、3つの過程を経て、不動産の相続税評価額は圧縮されていきます。

 

⑴市場価格と相続税評価額との乖離

⑵貸家と貸家建付地による評価減

⑶小規模宅地の特例による評価減

 

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⑴市場価格と相続税評価額との乖離

現金1億円の相続税評価額は1億円です。

 

時価1億円の有価証券の相続税評価もほぼ1億円です。

 

借金1億円の相続税評価はマイナス1億円です。

 

ところが、時価1億円の不動産の相続税評価は1億円にはなりません。

 

不動産は二つと全く同じものは存在しないので、他の資産とは異なり、「評価」とい

う過程を経なければ相続税評価額を算出できません。

 

では、相続法上では、不動産はどのように評価されているのでしょう?

 

土地の評価基準について
土地の評価方法は、路線価方式による評価方法と、倍率方式による評価方法との

2種類あります。

 

路線価方式とは、道路毎に設定されている路線価を元に土地を評価する方式のこと。

 

例えば、路線価10万円の道路に接している100㎡の土地の相続税評価は

10万円×100㎡=1,000万円

ということになります。

 

でも、田舎の土地などは道路に路線価が設定されていなかったりします。

その場合、倍率方式による評価になります。

 

一体何の倍率かというと、それは固定資産税評価額。

 

例えば、評価倍率が90倍に設定されているエリアの中にある、固定資産税評価10

万円の土地の場合、相続税評価は

10万円×90倍=900万円
ということになります。

 

評価水準について
但し、この相続税評価額が時価よりも高かったりすると、不動産を購入すると逆に相

続税評価が増えてしまうことになります。

 

「不動産を購入することで相続税評価の圧縮効果があるのか?」、は
「相続税法上の評価を行った時に、時価と比べてどのくらいの水準になるのか?」

にかかってくるのです。

 

結論からいうと、80%くらいになるように調整されています。

 

土地取引の基準として、公示価格という指標が毎年公開されており、路線価・評価

倍率はその80%くらいになるように設定されているのです。

 

時価の20%引きというのは、国が公式に認めている相続税評価の割引ということに

なります。土地については、市場価格と相続税評価の間に20%の乖離があるのです。

建物の評価基準について
建物の評価基準は、全て倍率方式になります。
上記土地の倍率方式と同じく、固定資産税評価額の何倍、という計算方法です。

 

但し、土地の評価倍率はエリアによって定められているのに対して、建物の場合は、

全て1倍になっています。

 

つまり、建物の場合、「固定資産税評価額=相続税評価額」ということになります。

建物の評価水準について
では、建物の相続税評価額(=固定資産税評価額)は、時価と比べてどのくらいの

水準になるのでしょうか?

 

固定資産税評価額は建物の構造、規模、仕様、など、細かい要素によって変わって

くるので、正確な金額を予想することはほぼ不可能です。

 

ただ、経験則からいうと、固定資産税評価額(=相続税評価額)は建築費の2分の1

〜3分の1くらいになる感じです。

 

法務局の資料を使って概算を計算する方法もありますが、それは別の機会にご説明

します。

 

市場価格と相続税評価額の乖離についての結論
土地については市場価格の80%程度、建物については市場価格の2分の1から3分

の1くらいになります。

 

これは、自宅など、自分で使う不動産でも、アパートなど、他人に賃貸する不動産で

も、だいたい全部の不動産にあてはまります。

 

⑵貸家と貸家建付地による評価減

この評価減はアパートなど、他人に賃貸している不動産についてのみ、あてはまります。
自宅など、自分で使っている不動産ではこの評価減を使うことはできません。

 

貸家による評価減は建物の話、貸家建付地による評価減は土地の話なので、分けて

ご説明します。

 

貸家による建物の評価減について
建物を賃貸すると、その賃借人に借家権という権利が生じます。

 

この権利、なかなか強力で、一度賃貸してしまうと、オーナー側の都合で賃借人に退

去してもらうことは難しくなります。

 

相続税の評価基準にもこれが反映されており、建物を賃貸すると、その建物の相続税

評価は30%減額になります。

 

例えば、相続税評価額3,000万円のアパートを全室賃貸した場合、2,100万円の相続

税評価になるのです。

 

貸家建付地による土地の評価減について
貸地について
貸家建付地のご説明の前に、前提として貸地についてご説明します。(旧法借地権を

前提にしています)

 

貸地とは、その名の通り、他人に貸している土地。

 

人に土地を貸してしまうと、上の建物賃貸の場合以上に、借地人に借地権という強力

な権利が生じます。

 

地主さんの都合で借地契約を解消するのは、ほぼ無理です、、、
二度とその土地を自分で使うことはできない、と思っておいた方がよいくらい強力なも

のです。

 

その分、貸地については相続税評価上も大幅な評価減が認められています。

 

この評価減の割合は、全国一律30%となっている建物の場合とは異なり、その路線毎

に借地権割合として設定されています。(A~Gの7段階。A=90%〜G=30%)

 

首都圏の普通の住宅地ならば60%〜70%くらい、銀座の一等地なんかは90%!

 

例えば、借地権割合70%の場所で路線価計算7,000万円の土地を賃貸している場

合、その土地の相続税評価は4,900万円にまで下がります。

貸家建付地とは
貸家建付地とは、自分の土地の上に自分の建物を建てて、その建物を賃貸している

場合の、その土地のことを言います。

 

自分の土地を自分で使っているので、借地権の負担は生じません。

 

でも、その土地上の建物を賃貸しているので、その建物賃借人がいる分(借地権割

合×借家権割合)、土地の所有者はその土地の利用を制限されていることになります。

その分、相続税評価も減額されるのです。

 

例えば、借地権割合70%、路線価計算1億円の土地の上にアパートを建てて賃貸して

いる場合、こんな感じになります。

 

70%×30%=21%
7,000×21%=1,470万円

 

この分評価が下がるので、この土地の評価は

 

7,000万円ー1,470万円=5,530万円

 

ということになります。

 

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借地権割合は60%と70%の場所が多いことから、一般的に「貸家建付地は2割引」、

と言われているのです。

 

貸家と貸家建付地による評価減の結論
貸家については30%引き、貸家建付地については約20%引きになります。
これは、アパート経営など、自分の土地に自分の建物を建てて、賃貸している場合に

限られる評価減です。

⑶小規模宅地等の特例による評価減

この特例は土地だけに適用できる制度ですが、強力です。
適用できると、その土地の相続税評価は50%又は80%引き!
大雑把にいうと、自宅の敷地は80%引きに、アパートなど賃貸物件の敷地は50%引

きになる可能性があります。

自宅の敷地の場合(特定居住用宅地等に該当する場合)
これに該当すると、330㎡まで、相続税評価は80%引きになります。

 

もしも、路線価10万円、330㎡の土地に本特例を適用すると、

 

路線価による評価   330㎡×10万円=3,300万円
特例による減額金額  330㎡×8万円=2,640万円
土地相続税評価    3,300万円ー2,640万円=660万円

 

まるまるこの制度を適用できるので、全体の土地の評価が80%引きになります。

 

ただし、自宅部分への適用要件は厳しめです。

 

まず、誰がその自宅を相続したか、が問題になります。

 

配偶者が自宅を相続した場合
⇨それだけで80%引きです。
配偶者が亡くなって、更に相続税を支払うために自宅を売却しなきゃならない、
なんて不憫すぎるので、配偶者は篤く保護されているのです。

 

同居の親族が自宅を相続した場合
⇨相続開始前から相続税の申告期限まで、その自宅に居住し、かつ所有してい

れば80%引きです。

 

貸付事業用の宅地等に該当する場合(賃貸物件の敷地)
これに該当すると、200㎡まで、相続税評価は50%引きになります。

 

もしも、上の土地(路線価10万円、330㎡)に本特例を適用すると、

 

路線価による評価   330㎡×10万円=3,300万円
特例による減額金額  200㎡×5万円 =1,000万円
土地相続税評価    3,300万円ー1,000万円=2,300万円

 

となります。

 

同じ路線価、同じ面積の土地でも、自宅用地の場合(=660万円)と、貸付用地の

場合(=2,300万円)とで、評価額は全く異なってしまうのです。

 

その理由は、
・自宅用地の場合は330㎡まで適用できるのに対して、貸付用地の場合は200㎡
までしか適用できないこと。
・自宅用地の場合は80%も減額できるのに対して、貸付用地の場合は50%しか
減額できないこと
によります。

 

以上のように

 

⑴市場価格と相続税評価額との乖離
⑵貸家と貸家建付地による評価減
⑶小規模宅地の特例による評価減

 

といった段階を経て、相続税評価は圧縮されます。

全て、相続税に則った制度であり、何も裏技、ウルトラC的なものはありません。

 

不動産を使った相続税対策にどんなに否定的な税理士さんでも、この理屈を否
定することは無いはずです。

 

不動産を購入することにより相続税が減るのは本当ですし、怪しいものでもない

のです。

 

「買わないほうが良いのに買ってしまっている場合」って?

 

それでも、相続対策のために不動産を「買わないほうが良いのに買ってしまって

いる場合」というのはどのような場合でしょうか?

 

大きく分けて、2つの場合があります。

 

①過度な相続対策を行っている場合
②相続税対策ばかり意識して、不動産投資として失敗している場合

 

①過度な相続対策を行っている場合

 

「確かに不動産を購入することで、相続税を減らすことはできたけど、そこまで大きな

不動産を買うことも無かったんじゃない?」

といったような場合です。

 

①相続税評価額の圧縮の話と、②相続税額の圧縮の話、とを区別して考えない
とこのような事態に陥ります。

 

ここを混同すると、ご購入者の状況に合わない相続対策物件を購入してしまうことに

なるのです。

 

同じ不動産を購入した場合、誰が購入しても①相続税評価額は同じだけ圧縮されます。

上でご説明した、3つの段階を経て減額されるのは、この「相続税評価」の部分です。
でも、②相続税税額の圧縮額は、購入する人によって変わってくるのです。

 

例えば、時価1億円、相続税評価3,000万円のアパートがあったとします。この物件を

購入することにより、相続税評価額は7,000万円圧縮されます。

 

誰が購入しても同じだけ①の相続税評価額は圧縮できます。

 

でも、購入する人によって、②の相続税税額の圧縮額は変わってきます。

 

例えば、資産1億円、配偶者無し、子2名の方がこの物件を購入した場合、相続税税

額はいくら圧縮できるでしょうか?

 

購入前の相続税額は770万円。

相続税評価額を7,000万円圧縮すると、遺産総額は3,000万円。基礎控除以下にな

るので、相続税はゼロになります。

 

なので、圧縮される相続税税額は770万円ということになります。

 

では、資産10億円、配偶者無し、子2名の場合はどうなるでしょうか?

 

購入前の相続税額は39,500万円。

購入後は7,000万円相続税評価額が圧縮され、93,000万円に課税されることになり、

相続税額は36,000万円。

 

圧縮される相続税額は3,500万円ということになります。

 

同じ物件を購入しても、購入する人によって相続税圧縮額は大きく変わってくるのです。

 

なので、相続税対策物件を購入する前に、ご自身の相続税額と、どのくらい相続税評価

を圧縮すれば、どのくらい相続税額を圧縮できるのかの関係を把握しなければなりません。

 

それを計算するためには、こちらのアプリをお使いください。

 

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②相続税対策ばかり意識して、不動産投資として失敗している場合

 

鎌倉鑑定でも、

「相続税対策のお客様に紹介してくれませんか?」
と言われて、業者さんから沢山の物件のご紹介を受けます。

 

でも、今まで、そのように言われた物件の中で、実際に自分のお客様にご紹介できた物件

はゼロ。

 

「相続税対策のために」の裏には、「不動産投資としては成り立ちませんけど」

という言葉が隠されているからです。

 

それでも、そのような物件でも誰かに買われていきます。

 

実のところ、大体どんな収益物件を購入しても、相続税評価は圧縮できます。
買うべきかどうかは、不動産投資としての面から判断しなければならないのです。
これも、また別の機会にご説明いたします。

 

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引用元:不動産購入による相続対策って、怪しい?