どうやってこんな問題作ったんだ?!(2019年東京大学理系数学第6問) | 受験で実力を得点に変えよう(家庭教師の心がけ)

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家庭教師歴約25年。医学部東大など難関大学受験生中心に教えてきました。ちょっとした工夫でケアレスミスを防ぎ実力が点数に反映させる実践的方法や受験生の質問の多かったポイントや過去問などのブログにする予定です。ご連絡あればkatekyo424-public@yahoo.co.jpまで。

さて、最後に本年のおそらく最大の山だったであろう第6問にいきます。




以前こちらの真ん中あたりで書いた複素数平面のアプローチでいうと、方程式型にあたる問題で、


文字消去による存在条件の一番下のところ

グラフの軸の平行移動の考え方


といった軌跡の基本的な考え方と合わせて解いていけます。最初は↓のような構想

 

でとりかかったのですが、(1)の段階で条件1-3と証明すべきことをどれくらい書くか迷い始めます。3条件を完全に同値変形していけば、おそらく自然に(3)までいくはずですが、構想段階でそこまで考えておらず、方向の微修正を繰り返すことを余儀なくされました。




↑の(2)冒頭で示した内容は本当は(1)でやるつもりだったのですが、波線部のところで、「ちゃんとやると(条件2)の方まで踏み込まないといけなくなり、きっちり同値変形でやるのめんどくさいな。。。」と思いはじめます。



色々あって結局、「問題文の設定から4解は保証されていて、ほかの2つの可能性を否定してしまえばOKだろう」と決断し、「ちゃんとした変形は(2)にまわそう」(後づけで)考えました。


この先も構想時点からの流れで、α〜δの可換性でグイグイすすめると、どうも無駄な繰り返しがあるわりに同値変形も面倒になり、後づけで十分性を確認する可能性も十分に考えられ、目も当てられないゴテっとした解答になりかねません。そこで、


波線部のところで場合分けが生ずる」

「(2)から条件1〜3を満たすbはaで表せる」


の2点から「とにかく必要条件で(a,b)の関係式を求めてしまい、そこから十分条件を考えて(3)につなげるのが一番効率良さそうだ」とここで切り替えるべきでした。(両方の場合で、bとaの関係式が同じになるというのは、今となっては当然なような気もしますが、(2)の段階では全く見えてなくて、本当はもう少し先で切り替えました。)




実際の試験中であれば方針をやり直したいと思っても、もはや手遅れになることも多いはずです。脳内では修正すぐにできても、正確な解答を書き直すのは大変なので、おそらくそのままゴテゴテっと「ちゃんと考えていることをアピールして」押しきってしまうこともありがちですが、ここではそこで切り替えたと仮定して必要条件で攻める方針にします。

 




必要条件と開き直って(a,b)の関係式を求めるのはただの計算ですが、2つ同じようで微妙に違うものをやるのは妙に面倒ですね。。。関係式さえわかれば、元の式に戻って、十分性を検証して(3)にいけます。


 

3条件と必要十分を満たすあらゆる(α,β)の組みの和を考えたと主張するのも、実際こう書いてしまうと「可換性がうんたら〜」なんて手抜きする必要もなく全部考えたことが解答に残りやすいと思います。


「-a-1=c」とおいたら両方の場合全く同じ式になり、

文字消去による存在条件の一番下のところ」と同様にaを消去して存在条件を追求して「グラフの軸の平行移動の考え方」を利用して双曲線を書き、複素数平面に戻しました。



↑では、最後いきなり図示しましたが、この辺はこの重い処理の問題なら問題ないと思います。一応その考え方の過程は↓

 

 

のような感じですね。



この問題は解くこと自体の難易度もまあまあ高いですが、それより「どうやってこんな問題思いついたんだ?!」ということでかなり悩みました。作問背景を色々↓のように検証してみたのですが、今の僕の知識だと「双曲線と4次方程式の2種の解の和」が何を背景に繋がったのかが全く見えません。

 

 

 

いい線いってるような全く外れてるようななんとも言えないのが現状です。「絶対何かある」気がするんだよなー。これ何かベタな背景なく、双曲線から4次方程式組み立てた問題だとしたら作った人マジで凄すぎる。。。



個人的にこの第6問は少し古い東大の厄介な問題の匂いは感じましたが、「処理が純粋に面倒」というより「同じ処理が並列し、どれくらい丁寧に書くか悩む」&「同値変形ちゃんとやるのはかなり大変」のダブルパンチというのはあんまりなかった気がします。



本年度の難問は、過去の問題に比べて答えはわりと見えやすいが、そこに行き着く過程が大変だったので、以前より「より高度な数学的処理能力」が問われるのが、実は新基軸だったのではないでしょうか?大学入試全体にいえることですが、もはやこうなると対策うんぬんのレベルを超えています。妙な近道を探すよりも、純粋に数学を学ぶことこそが最大の近道だよという大学側のメッセージなのかもしれません。


 

 

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