シンガポールの国会議員選挙

投票率は96%

路上で見かけた街宣車

2020年7月10日(金)、シンガポールの国会議員選挙が行われた。

シンガポールは一院制で任期は5年。地方自治体も無いので、選挙は日本ほど多くない。

その投票率は毎回9割を超えるのだが、今回はなんと96%。

日本の国政選挙の投票率が50~55%程度であることを考えると信じられない高さである。

それというのもシンガポールでは投票は義務であり、特段の理由無く投票を棄権した場合には選挙人名簿から削除され、以降の選挙で投票する権利が剥奪される仕組みだからだそうだ。(選挙人名簿への再登録には50シンガポールドル(約4千円)が必要)

さらに投票日は公休日になるので、ほぼ全ての国民が投票に行くことが出来る。

日本も同様の仕組みを取り入れれば投票率が上がり、国民の政治への関心も高まるのではないかと思うのだが、選挙が多い日本では難しいのかもしれない。

ちなみにアメリカは日本よりも投票率が低いようで、「投票しない権利・自由」というものを考えると、投票率からもその国のお国柄がいろいろと見えてきそう。

一党独裁が続くシンガポール

シンガポールの選挙区(引用:Straitstimes

シンガポールは「明るい北朝鮮」とも揶揄されるように、1965年のシンガポール独立以来ずっと人民行動党による一党独裁体制が続いており、様々な規律と統制、高額な罰金により国家を維持している。

今回も選挙区選出の93議席中83議席(89%)を人民行動党が占めることとなり、独裁体制が続くことになった。

それは、人民行動党がシンガポール独立以来、強いリーダーシップでシンガポールを世界に冠たる経済国家に発展させてきた実績によるところもあるが、与党に有利な選挙制度による部分も大きいようだ。

シンガポールでは今回31の選挙区があり14選挙区では1議席を争うのだが、残る17選挙区では複数議席(4~5議席)を政党として争い、得票の多い政党が議席を総取りする仕組みになっている。

実際、今回激戦区となったEast Coast GRCは与党54%、野党46%で僅差で与党が勝利し、与党が5議席を総取りしている。

全体でみても今回の人民行動党の得票率は61%であり議席数の割合とは乖離しているので、必ずしも民意を反映している訳ではない。

とはいえ今回の与党の得票率61%は過去最低となり、野党の議席が初めて2桁に達したことで、与党に対する白紙委任の状況を問題視する国民の声が若干なりとも反映されたとも言える。

今回の結果を受けて、与党がどのような国家運営を進めるのか。また10議席を獲得した野党が、与党をどのように監視していくのか注目していきたい。

スピード感のあるシンガポールに対して日本は

これまで与党が独裁的に次々に新しい技術を取り入れた政策を実行し、失敗した政策はすぐに軌道修正してスピード感を持った国家運営を行ってきた。

例えば、電動キックボードの歩道利用は早期に許可されて多くの人が利用していたのだが、歩行者との接触事故が問題になった途端、罰金付きで歩道利用を禁止とする法改正が公布翌日発効で電撃的に実施されたことがある。

私自身、電動キックボードを買った直後のことだったので非常にショックだったのと、その対応のスピード感に驚いたのを覚えている。

このスピード感は小さな島国ならではなのかもしれないが、技術が日進月歩で進化し、世の中のあらゆる物事のスピードが加速する中では非常に重要だと思う。

一方で日本では政策の失敗が許容されないが故に、事前の議論に非常に時間がかかる印象があるし、建設的な対案を出すべき野党が無駄な議論で国会を空転させるなど、スピード感とは無縁の国家運営をしている印象がある。

国民一律10万円給付についても、インターネットでの受付窓口を設けても裏では人海戦術で申請内容の確認をしているという話を聞くと、IT後進国と言わざるをえない。

日本の政治も技術の進歩や世の中のスピードに置いていかれることの無いように、根本的な変革が必要ではないかと思う今日このごろである。

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