2019年10月11日にタカラレーベン不動産投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,014円のところ4,693円で着地しました。
尚、利益超過分配金13円が含まれています。

青森のレジデンスは本当に買いなのですか?
20191018タカラレーベン不動産投資法人NOI推移

 2019年4月には新たなパイプラインの供給元の拡充を目的として、霞ヶ関キャピタル㈱とパイプライン・サポート契約を締結するとともに、同月に不動産信託受益権を運用資産とする匿名組合出資持分を取得し、当該匿名組合の営業者から当該不動産信託受益権の取得について優先交渉権の付与を受けました(当該不動産信託受益権については、2019年9月3日に取得済み)。さらに、同年6月には、タカラレーベンより上場後の取得2物件目となる新築のドーミーイン盛岡を借入金によって取得しました。

 また、保有資産であるTTS南青山ビルを、2019年8月30日及び9月2日に譲渡しました。TTS南青山ビルの譲渡は、2期に亘る売却益の還元を実現しながら、既存ポートフォリオと比較して築年数の浅いTA湘南鵠沼海岸及びドーミーイン盛岡との資産入替を戦略的に実施したものです。この資産入替の結果、2019年8月期末におけるポートフォリオの総賃貸面積は102,550.82㎡、稼働率は97.6%となっています。上記の運用の結果、2019年8月期の実績として営業収益2,916百万円、営業利益1,760百万円、経常利益1,620百万円、当期純利益1,619百万円を計上しました。

 既存のTTS南青山ビルを売却してTA湘南鵠沼海岸とドーミーイン盛岡の取得ですが本当に釣り合うのかは微妙ですね。NOI利回りや賃貸事業利益の水準で言えば問題無いのですが問題は出口です。盛岡のレジデンスなんてJ-REITから誰が買うか?微妙なところです。地方の名士的な企業か地元の個人富裕層の方しか現実的な売却先は無いと考えられます。タカラレーベン不動産投資法人は高値で問題物件を取得させられたのではないかと思います。


利益超過分配金額が減少しているのは〇

 2019年8月期の財務面においては、2019年6月28日付で、ドーミーイン盛岡の取得資金等の一部に充当することを目的として、㈱三井住友銀行及び㈱みずほ銀行より合計2,720百万円の借入れを実施し、また、2018年7月30日付で㈱三井住友銀行及び㈱みずほ銀行より借り入れた3,260百万円(返済期日:2019年7月30日)について、2019年7月30日付で借換えを行いました。この結果、2019年8月期末時点における借入金残高は35,980百万円となり、LTVは49.5%となっています。

 「その他施策」については、賃料の増額交渉やコスト削減により内部成長を図る一方で、ESGを見据えた施策にも注力しています。2019年7月には投資法人の旗艦ビルの一つであるNTビルに関して省エネ・省資源に積極的に取り組んでいる点を評価され、DBJ Green Building認証を取得し、2019年8月にはドーミーイン盛岡及びドーミーイン松山について建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)の評価を取得しました。

 分配金については利益超過分配金が13円含まれていますが利益超過分配金無しでも相応の分配金金額を支払う体制に移行しつつあるようです。私募ファンドの業界では利益超過分配金を込みで配当金利回りを算定しますが、J-REITの場合は中長期に渡り投資家さんに分配金を支払うことがコンセプトなので利益超過分配金で配当金利回りを量増しするようではJ-REITではありません。早く利益のみの分配金で他REITと競えるような体制に移行して欲しいと思います。